Summer-days [6] [6] 「はあ・・・久しぶりだよ、こんなに金使ったのは・・・」 「そうなの?私は、これくらいは月に1度くらいしてるけどな。」 「そうなのか・・・金持ちなんだな・・・」 「そんなことないよ。それより、これからどうするの?」 「えっと・・・ゲーセンにでも行かないか?」 「いいけど?」 「よし、じゃあ、行くか。」 「うん。」 すぐにゲーセンには到着してしまった。 中では、9割大人だが、ゲームを楽しんでいた。 「なにやるか?」 「あ、あの人形・・・」 「え?」 彼女が見ている人形は、クレーンゲームの人気NO.1の人形だった。 「ねえ、あれとってよ。」 「え?あれ、結構難しいんだぞ?」 「いいじゃないの。女の願いをかなえるのが、男の仕事でしょ?」 「あ・・・分かったよ・・・」 彼女に何か言われると逆らうことができなくなる。いつものことである。 「よっし。」 1PLAY100円だが、500円入れると、1PLAY多くできる。つまり、6回できるのだ。 「いけぇぇぇっ!」 1回目、2回目、3回目、4回目、5回目とことごとく失敗し、とうとう最後の1回まで失敗してしまった。 「あ・・・あ・・・」 「そんなに落ち込まなくても・・・」 「ごめんな・・・取れなかったよ・・・」 「ううん。がんばってくれたから、それだけで十分だよ。」 「愛美・・・」 「さて、私も何かやろうかな。あ、これがいい。」 彼女が座ったのは、格闘ゲームの席だった。 「お、おい、愛美・・・」 「え?」 「お前、こんなゲームやるのか?」 「そうだよ。格闘系嫌い?」 「やったこともないから、嫌いも何も・・・」 「じゃあ、見てなさいよ。」 「ああ・・・」 彼女の腕は見事なものだった。相手の攻撃をかわす、カウンター攻撃のタイミング。相手に隙を与えない、見事な連続攻撃。やったことのない俺でさえ、分かったことだ。 「はあ・・・面白かった。」 「お前、1時間もやっててよく飽きないな・・・」 「え?もうそんなに経った?」 「うん。もう3時。」 「ごめ〜ん。じゃあ、帰ろうか。」 「ああ。」 俺たちは、ゲーセンを後にした。 出た後にすぐ、彼女が言った。 「ちょっと小腹がすいたな〜。あそこ寄ってかない?」 「ああ、いいけど・・・」 彼女は、ファーストフード店に入っていった。 「あはは、はまっちゃうと周りが見えなくなるんだよねぇ〜」 「そ、そうなのか・・・」 「あ、なんか用事あった?無理して来てくれたんじゃ・・・?」 「そ、そんなことないよ!本当に、なにも用事なかったんだから・・・」 「そっか。それなら良かった。」 彼女はほっとしたように、しずかにドリンクを飲み始めた。 「はぁ〜、ちょっと眠くなっちゃったかな・・・」 「え?」 「ふああ〜・・・おやすみ・・・」 そう言うと、彼女は突っ伏して眠ってしまった。 (ったく・・・自己中というか、なんというか・・・) と、心の中でつぶやいた。 そして、携帯を取り出し、ゲームをやりながら時間をつぶすことにした。 [前へ][次へ] [戻る] |