『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』 ページ:9 サヤとレイナートはサルバスとツーグを連れて、外までやってきていた。 フォレリア内で、サルバスとサヤを見かけた人間は何事かと話していると、ツーグが向こう側から人相の悪い連中を連れてやってきた。 ツーグは【サヤとサルバスの近く】にいるはずなのにだ。 ツーグ「!?」 ツーグ本人が驚き、声を上げるとサルバスも気付いた。 するとツーグの偽物が人相の悪い男性を指差してこう言った。 フリル「話が通じないなら、御本人と話をすればいいんじゃないの?……盗賊団のボスさん♪」 そしてツーグに扮したフリルは本物のツーグの前で変装を解きながら口にした。 フリル「盗賊団の方にセワシア商会の情報を流して襲わせて、評判を下げようとしていたツーグさん、先程こちらのボスさんがですね、『お前、さっきフォレリアでセワシア商会の会長を引き付けるからセワシア商会の馬車を襲えって連絡してきたのに、なんでここにいるんだ?』と言っていたので、お連れしましたよぉ♪」 フリルはそう言うとケタケタ笑いながら跳躍し、盗賊団のボスの後ろに着地する。 サルバス「ど、どういうことだ…?」 ツーグ「こ、これは何かの間違いです!偽物の勇者達が僕達をハメようとしているんですよ!」 ツーグがそう言うと、その場にいた全員の頭の中に映像が流れ込んでくる。 レイナートはこの感覚を覚えていた。 これは【クルスが自分に真実の記憶を伝えてきた時の感覚】と同じであることを。 レイナートがその方向を見るとクルスがミドリと手を重ねて映像を魔力で見せていた。 自分一人では倒れてしまうかもしれないと見越してミドリの魔力と共にそれを行なっているのだろう。 流れ込んでくる映像は、ツーグが盗賊団やそのボスにお金を渡して積荷を襲うように指示していること。 サルバスに取り入って、セワシア商会の倉庫に入り、仲間と共に倉庫の商品に傷を付けている様子などがフォレリアに住む【全ての人々の頭の中】に映像として流れ込んできていた。 ツーグ「ち、違う!デタラメだ!偽物の勇者に騙されるな!」 そう叫ぶツーグと逃げようとした盗賊団のボスの後ろで、ミリア達が捕まえた盗賊達を放り投げる。 そして盗賊達が口々に話す。 「ボス、ツーグさん、助けてくれ!」 「こいつら強すぎる!」 ミリア「私が偽物の勇者なのはそうかもしれない、私は自分は勇者だって言われて育てられたから、みんなを無意識に騙していたかもしれない。でも、みんなに笑顔になって欲しいから困って悲しんでいたら嫌だったから、助けたいって思ったの…この先、私達は全力で大魔王や魔王に挑むけど、こんな汚い手口で私の仲間に手を出すなら容赦しないんだから!」 ミリアがそう言うと、捕まった盗賊達が怯えている。 サヤはツーグの体をムチで縛り上げる。 サヤ「ミリアが全部悪い?……ふざけるのもいい加減にしなさい。この子は16歳で必死に巨悪に挑んでいるのです。あなた達みたいな大の男が、汚い手口でチマチマやってる間にもこの子は世界を救うために全力で戦ってるんです。そんなミリアを馬鹿にする人なんて」 サヤはツーグを縛ったまま、ムチを振り回し、盗賊団のボスにツーグを放り投げてぶつける。 サヤ「死んでもお断りです!ミリアは私の大事な仲間なんですから!」 サヤはそう言うと、ツーグと盗賊団のボスにその場には似合わない満面の笑みで続けた。 サヤ「さーて、【商売のお話でもしましょう】か?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |