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I Love Youのサイン
「何の本読んでるの?」
目の前には某書店で貰えるブックカバーをかけた本。

そうすると「なつめー」と間延びした返事が帰ってきた。
「漱石?」とかえすと、
今度はコクリと頭だけで返事が返ってきた
・・・どうやらもう会話をする気はないらしい。

つまんない、と思いながら私は会話を諦め縁側で1人空を見上げに行った。

縁側の板の上に寝転がると綺麗な青と適度に白が散っている、
まるで絵のような空が広がっていた。

「・・・夏目かぁー。」文豪に自分が負けた気がして少し嫉妬してしまう。
まぁ、戦う事すら間違っているんだけど、悔しい気持ちは消えなかった。
そんな事をうだうだと考えていたが、気持ちのいい天気に負け自然と眠りへと誘われていった。


何時間たったのだろうか。起きると、もう空はまん丸い月が昇っていた。
そして、寝ぼけた眼が澄んでいくと隣にシカマルがいることに気付く。

近くにあったシカマルの手へ腕をのばすと、「おはよう。」と頭を撫でられる。

「夏目はいいの?」と自然と口をついて出てしまった言葉に、つくづく私は嫉妬深いなぁーと思わされた。
シカマルは全く気にしていないのか「読み終わった。」となんの気なしに言う。・・・そらそーか。


空を見上げると相変わらず絵に描いたような綺麗な空が広がっていた。

ボーっと空を見つめていると、暫くしてシカマルから話しかけられた。

「あのさ、今さっきまで読んでた本の話なんだけどさ、」

また、夏目か。と、私は今日何度目になるか分からない嫉妬心を抱いていた。

「あの本な、夏目が翻訳をした本なんだよ」
「・・・へー。」
「その中で『月が綺麗ですね。』って文章がでてくるんだけどよ、
それ、なんて訳だと思う?」
「え?
・・・普通に考えてmoonなんとか?」
「I Love You」
「・・・えっ?!」

今シカマルなんて・・・



「・・・月が綺麗だな。」



それは、
I Love You



そうとってもいいんだよね、シカマル?

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