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ドリーム小説
3.豪雪の夜に(レッド×夢主)


「こんばんは!レッドさん、遅くなってすみません。コーヒーお届けにあがりましたっ!!」

ちらちらと雪が降って来て、それが豪雪になり始め、

もう充分「こんばんは」の挨拶が似合う時間な上、重い雲のせいで深夜の様に真っ暗になってしまった頃、ナナミは洞窟に着いた。

「いらっしゃい。・・・今日はいつもより遅かったけど、どうかしたの?」

洞窟の入り口でレッドが言う。

「遭難者の方が居て、その方の捜索をしていたらいつもより遅くなってしまったんです。
 すみません、コーヒー、切れちゃってましたか・・・?」

もしかしてコーヒー切れてて、飲みたくて飲みたくて仕方が無かったのかな、それならすっごく悪い事したな・・・



そんな事を考えてナナミが焦りながら聞くと

レッドはううん、と被りをふった。

そしてナナミの頭にポンッと手を置くとわしわしとなでながら言う。

「コーヒーはまだあるから良い。でも、遅いから心配した・・・。」

ナナミの顔が一気にバッと顔が赤くなる。

「 あ、・・・ありがとうございます。」

「 うん。」

そう言ってレッドが頭から手を離す。



「 吹雪凄いし、もう暗いな。・・・今日はもう、帰らない方がいい。」



えっ、いいんですかっ?そう思って少し焦る。

でも、山に登って帰れず洞窟で一晩を明かす事はこれまでも何度かあった事で、もしここに一人ならば確実にそうする。

ナナミは振り返って、もう数歩先すらも分からない山を見てうなずいた。





洞窟の奥に入ると、リザードンとピカチュウがいた。

リザードンが居るだけで暖かさが全く違う。

「リザードン、ピカチュウ、こんにちは。」

ナナミはにっこりと微笑んで言う。

ピカチュウとリザードンが返事をする。

「 リザードンは何だか久しぶりだね。相変わらず元気そうね。」

そう言って撫でる。

リザードンが嬉しそうな声を出した。

ナナミはレッドと一緒に腰を下ろし、コーヒーを渡す。

そして自分のリュックを探り、コーヒー豆と木の実、コーヒー豆すり鉢と簡易コーヒーメーカーを取り出して笑顔で言った。

「レッドさん、コーヒー、飲みませんか?」





ポケモン達とレッド、そして自分の分のコーヒーを作る。

香ばしいコーヒーの香りとそれぞれの好みに合わせた木の実のブレンドで、味わいあるコーヒーが並んだ。

静かだけれど穏やかな空気。豪雪の中、洞窟内にゆるやかな時間が流れた。




正直、何度やっても山で一夜を明かす事に不安を持たない日は無い。

でも、今回のは、この空気とコーヒーと、それからここに居る皆のおかげで
本当に心地良い気持ちで一夜を開かす事ができそうだ、そう思って眠りにつけた。













チチチ・・・と鳥の声がする。

あ、朝だ。何だかとても暖かいな・・・。



寝ぼけ眼でぼやーっと目を開けると眼前に、それはもう焦点が会わない位すぐ近くに、


レッドさんの寝顔があった。



「 っ!!!!!!」

一気に目が覚めた。



なっ・・・何事っ?





辺りを見回してここがシロガネ山で、昨日はここに泊まった事を思い出した。

とりあえずこの場から立とうとして、体を抱き枕の様に抱きしめられている事に気づいた。

つまるところ、抜け出せない・・・。



えっ?でも昨日はペルシアンとクサイハナとトゲチックに囲まれて寝てたはず・・・。




キョロキョロと動くだけの首を動かして、リザードンの炎の近くで集まって寝ている

自分のポケモン達とピカチュウを見つけた。



何とも可愛らしい・・・。



ふわっと微笑んで、、、、、、、





ボッと顔が赤くなった。



いやいやいやッ!!!!どうしようっ!!!!!



少しもがいて腕から抜け出そうとする。

「 ピカチュウ、駄目・・・。」

レッドさんが目を閉じたままボソリと呟いて腕に力を込めた。



「 レッドさん、違います〜っ!私ピカチュウ違います〜〜〜・・・・」

言葉が変になっても構う事なんて出来ないまま、

少し乱暴だけど、かるくぽかぽかとレッドさんの胸を叩く。





んっ・・・とレッドさんが目を覚ました。

「 ・・・・・・・・・・あ、おはよう。」



「 おはよう、ございます。」



とりあえず覚醒してくれたレッドさん。



「 あの、レッドさん、腕・・・。」

「 ・・・・暖かいから、もうちょっとだけ・・・。」



あ、駄目だ。この人、まだ寝ぼけてる・・・。

「 レッドさん、寝ぼけてるでしょ・・・。」

「 ・・・。」



そのままレッドさんは眠ってしまった。





ああ、どうしよう・・・・、お店の準備しに、ハナダに帰らなきゃなんだけど・・・・。




おろおろして動けずにいると、頭をつんつんとつつかれた。

上を向くとピカチュウが居て、にっこりとされる。

反射で私もにこっと微笑んで返すと、ピカチュウはペコリとお辞儀をした。



「?」


そのお辞儀の理由が分からなくてクエスチョンマークを頭の上に浮かべる。
その直後、レッドさんにピカチュウが軽い電撃を打った。

同時に抱きしめられた私にもビリッと電気が走る。



ビクっとしてレッドさんの目が開いた。



「 わかった、起きる・・・。」

そう言うとレッドさんは私の体を解いて、上半身を持ち上げると、んーっと伸びをした。




「あ、晴れてるね。」

そう言ってこちらを見て、ニコリと微笑んだ。

真っ赤になった私は、何も言えず、こくりと頷く事しか出来なかった。

「 ん?どうしたの・・・?」

完璧にいつものレッドさんに戻ってる。

良かった・・・。



顔を洗う為に外の雪を取りに行ったレッドさんを目で追ってから、ピカチュウの方を見る。

「 ありがとうね、ピカチュウ。」

ピカチュウはピカピカッ と可愛くうなずいて、ぽんっと肩を叩いてくれた。



可愛いんだけど、なんだかとてもたくましく思えて、力無く微笑むしか出来なかった。






その後、ポケモン達を起こして、元に戻ったレッドさんと起きたポケモン達と朝ごはんを食べて下山する。





昨日の豪雪が嘘の様に今日はまたからりと晴れた快晴のシロガネ山。

そんな快晴の下、

今日一日はとりあえず、朝の事を思い出して、変な行動に出ない様に心がけなきゃいけないな・・・。

そんな事を思いながら、私は山を下って行った。







〜〜〜〜〜〜〜
ここまで読んで下さってありがとうございます。
この話の前話の番外編、
【3.5「豪雪の夜」のその前に】 
で、こん回の話の前に起こった、夢主が遭難者を助ける話もあります。
よろしければそちらも是非お読み下さい。





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