『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』 ページ:3 レイナート、ミリア、クロード、バロンはパルタの少し外れにある森の中に来た。 少し拓けており、どこか人の手が入っているようで自然に出来たようにも見える。 ミリア「ここは?」 レイナート「ここは私が鍛錬をしていた場所です、多少草が生えていたりはしますが長年使っていたので、木々が生えることなく、十分な広さがあるのでちょうど良いかと」 レイナートはそう言うと、武器を下ろし、腰に剣を携える。 その姿に新鮮さを覚えているとレイナートはその剣を抜き、両手で柄を持つ。 バロン「それは、スヴェン殿に渡した『ミスリルソード』じゃな?」 レイナート「はい、死後私が受け継ぎました。ミリア、見ていてくださいね」 レイナートの言葉にミリアが頷くと、レイナートが深呼吸をしたあと、彼が手にしたミスリルソードの刀身が輝きを放ち始める。 オレンジ色の光を帯び始めた。 そしてレイナートはそれを頭上に掲げて目の前にある大木に向かって振り下ろす。 すると大木が消滅しただけでなく、そこから数メートルの木々や地面を光の奔流がえぐり取っていた。 ミリアがそれをポカンと眺めていると、レイナートが剣を鞘に収めつつ、口にした。 レイナート「これがスヴェン様の剣の奥義『剛魔神竜剣』です」 ミリア「剛魔神竜剣…」 レイナート「はい、これをあなたに」 ミリア「で、出来るかな…クロードの方が得意そうだけど…」 ミリアがそう言うとレイナートが口にする前にクロードが答える。 クロード「俺にはアルテマソードがある。それに今の技は闘気と魔力を同じくらい使っているように見えたからな」 レイナート「確かに闘気と魔力を同じくらい使える人間でないと今の技は使えません。スヴェン様の奥義は5つありますが、全てに対して適性が必要です。剣の奥義は魔力と闘気を同程度持っているミリアと私に適性があります」 ミリア「ごめんね、クロード…」 クロード「構わないさ、俺にはアルテマソードがあるんだ、ミリアにもそれ相応の剣技があると心強い」 クロードがそう言ってフォローするとミリアは頷き、剣を抜こうとするがレイナートに止められる。 レイナート「まずは左右の手で同じ量の闘気と魔力を放出する練習をしましょうか」 ミリア「うん、分かった」 ミリアはそう言って深呼吸のあと、右手から闘気、左手から魔力を放出しようとするが、途中で魔力を放出している左手から炎や雷が出始めた。 ミリア「あ、あれ?」 レイナート「ミリアは魔力と闘気についてどれだけ理解がありますか?」 ミリア「ちょっとだけ……クルスからは魔力を…闘気はほぼ勘…」 レイナート「勘?…バロンに教えては貰えなかったのですか?」 すると話に出てきたバロンは声を上げて笑いながら答えた。 バロン「いやー、すまんのぅ。ワシもほぼ勘で使っておるからの、ガハハ!」 その様子を見て、レイナートは小さなため息をつくと右手に白く輝く光球を出してから口にする。 レイナート「こちらは魔力になります。魔力とは人が持つ力、生命力、魔力、闘気の内の一つです。これは別の性質の力に変換しやすいエネルギーだと思ってください」 ミリア「別の性質の力?」 レイナート「はい、魔力はそのまま撃ち出す事も可能ですが、魔力は炎や風、闇などの別の属性の力にその性質を変える事が得意な力なのです。例えばそうですね、クルスはこの魔力の適性が非常に高いのでありとあらゆる属性の呪文を高い威力にして撃ち出す事が可能なのです、それに彼はミドリに告白する際に『ラナパーレ』という天候を晴れにする呪文を使ったでしょう?……あのように単純な力ではなく、摩訶不思議な作用をもたらすことも可能なのが魔力です」 ミリア「なるほど…」 そしてレイナートは今度は左手に青く輝く光球を出して、口にする。 レイナート「こちらは闘気となります。これは物理的性質のものを強化する力に優れています」 ミリア「物理的性質?」 レイナート「はい、剣や刀による斬撃、槍による刺突、拳による打撃などの事ですね。素手の拳ならばその皮膚や骨などの肉体を闘気で覆うことで威力と返ってくる反動を抑えます。武器による攻撃ならばその武器を闘気で覆うことで威力を上げるだけでなく、返り血による腐食を防いだり、硬い敵に対しての武器の損傷を抑えたりなどですね」 ミリア「凄い……分かりやすい…」 レイナート「ここまで詳しい話は私もスヴェン様以外からは聞いたことがないので、少し余計な話だったかもしれませんが」 レイナートがそこで苦笑すると、ミリアだけでなく、バロンまで感心していた。 クロードは闘気に関してはクルスから、魔力に関しては自身が嫌というほど聞かされていたので理解していたようだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |