『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』 ページ:8 しかし、ミリアはバルザックの皮膚の上で剣の刃が止まった事に気が付く。 《弱い》 バルザックの長い尻尾がミリアの視界に入る。 ミリアはしゃがんでその薙ぎ払いをかわす。 しかし、バルザックに体を掴まれ、投げ飛ばされてしまう。 地面に体を打ち付けたミリアは痛む体を我慢してすぐさま立ち上がろうとして、バランスを崩し、膝をつく。 《弱い女だ、なのに口だけは立派だな》 ミリア「くっ………?」 そこでミリアの前にクロードが立つ。 その隣にはクルス、そしてミリアの体が淡く光った。 そして先程まで体を襲っていた痛みが消えた。 クロード「ミリア、一人で戦う必要はない」 クルス「僕一人でも余裕といえば余裕だけど、パーティー戦闘にも慣れなきゃね」 ミドリ「怪我、痛む?」 ミドリが不安そうにミリアを見るが、ミリアは、大丈夫、と小さく言って、クロードとクルスの間を通りながら口にする。 ミリア「ごめんなさい、先走って…」 そして、振り返る。 ミリア「私と一緒に…戦ってくれる?」 クロード「当たり前だろ」 ミドリ「はい!あの魔物は許せません!」 クルス「僕らを敵に回した事を後悔させてやる」 そしてミリアは深呼吸を一つ挟んでからバルザックに向き直る。 バルザックは笑っている。 《貴様のような弱い小娘とその仲間4人で俺を倒そうと?》 ミリア「その、つもりよ!」 ミリアは走り出す。 今度は隣をクロードが並走する。 ミドリは胸の前に手を組み、呪文を発動させる。 ミドリ「スカラ!」 ミドリは『スカラ』という呪文をミリア、そして続けてクロードに与える。 魔力によって肉体や装備の組織を強化し、守備力や強度を上げる呪文だ。 《愚かな…お前達の攻撃は俺には効かん!》 ミリアはそれを聞いて先程の事を思い出し、一瞬躊躇うが隣でクロードがミリアに伝える。 クロード「俺達を信じろ」 ミリア「え?」 クロード「大丈夫だ、信じろ」 ミリア「…分かった!」 ミリアはクロードのその言葉を信じて、剣を構え、その皮膚に一撃を加える。 さらに隣でクロードも居合斬りのように鞘に収められた刀を振り抜いた。 刃がバルザックに到達する瞬間、バルザックの体がどんよりした青い光に呑まれ、ミリアの剣とクロードの刀の表面が赤い光を帯びた。 そして…。 《ぐえあああああああ!!!???》 バルザックの体は先程とは打って変わって簡単に切り裂かれた。 先程は岩でも斬ろうとしたかのような手応えだったが、今はバターでも斬ったかのような手応えだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |