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『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』
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ミリア「母さん……って?」

クロード「そのままの意味だ、カルドスはコードとガムルの間に生まれた子供だ」

そう言葉を交わしていると、ニブルヘイムが立ち上がり、コードの命令を忠実に守ろうと噛み付いてくる。
クロードはその一撃を容易くかわし、刀を振り上げる。

クロード「行儀が悪いぞ、ニブルヘイム……いや、マスタードラゴンであるならば…」

クロードの刀から【虹色の光】が放たれる。

クロード「利口であろう?…だから、大人しくしてろ!!」

クロードはニブルヘイムの背中に【ヘブンズソード】を叩き込む。
そこでニブルヘイムは大きくダメージを受けたせいか、まだクロードに噛み付こうとするが体は動かない。

コード「お前など知らない!知らない!!」

しかし、クロードはそんな必死に否定するコードを無視して語り始める。

クロード「母さんはカルドスを産むのを嫌がっていた。だが、ガムルが欲した為に嫌だったが産むことにしたんだ。カルドス誕生後、ガムルはカルドスを可愛がったが、コードは自分からガムルの愛情を奪ったカルドスを憎み、妬み、ガムルの死後、カルドスをドゥルガの居城のあるドレイトスへと放棄した」

フリル「滅茶苦茶ね…」

サヤ「それが母親のやることですか?」

フリルとサヤがそう言ってコードを冷たく見る。
その視線にコードは発狂し、「知らない!黙れ!」と叫ぶ。

クロード「カルドスは20歳になったある日、コードに会いに行く為に【禁足地】へと向かった。だが、そこの光景はカルドスにとっても衝撃だったんだ」



ミリア達には分かる。
余りにも辛い両親の変わり果てた姿。

コードは有りもしない父親の幻影を追い求め、叶うはずもない復活を果たそうとガムル以外、自分も含めた全てを犠牲にしようとしている母親。
そんな母親に葬って貰うこともされずに機械に繋がれ、肉体を保存されている父親。

カルドスの絶望はとんでもなかった。

それすらもコードは吸い上げて【呪いの力】に変えたのだが……。



クロード「カルドスはコードの愚行を止めようとするが、コードに呪いを与えられ記憶の混濁が始まり、大魔王インフェルノの力で地上に飛ばされた」

クロードの話では、その場でコードを止めようとしたが、その時既にコードはインフェルノと結託しており、カルドス一人で戦うことも出来ずにやられてしまった。








ふらつく中、見知らぬ土地でカルドスは自分と……いや、母親と父親と似た雰囲気の人々が集まる里に到着する。

そこが『コーガムの里』だった。


カルドスは自分はコードの呪いで死に絶えることを理解していた。

そこで新たに生まれようとしている子供に自身の力を分け与えようと考えた。


願わくば、母親の愚行を止めてくれることを。
だが、誤算が生じた。
呪いによって意識、記憶共に混濁し、上手く力を分け与えられなかった。
強く感じたコードとガムルの温もりだけを頼りにそのまま息絶えてしまった。
結果、クロードとクルスが生まれたが綺麗に2つに分けることは出来ず、片方は魔力しか持てず、片方は魔力と闘気双方持つことは出来るが魔力は生成できない子供が生まれてしまった。



バロン「じゃがクルスは……普通の子供じゃったんじゃろう!?」

クロード「クルスの方は元々流産してしまうはずだった子供だったんだ……だから、ちゃんとした形で生まれなかったんだよ」

クロードは静かに目を閉じて口にする。

クロード「クルスなんて子供はこの世界に本当はいなかったんだよ……あいつは俺の……カルドスのただの【魔力の塊】だっただけだ!」

「!!」

そのクロードの言葉に誰もが息を呑む。
しかし。

ミドリ「いました!」

クロード「?」

クロードが視線をミドリの方へと向けると、クルスが喰われた場所に落ちていた魔導書と魔法の鞄を腕に抱えていたミドリが叫ぶ。

ミドリ「クルスはいました!ずっとずっと私達の傍にいました!」

ミドリはその場に膝をつき、涙を流し、嗚咽を漏らしながらも何とか言葉を紡ぎ出す。

ミドリ「私は………クルスが傍にいてくれるって………信じて……ま…す……これからも……ずっと…」

ミリア「ミドリ……」 

そんな中、コードはニブルヘイムに命令する。
大きなダメージながらも無理矢理体を起こしたニブルヘイムは再度ガムルをカプセルに繋ぎ止め、復活などしない肉体の保存を始めた。




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