Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
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宿を取った三人は街へと繰り出した。
といってもキサラがレイを連れ回し、ディーノがまるで保護者のようにそれを見守っていただけではあった。
キサラ「レイ、これつけてみてよ!」
キサラは珊瑚の髪飾りをレイに見せる。
レイは首を横に振りつつ、言った。
レイ「わ、私が付けても似合わないから、キサラが付けてよ」
キサラ「えー、レイのその赤髪なら似合うと思うよ?」
レイ「・・・わ、分かったわよ」
レイは渋々承諾し、髪飾りを付ける。
店の人もキサラもその姿が似合っていたため、褒めちぎる。
ディーノも似合っていると口にした。
レイ「やっぱりいらないわ」
レイがそう言って髪飾りを外そうとすると、後ろから声をかけられる。
???「せっかくお似合いですのに」
レイとキサラが振り向く。
ディーノには既に視界に入っていた。
その女性は長い金髪をそのまま下ろしており、服装も良くは分からないが材質の良さそうな服を身に纏っている。
腰には、畳まれた扇が携えられていた。
キサラとレイがポカンとしていると女性は口元に右手を当てて言った。
リーナ「ごめんなさい、私、リーナ・フィズ・エイントと申します」
リーナと名乗った女性は頭を深々と下げてきた。
キサラとレイは呆気に取られていたが、すぐさま自分達も名乗り、頭を下げる。
ディーノがリーナに名乗った辺りで三名の女性は頭を上げた。
そして店の人が驚いていた。
「はー、リーナ様、何してるんですか?」
リーナ「今日はお暇を貰いました」
リーナは笑顔でそう答えると店の人にお金を払っていた。
そしてレイに言った。
リーナ「そちら、御近づきの印として送らせてください」
レイ「え、あ、ありがと・・」
レイは頬を少し紅潮させ、俯きがちに答えた。
するとキサラがハッとしてリーナに言った。
キサラ「もしかして、ここの領主さんですか?」
リーナ「どうしてそう思われるんですか?」
キサラ「えっと、供給街道はエイント家が発展させたってガイドブックに・・・」
キサラは手に持っていたガイドブックを指差しつつ、そう言った。
リーナは口元に手を当てクスクスと笑うと答えた。
リーナ「半分正解です、発展させたのは私の曾祖父で今の領主は私の父です」
リーナがそう言うとディーノが腕を組みながら聞いた。
ディーノ「何故俺達に声をかけた?」
リーナ「私、外から来た人と一緒にこの街を回ってみたかったんです。皆さんは年齢も近いように感じましたので、お声をかけさせていただきました」
リーナがそう答えるとディーノはその瞳を見つめる。
リーナは急にディーノに見つめられ、慌てて目をそらしてしまった。
ディーノには彼女が嘘をついていたり、企みがあるようには感じなかった。
キサラ「ディーノ、何してるの?」
キサラがジトッとした目でディーノを見ながら言うが、ディーノは表情を変えずに答えた。
ディーノ「何でもない、それよりいいんじゃないか?」
キサラ「うん、そうだね。私達も来たばっかりで色々と見て回りたいし、リーナさんに案内してもらおうかな」
レイは何も言わなかったが、ディーノとキサラの発言に頷いていたため、問題はないようだ。
リーナ「私の事はリーナと呼び捨てで構いません」
彼女は笑顔でそう言うと、三人と共に供給街道の中を見て回ることにした。
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