Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
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「ちょっと!なんでついてくるのよ!?」
キサラは驚いてディーノに叱咤する。
しかし、ディーノは無言のままキサラの後ろを走っている。
(まあいいわ)
キサラもディーノを無視しつつ、走っていた。
そして、不自然に敵と遭遇することもなく、城の裏側から出ることが出来た。
「あれだけ敵がいたのにラッキーだったわね」
「ここが城の外か」
二人がそれぞれの感想を抱き、リューマギ帝国にある街に寄ることもなく、帝国の外に出た。
その瞬間だった。
「え」
「!?」
今までのよりも一際大きい機甲がキサラを自身の内部に閉じ込めてしまった。
ディーノは咄嗟に大剣を抜き、構える。
その機甲はまるで蜘蛛のような造形だった。頭部の部分にキサラを拘束して収容している。
(何よ、こいつ)
キサラは自身の腕から魔気が吸われていることに気付く。そして、巨大機甲は自身の元から搭載されている魔気とキサラの魔気を混ぜ合わせてパワーアップし、2本の足をディーノに向ける。
そこでキサラは気付いた。
(まずいかも)
ディーノとキサラは会ったばかりで、お互い仲間だとも思っていない。
そんな状態でキサラはディーノが助けてくれるとは思っていなかった。見捨てられると思っていた。
ディーノは大剣を抜いたまま、巨大機甲と向かい合っている。
「ディ・・ノ・・」
魔気がどんどん吸われて、意識が遠のく。
ここは密閉された空間であり、声はディーノには届いていないだろう。でも、キサラは薄れていく意識の中、呟いた。
「た・・・す・・・・けて」
それが聞こえたのかどうかは分からない。
だが、キサラがそう言い終えたのと同時にディーノは巨大機甲に向かって飛んでいた。
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