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短編『観測者』
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マスター「早速とある世界に行ってほしいんだけど、いいかい?」

シャート「別に構わないよ」

マスター「最初に行って欲しい世界は他人の物語で『────』なのだが、いいかな?」

シャート「ああ、大丈夫だよ」

シャートは自分の様子を確認する。
力も問題ない。
武器も自分の世界では盾だったものだが、それを自由な武器に変換する事も確認した。

マスター「そうだ、君と一緒に『観測者』として行く人間を紹介しよう」

シャート「別に必要ないよ」

マスター「いいからいいから」

作者殿はそう言うと、一人の人間をシャートの前に歩ませる。
その姿を見たシャートは唖然とする。

何度も見たその姿。
茶色く長い髪を後ろで一つにまとめ、感情が希薄な表情だが微笑むと胸が熱くなり、直視出来なくなるほどだった。

マスター「君の物語が完結したあと、彼女は一人で物語を紡ぎ、君を待ち続けていたよ……これには私も驚いた。そんな彼女は君のパートナーにはピッタリかと思ってね……『観測者』はいつだって二人一組だ。これから頼むよ、シャート、クユラ」



作者殿はそう言い終えると二人を見送った。



そしてポータルと言われる場所へと辿り着く。
そこにある光る石に触れるとどこに行くかを選べるのだが。

シャートはクユラを見れない。
だが話さないわけにもいかないと声を掛けるために振り返った時だった。

シャート「!!」

クユラがシャートの胸に飛び込む。
シャートは態勢を崩さないように受け止める。

クユラ「やっと……会えた…」

シャート「悪かったよ、約束……破って」

クユラ「うん…でもここで会えたことが凄く嬉しい」

シャート「クユラ…」

クユラ「シャート、これから二人で頑張ろ?」

クユラはシャートを見上げる。
その笑顔はシャートの胸を熱くし、心臓の鼓動を早める。

シャート「ああ……これからはずっと一緒だ」

そして2人はポータルから数多くの世界を旅し、『観測者』として修正をしていく。







作者殿(マスター)によってもたらされた第二の人生ではあるが、シャートは満足していた。

最初では出来なかったことが今では出来るからだ。




これは……たった一人の少女の為に全てを投げ出し、全てを壊し、全てを作った男が……たった一人の少女との新たな日常を取り戻した物語…………『観測者』の物語だ。








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あきゅろす。
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