カイとソウ《2》
*
甘くて、ふわふわとして、温かくて。
触れたらしっとりとした柔らかさがあって。
恋とか、恋人とか、そういうものを想像したら頭に浮かぶもの。


恢と居て、そういうことを感じないわけじゃない。
だけど、もっと強く感じるものがある。
ひどく喉が乾いた時みたいに、体の奥が干上がるような痛さ。
全身を小さな針で刺したようなヒリヒリとした痛さ。
慢性的なそれを柔らかく包むのは蕩けるように甘い恋情。
突き破ってしまいそうな衝動を上手く散らせてしまうから、どうしてもその中心にあるものが良く見えない。
小さい痼のように黒くて固いもの。




不安





──────


ギシギシと軋んだ音をさせるベッド。
そのベッドへ膝を着いて恢の肩にしがみつく。
爪を立てないように、でも思わず力が入ってしまって指を開く。
何度かそんなことを繰り返した。
「そーたの、おばかちゃん」
耳朶を撫でる熱い吐息。
「や、ン…っ」
たったそれだけのことなのに、背筋を駆け降りたのは甘い震え。
背筋から尻へ伝わった震えが中に居る恢を締め付けた。
「やーらし…っ」
増した質量に思わず目を閉じる。
「ぅン…んっ、あ、はぁ…あぁ!」
呼吸の度に漏れてしまう声は浅ましいくらい甘ったれたもの。
支えるように添えられた掌。
腰を掴んで上下に揺らされた。
「ャ…ああっ、おく…こすれ、ちゃ……ぁああ!」
「ここ、好きでしょ」
意地悪な声が耳朶を撫でる。
そこが好き?
違うよ。
恢が触れるから、好きなだけ。
揺らされて突き上げられて、暴れだしてしまいそうなのに動けない。
縮こまるように恢の体へ擦り寄ったら、きつく抱き締められた。
しっかりとした筋肉に覆われた腕と胸。
包まれると安堵の息が漏れる。
それから這いずるように昇る快感に震えた。
「んっ、ゃ…やあ!あああああ…っ」
突き上げに体が不安定に揺れる。
尻に感じる恢の下生え。
そこが濡れていやらしく張り付いて、離れる。
離れ、る。
「恢っ、恢…、や…ぃや…やだあ」
引き摺り出されて離れていく熱。
気が狂ってしまいそうな喪失感に襲われて恢の肩にしがみついた。


「いかないで…っ」


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あきゅろす。
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