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『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』
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サヤはそれを聞いて少し残酷な事を口にする。

サヤ「きっと魔王は勇者を逃された事に激昂しているはず、そのクルス君が生きている保証はないでしょう」

その言葉を聞いてミリアは自分の胸の辺りの服を力いっぱい握り締める。
そして歯を食いしばる。
そうしなければ泣いてしまいそうだったからだ。

自分が暴走してまた迷惑をかけてしまったからだ。


そんなミリアを見ていたサヤがミリアの前に立ち、肩にそっと手を置いた。

サヤ「自分を責めても仕方ありません」

ミリア「え…?」

サヤ「クルス君はあなたに託したんですよ、あなたが魔王を必ず倒してくれると」

ミリア「クルスが……私…に?」

サヤ「そうです、でなければ自分が逃げていたはずです。でもしなかった。それはあなたや他に逃した仲間にこの先を託したかったからでしょう」

ミリア「この先を…託す……」

サヤ「素晴らしい仲間ですね、レミリア」

ミリアはそこで自分の行いを反省する。
だが涙は流さない。
そんなものを流す暇があるなら、少しでも前に進むのだ。

クルスが託した道を歩むために。


ミリア「ありがとうございます、サヤさん」

サヤ「いえいえ、私は何も」

ミリアはそこで謙遜して笑顔を向けているサヤに疑問をぶつける。

ミリア「あの…どうして私の……本名を…?」

するとサヤはその場に傅くようにミリアの前に膝をつき、頭を下げたまま、口にした。

サヤ「レミリア・フォル・エルラント、私は大陸全ての港を仕切るレリア家の一人娘、サヤ・レリアと申します。10年前、あなたが全てを失う事になった悲劇の日、私はあの場にいました」

ミリア「えっ!?」

サヤ「私はお付きの護衛や傭兵の力、自分自身も戦うことで命からがら逃げ延びました……でも…【双翼の勇者】の片方【片翼の勇者】である貴方が生きていて私は嬉しく思います」

サヤが顔を上げ、その瞳とミリアの瞳が見つめ合う。
その時、ミリアは微かな記憶を思い出す。
自分がイマスに抱えられている時に、魔物と戦っているムチを振るう女性の面影がサヤにはあった。



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