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短編『観測者』
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??「ぶはっ!?」

一人の男が目覚める。
そして体を確かめる。
近くに窓ガラスがあり、外には見たこともない神秘的と形容するべき極彩色の光が見え、大地と呼べるようなものがない場所が見えた。

ガラスで自身の姿を確認する。
中には簡易なシャツ、白いロングコートに眼鏡を掛けている。
ズボンとベルトを調べるとかつての仲間との仲間の証である手帳がない。
どうやらここは自分のいた場所ではないのだろう。

瞳は赤く、髪は黒。

男は右手を変質させる。
その腕は人のものとは言えず、まるで怪物の口のように変化していた。

??「【全てを貪る捕食者】(ラジエイトプレデター)はあるのか…」

男はそう呟くと腕を戻し、その場から動く。
一面ガラス張りのその空間から一筋の通路のようなものが見える。

そこを進んでいく事にした。

しばらく進んでいくとかなり広い庭園へと出た。

空を見上げると澄んだ水が小さな滝のようにして流れ、庭園の至るところを巡っている。
その中心に一つの建物が見えた。
だが、建物よりも男は、建物の前のテーブルの上で本と羽ペンを持ち、何かを書き記している老いた男を見つける。

ゆっくりと歩み寄ると、老いた男は口にした。

??「目を覚ましたようだね、シャート君」

シャート「あなたは……誰だ?」

??「そうだね……私の事は作者殿(マスター)とでも呼んでくれ」

シャート「作者殿?」

マスター「君の物語は終わった……いや、完結したと伝えた方が良いかな」

シャート「僕の物語…?」

マスター「目覚めたばかりで朧気なようだね」

作者殿は本を開き、手をかざすとシャートの体が光り始めると同時にシャートの頭に激痛が走り、シャートはその場に膝をつく。

シャート「何を……した…!?」

マスター「しばし耐えなさい、そして君の【大事なもの】を思い出すんだ」

シャート「僕の……大事な……もの?……」

そのままシャートはその場に前のめりに倒れた。




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あきゅろす。
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