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小説
puntata 賭け金1


※ スクアーロが一般人。


カジノの事務室、床に転がされ素っ裸のオレ。
腰には辛うじてタオルが一枚。カジノのスタッフは目玉がどうの肝臓がどうの、売りなら幾らか、などと冷静にパーツの見積もりをしている。
職にあぶれ詐欺に遭い、持ち金はほぼゼロ。再就職先も決まらず、とうとう昨日借りていたアパートも追い出され、路頭に迷うオレ。頼りになる親戚も居ない。
自棄になってカジノへ行き、あえなくボロ負け…最後に残った資産である一張羅も剥ぎ取られ、現在に至る。
「何の騒ぎだ」
いきなり目の前に現れた、やたら身なりの良い尊大な態度の男。歯の浮くような世辞を並べる支配人の頭を躊躇わず酒瓶で殴打。飴細工みてぇに割れたぞ。凄ぇ馬鹿力。ビクビクしながらも勇気あるスタッフの一人が事情を説明。
ソイツは不敵な笑みを浮かべると靴でオレの顎を捉えて上げさせた。舌噛むところだったぞぉ?バラすにしても鮮度が落ちちゃ不味いんじゃねぇのかぁ?
「面白ぇ。連れて帰る。損失分は後日振り込ませる」
「…はぁ?」
思わず口から出てきた疑問符。すかさずボディに蹴りが入った。余りの衝撃に呼吸困難に陥って、激しく咳き込みながら髪を掴まれ無理矢理歩かされた。裏口から黒塗りの高級車に荷物が如く放り込まれ、相変わらず尊大な態度のソイツの隣に座らされる。オレはこれから一体どうなるんだぁ?
「これからテメェが俺のカジノで使った負け分、働いて返して貰う」
「…パーツで、かぁ?」
「ぶはっ!」
いきなり笑った。何なんだぁ?何も変な事ぁ言ってねぇぞぉ。深夜の道路工事でもしろってかぁ?
「カスが。テメェがカジノで負ける理由が分かったぜ」
「いや…単に弱ぇだけだろぉ?」
また爆笑。コイツの笑いのツボが分かんねぇυ
暫く車で走って到着したのは城。う゛ぉおぉい、ここって確か…
「ボ、ボンゴレの城ぉ?アンタ、本物のマフィアかよぉ」
「カスが」
「う゛ぉっ!」
殴られた。滅茶苦茶痛ぇ。やっぱりコイツ馬鹿力だぁ。
「XANXUSだ。覚えておけ」
「ボンゴレの御曹司ぃ!?」
嘘だろぉ。
イタリア人ならボンゴレの名は誰だって知ってる。マフィアとしても巨大企業としても。
そして最近のボンゴレに関する話題は現在の社長の息子が並外れた手腕で次々と企業を傘下に収めているっつー話。裏の方でも色んなトコで一枚噛んでるっつー噂。そんな大物がかっ捌く以外にオレをどうしようってんだぁ?
「降りろ」
「う゛ぉおっ」
車を降りて、また髪を掴まれ強制連行。使用人っぽい奴が並んで出迎えに来るって…どんだけ金持ちなんだぁ?コイツ。使用人の一人が毛布掛けてくれて助かったけどよぉ…
そんで髪をぐいぐい引っ張られて、ああ、オレ将来ハゲるかも知んねぇ、何て考えながら連れられていくと、談話室っぽいトコに到着。
吹き抜けになってて、二階から少年がジャンプして降りてきた。猫みてぇな身のこなし。ソファにはサングラスを掛けたゴツい男が座ってる。
「ボスお帰りー。何ソレ」
「拾った」
「ふーん…」
緑と黒のボーダーシャツを着た十五、六歳のガキ。金髪の上にはティアラが乗ってる。変なガキだぁ。
「幾ら?」
やっぱりガキはガキでも、こんな所に居るからには普通のガキじゃねぇらしい。発言が不穏だぁ。
「う゛ぉおぉい、これからバラされる奴脅すなぁ。これでも怖ぇんだからよぉ…」
「ッ…あはぁあぁ!ウケる〜っ!何、ボス、王子の腹筋捻じ切る気〜?」
「もぉ〜、ボスったらこんな子何処で拾って来たのぉ?アナタ、名前はぁ?」
ゴツい方が体をくねらせて近付いてきた。
「スペルビ・スクアーロだぁ。聞いてどうすんだぁ?」
「アハハ、やぁねぇ。この子ったら…大変だろうけど頑張ってね」
「はぁ?…」
一体何を頑張れっつーんだぁ?深夜の道路工事をかぁ?あ、でも室内だから、人体実験とか…う゛ぉおぉい、洒落んなんねぇぞぉ。
「行くぞ」
「い、いきなり引っ張んなぁ!痛ぇぞぉ!」
一応叫んでみるが、無駄に終わる。さっきから言ってる事が訳分かんねぇし…マジでオレ、どうなるんだぁ?
「あれはかなり気に入ってるわねぇ」
XANXUSとスクアーロが行ったのを確認し、ルッスーリアが口を開いた。
「今回はちゃんと飼うんじゃね?良い奴っぽいし。王子スクアーロ気に入っちゃった。スクならここで一緒に暮らしても良いな」
一頻り爆笑した後、ベルフェゴールが近くのソファにダイブした。愛用のナイフで抱いたクッションをぼふぼふと滅多刺しにする。
「そうねぇ…そうなったら、レヴィちゃんに虐められないようにアタシ達が守ってあげましょ?」
「一体何の騒ぎだい?」
マーモンがパジャマ姿で現れた。台詞には二人に対する非難が込められている。
「あらマモちゃんごめんなさい。起こしちゃったかしら?」
「もういいよ。で、一体どうしたの?」
マーモンが溜め息混じりに聞いた。
「ボスが新しい愛人連れ込んでんだけど、スゲー変な奴」








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