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『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』
ページ:8
クルスは問答無用で【魔導暴走】を展開する。
そして暴走呪文を放つが、それらはギルオンの目の前で【消滅】した。

クルス「なんだ……それは?」

目の前のギルオンは右手を突き出している。
そこからは淀んだ霧のようなもの、それに加えて体の底から嫌悪感が湧いて出るような感覚を覚える。

ギルオン「これは、私を復活させてくれた人間共がくれたもの……【怪異の力(ストレンジ)】だそうだ」

クルス「【怪異の力】?」

ギルオン「これは素晴らしい」

ギルオンはフッと笑うと同時にその力をクルスの周りに展開する。
それらは辺りの岩や植物に付着すると見たこともない生理的嫌悪を催す怪物に姿を変える。

ギルオン「魔力とも闘気とも違う力なのでな!」

クルスは暴走イオグランデで辺りを吹き飛ばすが、【怪異の怪物達】はそんなものなど物ともせずにそのままクルスに飛び掛かってきた。



??「【DLIST】!」


クルスの目の前に黒と白の色彩が現れる。
その男、シャートは空中に右手を走らせる。


シャート「やれ!」


シャートの目の前に文字が浮かび上がり、『ハッサン』と『テリー』という名前が刻まれると同時に青い服を身に纏った剣士と武闘家風の大男が現れる。


しかし、【怪異の怪物】の攻撃に召喚された者達も呆気なくやられてしまう。
シャートはクルスの腕を掴んでその場から離脱する。

クルス「シャート!」

シャート「クルス、早く戻るぞ!」

シャートの声は切羽詰まっていた。
だがクルスは何がなんだか分からずにいると、シャートが答えた。

シャート「奴らの目的が分かった」

クルス「はぁ?」

シャート「あいつの世界には【怪異の力(ストレンジ)】という力があるらしい。それを使ってお前達の世界の力を研究して新しい力を生み出そうとしている」

クルス「それとエリスが何か関係あるのか!?」

シャート「詳しくは分からないが、何かを復活させるのにあの少女が必要だったらしいが、ある過程でお前達の世界にエリスや奴らがやってきたんだ」

クルス「ある過程ってなんだよ!」

シャート「それは………」

そこでシャートは言葉を区切ってクルスを放り投げる。
シャートはクロードの一撃を受け止めた大剣を取り出し、ギルオンからの一撃を受け止める。

シャート「仕方ないか……クルス、早く戻ってエリス達を守れ!」

クルスは着地しながらシャートを見るとシャートはギルオンを弾き飛ばしながら続けた。

シャート「ここは僕に任せろ!」

クルス「だけど……?」

クルスは視線の先であの時注射を打たれたホイミスライムが不気味に蠢き、見たこともない化物に変えられていくのが見えた。

クルス「くそっ……頼んだぞ!」

クルスはすぐさま踵を返してダアトへと戻っていく。
シャートはそれを理解するとギルオンをしっかりと睨みつける。

ギルオン「異世界の存在風情が私に抗うか?」

シャート「正直言うと……僕は【怪異の力】の力は持っていなくてね。君に適切にダメージを与える手段は持ってない……でも、作者殿(マスター)曰く、世界のバランスを壊してしまう存在は排除しろと言われててね」

ギルオン「私の邪魔はしない方がいい、死ぬぞ」

ギルオンはそう言うと両手を広げる。
ギルオンの周辺の空間が歪み、歪みで捻れ切った場所から黒く腐った臭いを放つ粘液を纏った四足歩行の怪物が這い出てくる。

シャート「君はこの世界の【元魔王】なんだっけ?」

ギルオン「何が言いたい?」

シャートはギルオンを馬鹿にした笑みを浮かべてこう続けた。

シャート「その割には【自分の力】ってやつが無いんだねと思ってさ!」

シャートは【DLIST】は使わず、右手を怪物の顎のように変形させ、更に左手で大剣を構える。

そしてそのまま、這い出てくる怪物を切り裂きながらギルオンに向かって行った。





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