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銀魂小説
放課後(3Z・沖神)
放課後、沖田は土方から逃げるために屋上で昼寝をしていた。

すると校庭の方から聞きなれた剣道部の掛け声が聞こえてきた。

(おっやってるねぇ。もう教室に戻っても大丈夫だな)

そう思った沖田はZ組の教室に鞄を取りに行った。

ガラっ

「!」

ドアを開けると、神楽が寝ていた。

夕陽が教室を赤く染めあげ、神楽のピンクの髪もオレンジに染まっていた。

(あれっコイツ眼鏡はずしてるじゃねぇか)

その顔を見て、つくづく何も言わなけりゃかわいいのに、と思う。

それとは逆に、いや、コイツがしゃべらなかったら好きになんてならなかったろうけど・・・。とも思う。

とりあえず、神楽を起こさないように静かに眼鏡を神楽のデコの所につけた。

そして神楽が起きるまで自分も寝ることにした。



神楽はふと目を覚ました。

外を見てみるともう暗い。

「ちょっとだけって思ってたのにだいぶと寝てしまったアル。銀ちゃんセンセが心配するネ。」

神楽は銀八の家に居候している。

そして鞄をとろうとして隣の人物に気づき、驚いた。

「おっ、お目覚めかィ?神楽さん。」

隣の人物はふわァっとのんきにあくびを一つ落として聞いてきた。

神楽はいつもとは違う感じでぐっと構えた。

また、2人きり。最悪のポジション再びだ。

そんな神楽を見て、沖田は珍しく少し悲しそうな顔をした。

そして言った言葉は、神楽の思考回路には寸分も入っていなかった予想外の物だった。

「・・・どうすれば、許してもらえやすか?」

「っえ・・・?」

「俺はアンタにこんな風に警戒されたくないんでさァ。」

「・・・・。」

「神楽さん、あん時はすみませんでした。」

「・・・・お前、ホントに沖田カ?」

「あたり前だろィ。ただ、今は寝起きのテンションに身をまかせてどうにかしようとしてるんでさぁ」

そう言っている沖田の耳は、少し火照っている。
それだけ恥ずかしければ目なんてばっちり冴えていることだろう。

「・・・・酢昆布4箱であの時のことは忘れてやるアル。」

「えっ・・・って安上がりだなオィっ。」

「うるさいネ!許してやるって言ってんだから文句言うなよ。
 ・・・それに私、お前と喧嘩するのは好きアル。楽しいネ。
 でも、お前と気まずいのは嫌アル。気分悪くなるヨ」

「俺も、アンタと喧嘩すんの、嫌いじゃないですぜ。」

「・・・そんな事よりお前、こんな時間に何してるアル?」

「アンタこそこんな時間になにのんきに居眠りぶっこいでんさァ」

「私にはちゃんとれっきとした理由があるアル!私、今バイトしてアル。ちょっと多忙で疲れてたネ。」

「へぇ。なんでまた?」

「もうすぐお祭りあるダロ?銀ちゃんセンセがあの祭りには絶対言っとけって言ってたアル。
 ついでに夜ご飯もそこで済まして来いって。そのためにお金ためてるアル。」


「あ、そうか。アンタ、銀八のとこで居候してんだよなァ。」

はじめてそれを神楽から聞いた時は呪う相手を土方から銀八に変えようかとも思ったのを覚えている。

結局保留になって、相変わらず土方を呪っているが・・・。

「銀ちゃんセンセがおこずかいくれるって言ってくれたけど、
 それでなくても火の車な銀ちゃんセンセにこれ以上迷惑かけられないネ。」

「ふーん、そうかィ。じゃぁアンタ、あの祭り行くつもりなんだねぇ。
 ・・・どうですか?仲直りの記念に一緒に行きやせんか?」

「!ナ二言ってるネ!!行かないに決まってんダロ!?
だいたい仲直りも何も元から仲いい事なんて一度も無かったアル!」

「・・・・・・。」

沖田は黙りこんでしまった。ちょっときつく言い過ぎたかなと思い神楽は付け加えた。

「・・・それにそよちゃんと行く約束してるネ。今更他の奴と行くなんて無理ある。
 だいたいお前、ゴリラ達と行くんじゃないのカヨ。」

「近藤さんはその日、お里帰りでさぁ。昔の剣道の師に会いに行くって言ってやした。」

そう言う沖田の顔はどこかしんみりとしていた。でもすぐいつもの顔に戻り言う。


「ふーん、徳川さんですかィ。じゃぁ大丈夫だ。」

「はぁ!?どうゆう事アル?」

「まぁ明日になれば分かりまさぁ。それよりそろそろ帰りやしょうや。」

「言われなくてもそうするネ。じゃぁな。」

「送っていきまさぁ。」

「余計なお世話アル。むしろ危険ネ。」

「・・・じゃぁ途中で酢昆布買わなくて良いんですかィ?」

「うっ・・・。分かったアル・・・。」

「そういやぁ神楽さん、メガネはどうしたんでィ?」

そう言われ、自分がメガネをしていない事に初めて気が付いた。

そもそもなんとなく優等生ぽいという理由でつけている伊達メガネの為、

あっても無くても別に困らないのだ。

「・・・?あっ!メガネ!!忘れてたアル。あれっ?どこ行ったアル!?」

   パシャっ

「おいっ、人が一生懸命メガネさがしてるって時に何撮ってるネ!?」

「まぁまぁ、こっけいな姿が写ってるから見てみなせぇ。」

「はぁ?」

そういいながらも神楽は沖田のケータイを覗き込んだ。

そこにはデコにメガネをつけながらメガネを探す神楽の姿があった。

「おっ沖田!き〜さ〜ま〜!!!!」

「はいはい、そんなに怒らなくてもちゃんと皆に送ってあげまさぁ。
 件名は『メガネどこアル〜』で。」

「ちょっと貸せよっ。」

バシッ

沖田の携帯はあっさりと神楽に奪われた。

奪ったところで使いかたが分からない神楽はハッと力を入れて携帯を割った。

バキッ!!

「あ〜あ、土方さんの携帯が・・・。どうすんでィ、チャイナ。」

「えっ、これ、大串くんのだったアルか?・・・まあいいや。」

そう言って神楽は壊れたケータイを土方の机に置いておいた。

「そんな事より早く酢昆布食べるアル!さっさと行くネ!! 」

そう言って先に教室から出ようとした神楽はドアの所でぴたっと止まり、沖田の方を向いて言った。

「そういや、ずっと思ってたアル。お前って襲い魔だったんだナ。
 そんな事してたらもてねーぞ。」

神楽が出て行った方を見ながらボーゼンと立ち尽くしてしまった沖田。

2秒ほどたってから自分の気持ちが全く伝わっていない事に気づき、ずりずりと崩れた。

「意味わかんねー・・・。」

情けないその言葉を聞く者は誰も居なかった。





次の日、ケータイを握り締めながら沖田を追いかける土方の絶叫と

逃げまくる沖田の足音をバックミュージックにそよが神楽に言った。

「ねぇ、神楽ちゃん。沖田君が、土方君と沖田君と私たちで一緒にお祭り行こうって言ってたんだけど、
いいかなぁ?」

「えっ、良いアルけど・・・。そよちゃん男の子大丈夫アルか?」

「うーん、ちょっと怖いかもだけどがんばってみる!だってせっかく・・・///」


「?まあそよちゃんが良いんならかまわないヨ。」

こうして神楽とそよは沖田、土方と一緒に祭りに行く事になった。




〜〜〜〜〜〜〜
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
2人を仲直りさせられました。
この2人が険悪だと話が進まないのでほっとしました。





*おまけ*

「あ・ね・ご〜!!今度のお祭り、姉御も行くアルか?」

「ごめんなさい、神楽ちゃん。私その日は会う人がいるの。」

「えっ、お妙さん!!やっと俺の気持ちを受け入れてくれたんですか!
 ・・・はっ、まさか俺と一緒にこky「だまって死ねや。」

          どごっ

「えっ!・・・姉御、行けないアルか。」

「ええ、だから神楽ちゃん、私の分まで楽しんできてね。」

「分かったアル。楽しむ事は任せるネ!!」



銀八の家

「おーい、神楽。お前、祭り行ったら絶対花火見て来いよ。あれはスゲーから。マジで。
 のんびりしてこいよ。その日は門限とか関係ないから。」

「マジでか!」

「おー。」

「そういや姉御が祭りの日は会う人がいるって言ってたアル。銀ちゃん誰だか知ってる?」

「・・・・・。」

「おーい。銀ちゃ〜ん。」

「神楽・・・お前、最低でも花火は見て来いよ。」



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あきゅろす。
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