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小説
albicocca アンズ2


数日後…


「はー…」
女の一人にこっ酷くフラれ、頬に赤い手形を付けたシャマルが、とぼとぼと十二時前の通りを歩いていた。昼時なので、通りの店からは美味そうな料理の匂いがしてくる。
「お、スクアーロじゃねぇか。よく会うな…」
と、ある店でスクアーロの後ろ姿を発見した。あの銀髪。あの髪の長さ、間違いなくスクアーロだ。
普通なら顔見知りの男などには気付かないか意に介さないシャマルだが、何故かスクアーロを発見し、挨拶をしようかという気分になった。
それは偏にスクアーロに男臭さが全く無いからだったが、当人はそんな事を考えてもいなかった。
「う゛ぉおおぉい、跳ね馬ぁ…一体何をどうしたら食い物をこんなにぶち撒けられるんだぁ?」
「えっ!?あっ!あ、ははは、ここの料理は弾け易いんだ」
「…いいから、無理に言い訳すんなぁ。学生時代から、ちったぁ直せって何度も言ってんだろぉυ」
跳ね馬ディーノと食事だぁ?またヤバイ仕事の話じゃ…ねぇな。これは。ディーノが何か凄ぇ殺気向けてきてんぞ、オイオイ…まさかそういう事なのか?しかしXANXUSのモンにちょっかい出すとは、また何っつー面倒なマネをしてんだあのへなちょこは…
触らぬ神に祟り無し。
シャマルは何も見なかった事にして、その場をそっと離れた。


更に数日後の日本…


「んー、リサちょわ〜んっ、じゃあ明日の午後にね〜v」
持っていた携帯電話にキスをして電話を切ると、また視界の端に見事な銀髪が見えた。
「またアイツか。しっかし、遭遇率異様に高ぇな…υ」
近寄ってみると、スクアーロが誰かと話しながら、女性に混ざって雑貨屋を見ている。相手はシャマルも良く知る、山本武だ。
「う゛ぉおぉおい、髪の量が多過ぎて、こんなんじゃ纏めらんねぇぞぉ…υ」
「あー、残念だな。綺麗だし、似合ってんのにな!」
声位は掛けようと思い、手を振ってみると、先に気付いた山本が振り返り、手を振った。だがその目は子供ながらも一端の殺し屋の目をしている。流石はあのリボーンが見込んだ逸材、と言えるが…こっちに放つ殺気は本物だ。おかしな話だが、笑顔が笑顔ではない。山本位の相手になら殺されない自信があるが、別な部分に底知れぬ恐怖を感じ、そそくさと退散した。去り際に気付いたスクアーロがご機嫌に手を振っていたが、何故あの殺気に気付かないのか、と心中で激しく突っ込みながら、早足でその場を離れた。
オイオイ、一体アイツを取り巻く人間関係はどうなってやがんだよ!?XANXUSだけならまだしも、ディーノに山本!?下手したら、俺よりも面倒臭ぇ事になってんじゃねぇのか!?
 ※ 大正解。
XANXUSにバレたらヤバいんじゃねーのか?リボーンは別としても、九代目やツナはこの事を知ってんのか?裏社会の構図がスクアーロの一挙手一投足でひっくり返りかねねーんじゃねぇか。
 ※ ↑根は善人&苦労人の典型的思考パターン。
待て待て待て。落ち着け。俺。一先ずは状況を整理しろ。少なくともリボーンは気付いていると仮定して良い。よって、いざとなったらツナにも対処する余地はある。だから山本はまだ大丈夫だ。そもそもツナが正式にボンゴレを継いでいない今は何が起ころうがこっちは大丈夫だろ。XANXUSだって次期雨の守護者を殺すような暴挙には出ない。問題はディーノだ。ボンゴレとの同盟ファミリーのボス。これは厄介だ…
@キレたXANXUSが暴れて問題発言。
A事情を知っている九代目、ツナ、ディーノの間で示談成立。
BXANXUSはキャバッローネ以外の同盟ファミリーからの信頼は0。
C危機を感じた同盟ファミリーがXANXUSの暗殺を企てる。
D足が付かないようフリーの殺し屋を雇っ…
オイ!やべぇじゃねーか!これは抗争に巻き込まれる典型的なパターン!多分、XANXUSの性格なら、疑わしい殺し屋は全員粛清…オイオイオイ、ヴァリアーと闘って生き逃れる事が出来るか?俺。いや、九代目かツナの所に逃げ込めば…いや、駄目だ。其処まで逃げ切れる気が全くしねぇ。高飛びしても、多分無駄だ。精々がもって二週間。リボーンが手を打つとは思えない。
「……」
イタリアを始めとした裏社会の平和はシャマルの手に託された。


◎調査その1・ベルフェゴールの話。
「えー?パパンとママンが仲良いかって?合ったり前じゃん。今日も仲良くDVカップだっつーの。あ、因みにボスがパパンでスクがママンだから」
◎調査その2・マーモンの話。
「パパンとママンが仲良いかって?仲は良いというか、物凄く噛み合ってないのは確かだね」
◎調査その3・ルッスーリアの話。
「ボスとスクちゃん?そうねぇ…敢えて言うのであれば、典型的な擦れ違いバカップルねぇ。ボスはボスで九代目との事があるでしょ?スクちゃんにちゃんと愛されてか自信がなくて、しょっちゅう浮気してるんだけど、スクちゃんはスクちゃんで、そういう事には黙って耐えちゃうタイプでしょ?どっちかが相手を解ってあげられれば良いんだけど…急には無理よねぇ?」
◎調査その4・レヴィ・ア・タンの話。
「ム!?ボスの右腕はスクアーロではない!オレだ!」

結論・駄目だこりゃ。






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あきゅろす。
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