[携帯モード] [URL送信]

Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
ページ:10
住宅街の奥に、他よりも大きい邸宅が一つ見える。
しかし、周りの家を食ってしまうほど大きいわけではない。
リーナはその玄関先で入り口の扉に付けられた取っ手を2度鳴らすと、中から綺麗な燕尾服に身を包んだ老執事が現れ、リーナを出迎える。
リーナは老執事にいくつか言伝てすると老執事は下がった。
中は綺麗な装飾に彩られており、花の街の領主に相応しく、いくらか花が飾られていた。
目の前には2階へと昇る階段が設置されていた。

リーナ「行きましょう、父は2階です」

リーナの案内で目の前にある階段を上がり、右奥の領主の部屋へと入ると、真っ直ぐと奥へ伸びたその部屋の奥に領主はいた。

リーナ「お父様、旅に出る前にお話ししましたよね?」

リーナは不思議そうにそう言うとゆっくり領主、ゴルスが振り返る。

ゴルス「リーナ、『街を酷い目に合わせた奴らに罪を償わせる』という考えなんてお前がする必要はない」

リーナ「でも、私の大事な場所ですから、どうしても行きたかったんです」

ゴルス「街の復興もほったらかし、周りがお前をどう見ているか分かっているのか?」

リーナ「ぅぅ・・」

リーナは珍しく悄気(しょげ)ていた。
キサラとレイが何か言おうとするが、ゴルスの言っていることはもっともなことだった為、反論できずにいた。
しかし、ディーノがリーナの前に出る。

ディーノ「リーナの気持ちも聞いてやってくれ」

ゴルス「お前は?」

ディーノ「リーナを旅に連れ出した、ディーノだ」

リーナ「違います!」

リーナがハッとして顔を上げ、否定する。
ディーノはリーナを連れ出してはいない。
リーナがついていったのだ。誰もがそれを分かっていたから反論できずにいたのだが、ディーノは自ら悪人であることを買って出た。

ゴルス「どちらだ?」

ディーノ「俺がリーナを連れ出した。仲間として迎え入れた」

ゴルス「何故だ?」

ディーノ「リーナの街を想う気持ちが伝わったからだ」

ディーノがそう言うと、合わせるようにしてリストがディーノの横に並び、続きを紡ぐ。

リスト「街に残って復興するのも必要ですが、リーナさんは自分の大切な街を想うゆえに相手が許せなかったのでしょう。その気持ちを僕らが【勝手に】汲み取り、旅に連れ出しました」

リーナ「あ、えっと・・」

ゴルス「ふむ、そうなのか、リーナ?」

リーナ「私は・・・ずっとここで暮らしてて、この場所を大事にしていました。それをめちゃくちゃにした方々か許せなかったんです・・だから」

リーナはそこで言葉を区切り、後ろを振り返る。
そこにいたレイやキサラはやれやれといった表情でリーナを見ており、リーナはディーノとリストを見ると、二人はゴルスを見ているが、リストは腰の後ろに当てた左手の親指を立てている。

リーナ「ディーノさんに連れ出してもらいました!旅に出たくてもお父様は認めてくれませんから!」

リーナがそう言うと、ゴルスは目を一度閉じて、小さなベルのようなものを鳴らす。
すると、入り口を老執事が開ける。

「ディーノ様とリスト様以外出てください」

リーナ「どうしてですか?」

「お願い致します」

老執事がそう言うと、ディーノとリストは頷き、仲間達に従うように促す。
部屋にはディーノ、リスト、ゴルスの3人だけとなった。



[*前へ][次へ#]

10/30ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!