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Tales of O-dinal(テイルズオブオーディナル)
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港に降り立った7人の空気は重かった。
レイ、ルーギス、リーナ、プルルはそうでもなかったが、キサラとリストがその空気を生み出す中心になっていた。
ディーノはいつも通りであるように見えた。

そのまま、全員、テケル山を通るが、頂上の折り返し付近で、ルーギスが立ち止まる。
レイはこの山で住んでいたため、今更感傷に浸ることはなかった。
しかし、ルーギスもテケル山と供給街道を越えた娯楽の街ダイメイに住んでいるはずであるにも関わらず、立ち止まっている事に不思議さを覚えた。

リーナ「どうされたんですか?」

しばらく胸に手を当て、目を閉じていたルーギスが目を開いて、リーナの方に頭と体を向ける。

ルーギス「ああ、すまなかった。ここを通るときはいつも黙祷するようにしているんだ・・・そうしていたのにレイを探すという肝心なことをしないでいた私は最低だ・・」

ルーギスがそう言うと、リーナはどう声をかけるべきか悩む。
レイも当事者であるため、声をかけづらい状態にあった。

すると、ここまで無言でいたディーノが急に口を開いた。

ディーノ「お前は、レイも死んだと思っていたんだろう?」

ルーギス「ああ・・・だが、死んでいたとしても探しには来るべきだったのかもな」

ディーノ「いや、お前は悪くない、確かに【神】と相対するのは人間では無理だった」

ディーノはそう口にすると仲間達に背を向けて山道を下り始めた。
レイはその背中を見ながら、ルーギスやリーナに話しかける。

レイ「あれじゃまるで、自分が人間じゃないみたいな言い方に聞こえる」

リーナ「そうですよね、ディーノさんだって立派な人間ですのに」

ルーギス(本当に人間・・か?得体の知れない【神】の力を無効化する力だぞ?)

ルーギスはただ一人、ディーノの存在に疑問を感じていた。
ディーノと仲間である日が浅いということだけでなく、ディーノのような力の持ち主は彼の40年間の人生の中で初めて見たからだ。


レイ「ルーギス、なんで黙ってるの?」

レイが不思議そうにルーギスを見つめる。

ルーギス「いや、すまなかった。考え事をしていた」

レイ「ルーギスまで暗い空気にならないでよね」

ルーギス「大丈夫だ」

ルーギスはレイに睨まれながら苦笑する。
リーナはプルルと手を繋ごうとするが、プルルはリストに駆け寄る。



プルル「リスト」

リスト「どうしました?」

普段通りの声。
しかし、何かを背負っているのか雰囲気は重たい。

プルルは下唇を噛み締めながら、リストに抱きつく。

プルル「こわいリスト、きらい!きらいきらいきらい!」

リスト「プルル!?」

リストはどうするべきか焦り、暗い雰囲気が消え失せる。

プルル「でも・・・でも」

プルルは顔を上げる。
リストの顔がプルルの正面にある。

プルル「リストのこと、大好きだから・・・きらいになりたくない」

リスト「プルル・・・」

リストは泣いているプルルの頭を撫でる。
そして明るい笑顔で口にした。

リスト「プルル、用事が終わったらまた花園に行きましょうか?」

プルル「うん、行く!」

リストから溢れていた負の感情は払拭された。



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あきゅろす。
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