Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
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リスト「ふむ、影か」
リストは自身の口元に指をあてながら考える。
ディーノも何か考えているようだった。
リーナ「魔物、ではないんですか?」
リスト「可能性としては無くはないですが、相当知能が高いことになりますよ。戦いなら考えられますが、魔物が隠密行動をするとは思えません」
リストがそう言う。
そもそも【魔物】とは、普通の動物、死体、岩など無生物、植物など様々なものが自身が許容できる量を超える魔気を体内に取り込み、制御できずに暴走したものをいう。
レイが見た影が【魔物】であるなら今この場で人を襲ったりしないのはおかしい。
リスト「魔物である、を視野に入れるのではなく、アスターのような人間のような人間でないもの、を視野に入れましょう」
リストがそう言うとディーノとリーナは頷く。
プルルはポカンとしてピンク色のクマのぬいぐるみをぎゅっと抱き締めていた為、キサラが頭を撫でて緊張をほぐす。
ディーノ「俺の右眼で探せるかやってみよう」
リスト「キサラさんから聞きました。お願いできますか?」
ディーノ「ああ」
ディーノがそう言って、右目を隠している前髪を手で掻き上げる。
そしてディーノの紅い両目は、1度閉じて、もう1度開くと左は紅、右は琥珀色の魔気石の中に灯火が強く灯っていた。
しばらく辺りを見渡したディーノが目を戻して口にする。
ディーノ「特に魔気の乱れは感じなかった。だが・・」
ディーノがそこで言葉を区切った。
リストはディーノが落ち着くのを待っている。そしてディーノが口にする。
ディーノ「今は特に感じないが、魔気が乱れた形跡が大量にある部分は見つけた」
リスト「?・・先程無いというのは?」
ディーノ「今現在は無いということだ。俺が今見つけたものは過去に乱れたか何かだろう」
ディーノがそう言うとリストはそこに行こうということを全員に提案する。
リーナもキサラもただ頷き、了承する。
レイはその様子を、何故?、という表情で見ている。
リスト「レイさん、聞いてましたか?」
レイ「え、うん」
リスト「どうしたんですか?」
レイはそこで口ごもってしまった。
両手がレイの前で絡み合い、緊張を表す。
その手にキサラは触れ、笑顔を向ける。
レイ「みんなに・・バカにされるかと・・・」
リスト「ああ、幽霊の話ですか?」
リストがそう言うと、リーナもディーノも真剣な顔つきでレイを見る。
リスト「大丈夫ですよ、誰にだって恐れるものはありますよ、それに」
リストはレイに笑顔を向けて言った。
リスト「本当に仲良くなりたいと思う人の事、バカにしたりなんてしませんよ。僕らはまだ仲間になって日が浅いです。でも・・」
リストはレイに手を伸ばす。
リスト「レイさんのこと大事に思ってます。レイさんが不安だと僕らも不安になります。僕らは本当に困っている仲間を、人をバカにするなんて事しません、絶対に。だからレイさんももっと僕らを信用してください」
リストはそう言うとレイは顔を上げる。
その瞳に嘘がないことが直感的に理解できた。
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