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短編『観測者』
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その後、シャートは親友のクロードに救われ、クロードの発言で操られていたのだと証明され、お咎めはなかった。


処刑の日、少女はその場に現れなかった。

義勇軍達の話では、逃げられたという話だったが、シャートとクロードは違和感を覚え、義勇軍の本拠地の立入禁止区域である地下へと向かう。


そこで見たものは、少女の魔物と話せる能力を応用して、自由に魔物を操り、その魔物を倒して手柄を立て報酬を頂くマッチポンプを行おうとしている義勇軍のリーダーの姿だった。

シャートとクロードはそれを止めに戦いを始める。

その最中、シャートは少女に手を伸ばすも少女は口にした。

自分には呪われた力がある。
それは全てを壊してしまうほどのとんでもないもの。それを親から無理矢理継がされ、捨てられたのだそうだ。
そんな力を持っていることはまだ誰にも知られていない。
ならばここで利用されて殺されてしまった方が世界の為だと…。
自分を必要としてくれる人は悪人しかいないのだから、生きていても仕方ないのだ、と。

シャートは少女の手を無理矢理掴む。
その場から助け出すが少女は疑問しかなかった。

シャート「この世界には綺麗なものや楽しいことがたくさんある。それを僕が教えてやる……見せてやる…だから、死ぬな。君の生きる理由は【僕だ】!」

と。
少女は彼の言葉に甘えていいのか不安だった。
自分は誰かを不幸にする。
だから、魔物だけと過ごしてきたのだから。

それでもシャートは諦めずにその場から少女を連れて逃げ出した。




全ての人間から追われる中、親友のクロードが止めに入る。

クロードは義勇軍の行いは非道ではあったが魔王を連れて逃げ出すのはやめろと話す。


シャートは少女の持つ能力を自分に受け継がせろと話す。
少女は、その力は呪われたものだと、自分で使いたくもない上に誰かに渡したくもない。

ましてや自分を助けてくれる人に渡すなど。



クロードはシャートに斬りかかる。
シャートは応戦するが、親友の方が実力は高く、苦戦を強いられる。

そしてその戦いの中でシャートは少女と約束する。


シャート「君が生きるのに邪魔なものは僕が全部排除してやる!呪われた力も君の幸せを妨げるなら僕が受け止める!」

と言い、少女はシャートに力を受け継がせた。

それはシャートの中で蠢き、彼の右腕を変質化させる。
まるで怪物の頭のように変化し、クロードに喰らいつく。


しかし、クロードは回避したが、シャートの腕は近くにいた魔物を喰らう。
すると彼はその魔物が使える『炎の力』を得たのだ。


それが【全てを貪る捕食者】だった。

喰らったモノの全ての力を未来永劫自分の物とする力だった。

だが、これは呪われた力。


最初に相まみえた者を喰らうことは出来ず、最初に相まみえた者には勝つことが出来なくなり、いずれ最初に相まみえた者に殺される呪い。


つまり、シャートは目の前のクロードには絶対に勝つことが出来ず、遅かれ早かれ彼に殺される事が決まってしまったのだ。



しかし、クロードは状況に対応出来ずに、シャートは少女を連れてその場から逃げ出した。





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