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『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』
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クルスは【始の魔女】の中でミドリの記憶の中を辿っていく。しかし、彼は過去に彼女と出会ったことなどない。
クルスがミドリを知ったのは1年前だ。

どうするべきかと考えていた時だった。

クルス「これは?」

僅かだが、光が見えた。
その光に手を伸ばした時、クルスはダアトに降り立っていた。

しかし、その色彩はモノクロで辺りの風景もクルスの知らない世界のような感覚を覚える。

クルス「なんだろう……少し建物が新しいか、いや、こんなに暮らしている人は若かったか?」

その答えはミドリの過去に無事たどり着いたということを示していた。
クルスは何故自分が知らないはずの過去に辿り着く事が出来たのか疑問に思っていると、一人の幼い少女が手紙を見つめて泣いていた。
だがその少女は泣いているその様子のまま、静止していた。

クルス「これは……?」


クルスが手紙の中身を見ると、それはマソーが消息を断った事を示す内容だった。

クルス「じゃあ、この少女はミドリか……」

クルスが幼いミドリに触れようとすると、弾かれてしまう。弾かれた手を見つめてもう一度触れようとするとまた弾かれてしまう。

クルス「なんでだ!?」

クルスは弾かれようとも何度も彼女に触れようとするが、幾度試しても駄目だった。
しばらくして、クルスは何故自分がここに来たのか考え込む。

クルス「もしかすると、マソーとの約束……か?」

クルスはかつてマソーとの約束を思い出す。
錬金釜を譲り受けた際に同時に自分の娘と友人になることを約束したことを。

クルス「じゃあ」

クルスは呪文『モシャス』で自分をその時の子供の姿に戻す。そして、幼いミドリに触れると弾かれることはなくなった。

「あなたは?」

目を赤く泣き腫らした少女は子供の姿となったクルスに反応して声を掛けてくる。クルスは深呼吸をして口にした。

クルス「僕は……君の傍でずっと君を守っていく男だ!」

そう強く言い放つと、少女はクスクスと笑っている。クルスは急に恥ずかしくなり、顔を逸らすと幼いミドリを中心に光が溢れて世界が色彩を取り戻していく。




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