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Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
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一方、ディーノは街の中へと戻る。
街の中は何一つ変わりなく人々で賑わっている。
レイも何かを感じ取ったのか、においを嗅ぐ。

レイ「確かになんか花に混じって鉄のような臭いがするわね」

そう言うとディーノと頷き合い、ようやく追い付いたキサラが言った。

キサラ「あ、リストとプルルちゃんが来てない」

ディーノ「リストが一緒なら大丈夫だろう」

レイ「リストは変態じゃないって分かるから大丈夫よ」

二人がそう言ってキサラも頷くさまを見て、リーナは羨望の眼差しを向けていた。

ディーノ「?」

ディーノはまた辺りを見渡す。
違和感があるが、何かが分からない。
レイがそっと耳を澄ましていた。
辺りは人々で賑わっている声が聞こえるがレイは山で6年間も過ごしてきた。
毎日、魔物に襲われる恐怖を体験してきた。
その時に手に入れた聞き耳だ。

レイ「こっち」

レイが先導し、仲間達がそれについていく。
すると住宅街の奥まった空間で四人はそれらを見た。

一目見ると人間だった。
しかし、それは目が血走り、白目を向いている。
目の横や腕、首など見える範囲で露出している部分の血管が浮き出ていた。
服装からしても一般市民のようだが、明らかに様子がおかしい。


「アアアアアアアアアアア!!!」

その一般市民がディーノに掴みかかった。
ディーノは引き剥がそうとするが、剥がせない。

キサラ「ディーノ、どうしたの!?」

ディーノ「ぐ、なんだこいつは・・」

ディーノの力だけでは通用しないと察したらしく、レイも協力するが引き剥がせない。
キサラが槍を出して突こうとするが、レイが叱咤する。

レイ「キサラ、人間だよ!」

キサラ「でも!」

そうだった。
いくら力が強かろうとそれは魔物ではなく、人間だった。
確信はなかったが、誰の知識の中にもこんな人間そのままの魔物は見たことがなかった。

そうしているうちに、リーナが腰に携えていた扇を右手で広げる。
すると扇から花の香りが立ち込める。
扇を振るい、舞うように体、足、手を動かすと花の香りは変わっていく。
扇だけでなく、リーナの左手にも香水のビンのようなものが握られていた。

そして辺りに甘い香りが立ち込めるとディーノに掴みかかっていた市民は眠りへと誘われた。



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