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小説
puntata 賭け金2


「来い」
「う゛、ぉお!な、何だぁ?」
ドアを開け、中に入るなり投げ出されるオレ。ぼふっ、と柔らかい感触。
「…カスが、少しは大人しく出来ねぇのか」
乾いた軽い音がして電気が点いた。手術室でもなんでもない、只管豪華で広い部屋。オレはその部屋の無駄にデカいベッドの上に居た。
「…えーと」
これって、これは、もしかすると、この状況は、つまり…」
「ッ!―――…」
「馬鹿が。今頃気付きやがったか」
靴を脱いだXANXUSがオレの上に覆い被さる。片手でがっちりと両手首を押さえ付けられ、最早逃げられないこの状況。ごく平均的な身体能力のオレがこの馬鹿力に適う筈がねぇ。正にある意味、絶体絶命。
「ま、待てぇ!オレは男だぞぉ!?女っぽくもねぇしガキみてぇに華奢でもねぇ!金の問題だったら、オレをバラしてパーツで売るとか人体実験に使うとかした方が良いんじゃねぇのかぁ!?」
「ハッ!自覚がねぇとは、益々哀れなカスだな。テメェの顔を鏡で見た事があるか?ガキじゃなくても充分売り物になる顔だぜ」
ニヤリ、とXANXUSが凶暴な笑みを浮かべた。赤い目が獲物を狩る獣のように輝いている。
「オ、オレにそっちの趣味はねぇぞぉ!?」
「俺が仕込む。精々期待に沿えるよう努力しろ!このドカスが!」
や、やべぇえぇええ!嫌だぁ!コイツ絶対にサドだぁ!
「ぅ、あ」
「……」
「んんっ、う、あ…」
って、う゛ぉおぉおい、な、何かっ、
「あ、ぅ…う、あっ、ぁあ」
何か、凄ぇ、気持ち良い…っつーか、め、滅茶苦茶上手ぇぞぉ、コイツ…!ってか、な、何か、予想してたよりも優しいっつーか、丁寧っつーか、その!
「ひっ!…ぅ、あぁあぁぁ…」
も、もうどうにでもなれぇええぇえぇ!




腹をかっ捌かれて腎臓が何十万だの心臓は何百万だので取引される事なく、オレは意外にも、五体満足で朝を迎えた。
「起きろカス」
「うごっ!」
だけど今まで当たり前にあった爽やかな朝とは程遠く、鳩尾にXANXUSの蹴りを食らっての目覚めだった。
「いっ…てぇえぇぇ…」
「カス、テメェの服だ。十分で着替えて下に来い」
ばさばさ、と見るからに仕立ての良い、高そうな服が頭の上に降ってきた。
「こ、腰が痛くて動けねぇぞぉ…そ、それに、な、何か、たっ、垂れてるしっ!」
「チッ!」
や、やべぇ!次殴られたら、多分死ぬぞぉ!?
「カスが!さっさとしろ!」
「へ?あ?えっ、えぇ?」
XANXUSがオレを抱き上げて、バスルームに直行する。オレをバスタブに押し込むと、シャワーの栓を全開にして出て行った。
頭から湯を被ったオレは暫し呆然としてXANXUSの行った後を見詰める。何だ、この状況。
取り敢えずシャワーを浴びて出ると、苛付いたXANXUSがベッドに腰掛けて待っていた。
「…XANXUSぅ」
「あ゛ぁ?」
「お前って、結構良い奴だなぁ」
また殴られた。夕べの疲労も相俟って、オレの意識は一発でブラックアウトした。と、同時にこんなんだったら悪くねぇかもなぁ、とか思いつつも、この馬鹿力と底無しの体力と気力さえなけりゃなぁ、とか思った。
意識と同時に気が遠くなる。だけどやっぱり悪い気はしねぇなぁ。次起きたら考えよう。




恋はギャンブルで賭け金は自分自身!









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