銀魂小説 屋上+中庭(3Z・風紀委員+そよ、神楽、妙など) 屋上。 教室よりも風が吹きぬけ、屋上への出入り口がいい感じに影を作って一日中日陰が出きる。 特にこの銀玉高校の場合、それが他より大きいのでなおの事涼しい。 だからその事を知っている生徒や先生達にサボリや一服、昼ごはんを食べることなどによく使われている。 〜屋上〜 昼休み。屋上は今日も昼ごはんを食べたり雑談をするために来たいくつかのグループで賑わっていた。 その中に一匹のゴリラ・・・もとい一人の近藤がいた。 フェンス近くでお握りをほお張っていた近藤は下に見える中庭にある人を発見し、 立ち上がって下に向かいおもいっきり手を振って叫んだ。 「お〜〜〜い!!!お妙さ〜〜〜〜ん!!」 近藤の見つめる先には昼食を食べている女子達の姿があった。 彼女達もまた、涼める場所を求めて中庭に行ったのだろう。 近藤の呼びかけに対する返事は無い。 「あれっ!?聞こえないのかな!?お〜〜〜い!!お・た・え・さぁぁぁん!!!」 やっぱり返事は無い。 「どうやら風向きが悪いようだな。意地悪な風めっっ!!」 (((いや いや いやっっ!何で無視られてると思わないんだよっ!?))) 周りでご飯を食べている生徒達の心が一つになった。 それもそのはず、ゴリラ会長近藤と、可憐な蝶の様に見えて実は化け物お妙さんは この高校の名物の一つとなっている。 そんな事を思われているとは露とも知らない近藤は少しの間ぼ〜っとお妙を見つめて、納得したように言う。 「やっぱりセーラーっていいよな!」 その言葉に土方は食べていたパンをごふっと喉につめてしまった。 ドンドンと胸を叩いてから突っ込む。 「それは変態発言だ!たとえ思ったとしても心の中に閉まっとけ。」 「えー。でもぉ・・・。」 近藤がぶりっ子して言う。 「気持ち悪ィっ!!」 土方が怒った様に怒鳴った。 近藤は普通に戻って山崎に聞く。 「なぁ、山崎。お前もそう思うよな?」 いきなり話を振られた山崎は言葉を選びながら言う。 「えっ、俺っすか?うーん・・・。まぁ、セーラーは可愛いと・・・思いますよ?」 山崎は土方の方を見て言い訳っぽく続ける。 「ほらっ、最近セーラーなんて少ないし!貴重じゃないですか!? 着る人が着ればすっごく似合いますよ。 姉さんもそうですし・・・神楽さんとか徳川さんとかが着ても可愛さ増しますよねっっ」 ――――神楽さんとか徳川さん。 その言葉に土方と沖田の体がぴくっと反応した。 山崎の隣に座っていた沖田が山崎にだけ聞こえるように小さく押し殺したドスの効いた声で言う。 今 殺す 「お前、そんな事考えてたら・・・いつか死ぬぜィ?」 ビクっ!! (怖っ!!土方さんをこれ以上怒らせないように言葉を考えて言ったつもりなのに・・・。 なんか死ぬのところが殺すに聞こえるし!!) 山崎は自身に向けられている殺気に身の危険を感じた。 それと同時に気づいた。 (えっ・・・て事は沖田さんって・・・。) でもそんなのんきな事を思っている場合じゃない。 どうにかしてこの空気を変えなくては・・・。 そう思って山崎は土方に聞いた。 「土方さん、そう思いません!?」 「あ゛ぁ゛!?」 (ええええっっ!!こっちもさっきより怒ってるっっ!!) (俺、どうなるんだ〜〜〜〜!?) ライオンの檻に自分から足を突っ込んでしまった山崎を助けたのは近藤だった。 「はっはっは。そうだろう、山崎!ほらみろトシ!男は皆そう思うんだよ!」 はぁ。 ため息をついた土方が言う。 「おい、総悟。お前からも何か言ってやれよ、この変態共に。」 ビクっ!! 山崎の体が張る。 そんな山崎を見て沖田は、 やっぱ、そう思ってる奴、多いんだろうなぁ・・・。 とか思った。 「そうですねぇ・・・。」 沖田はそう言ってちょっと考えてから、立ち上がりフェンスをつかんで少し大きな声で言った。 「セーラーってどこから手ぇ入れるか迷いますよねぇ。」 「「「はあぁぁぁぁ!!!????」」」 三人の絶叫が響いた。 「ちょっ、お前、それどーゆう事!?」 「何やってんだよ総悟!!」 「そうですよっ!沖田さん!!」 三人の声を無視して下を見ると、さすがにこれには反応したらしく、女子達がこっちを見ていた。 なかでもピンクの髪の女は恐ろしげな形相でこっちを見ている。 沖田は睨んでくる神楽を睨み返した。 でもその沖田の顔は自然に口の片端が持ち上がっていた。 ーこうしておけばアイツは俺しか目に入らない。 次の時間は昼休み。 そよは一度黒板から目を離し、外を眺める。 ふと目に止まったのは中庭。 中庭に植えられている木々が、心地良さそうな影を作っている。 その下に生えている芝生は、風にゆれて気持ち良さそうだ。 (あそこなら、神楽ちゃんでも大丈夫かな。 今日はあそこでお昼食べたいなぁ。後で誘ってみよう。) 〜中庭〜 そして今、昼休み。そよ達は中庭にいる。 う〜んっと伸びをして妙が言う。 「本当に気持ちいいわねぇ。今まで気が付かなかったわ。」 一緒にご飯を食べていた栗子や花子達も同意する。 「本当でございまする。」 「ホンマやわぁ。あー涼し〜。そよちゃん、ありがとう!ここで食べよってゆってくれて。」 そよはにっこり微笑んで言う。 「どういたしまして。神楽ちゃん、暑さは大丈夫ですか?」 そよは隣でパンとおにぎりをほうばっている神楽に聞いた。 「うんっ!とっても気持ち良いアル!!やっぱり外で食べるご飯は最高アルな。」 そんな和やかな雰囲気を壊したのは一つの大声。 「お〜〜〜い!!!お妙さ〜〜〜ん!!!」 屋上でご飯を食べていたらしい近藤が大声で叫んでいる。 とっさに屋上を見ようとしたそよ達を妙が止める。 「皆、知らない振りをしてくれるかしら?まるであの人がこの世に存在していない位に。」 (((怖っ!!!))) そんなこんなで皆何事もなかった振りをして話し続けた。 そうしたらもう一回声が聞こえた。 「あれ!?聞こえなかったのかな!?お〜〜〜い!!お・た・え・さ〜〜〜ん!!!」 今度は名前を区切って呼んでいる。 相変わらず聞こえない振り。 みんなが談笑しているなか、そよはバレないようにこっそり屋上を見てみた。 するとお妙を見ている近藤の横に、パンをかじる土方の姿があった。 前に土方を見ていたら目が合ってしまった事を思い出して、自分のお弁当を食べることに専念した。 と、思ったら、今度は屋上から 「やっぱりセーラーっていいよな!」 と言う近藤の声が聞こえてきた。 驚いて恐る恐る上を見ると喉を詰まらせた土方の姿が見えた。 そよはくすっと小さく笑った。 さっきまで隣でおにぎりとパンを食べていた神楽が今はイチゴ牛乳を飲みながら言う。 「アイツ等、さっきから何の話してるネ。馬鹿アルな。」 その言葉に妙が笑顔で答える。 「そうね。神楽ちゃん。男って何でこう馬鹿ばっかりなのかしらね?」 でも・・・とそよは思う。 (それって好きな人にはむしろ思われたいかも・・・しれない・・・) そしてそう思われたい相手を想像し、なんだかそよは自分で思っていて恥ずかしくなってきた。 上での話が聞こえてこなくなったので、雰囲気を戻すため、そよがいきなり話を変えた。 「そういえば、銀八先生がいつも口にくわえてるあれって本当にぺろぺろキャンディなんでしょうか?」 神楽が返す。 「そうヨ。前に口から出してもらった事あるネ。おっきなアメちゃんだったアル。」 栗子が驚いたように言う。 「そうだったんでございまするか。私、てっきりタバコだと思っていたでございまする。」 神楽が笑顔で言う。 「銀ちゃん先生はそんな体に悪いもの吸わないネ! アレをすう奴なんて、多串君一人で十分アル!! 」 多串君。その言葉にそよは反応する。そういえば吸っている。 今度、体に悪いと指摘してみたいなぁ。と心の中で思う。 でも自分は目が会うだけで顔が赤くなってしまう。そんな事とてもじゃないが言えない。 こんな時、ばんばん物を言える神楽や妙が羨ましいと思う。 当の神楽は横でカップケーキをかじっているが。 と、またまた和やかな空気をつぶす声が上から降ってきた。 「セーラーってどこから手ぇ入れるか迷いますよねぇ。」 「「「えええええ!」」」 そよ、栗子、花子は一斉にそう叫んだ。 本当に何の話をしているのかしら?しかもこれ見よがしに聞こえるように言ってますよね、あれ。 「どうゆう事なんでしょうね?」 そよがそう言おうと思って神楽を見ると、神楽はさっきまで食べていたカップケーキを置いて 上から見下ろしている沖田を思いっきり睨んでいた。 まるで何か、嫌な事でも思い出すように・・・。 前から様子はおかしかったけど・・・この2人、本当に何があったのかな・・・・? そよは改めてそう思った。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 3Zはだいたいの人は健全なイメージがあるのです。 階段のぼっちゃてるのは銀八、妙、沖田くらいかなと。 でも沖田はしたい人とした事はないけど・・・。みたいな。 神楽と出会うまではモテすぎて 恋愛ってものに完全に冷めてたんじゃないかなと思うのです。 土方も同じくモテますが、こちらは 相手の気持ちはきちんと受け取って断っていたタイプだと思います。 まあ、サドだしマヨだから よく知ってる人が好きになる事はホントに限られてますが。 最後になりましたがここまで読んで下さった方、ありがとうございました。 [*前へ][次へ#] [戻る] |