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『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』
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しばらく歩いていくと、広い部屋へと到着した。
そこには、カルセトの町で銅像になっていたタキシード姿のルーバフ本人と思われる肖像画とその下に少し大きめの宝箱のようなものがあり、その上に手紙が置かれていた。

手紙も宝箱もかなり古いものだったが、フリルは破れないように手紙を開いた。



『謎を解きし、我が子孫達よ。
この手紙を読んでいるということはあの謎を解いたのだろう。ならば私が真に追い求めたモノを子孫は手に入れたということだな。
私は勇者の仲間の一人だった。
私の怪盗術による潜入や変装、そしてその素早さを活かした短剣術は勇者の役に立った。しかし、生来の性格が災いして私は勇者のパーティーの中で孤立していた。勇者には優れた仲間が複数いた中で私のような小手先の技術の高い者など大した力にはなれなかった。
だが、勇者だけは私を見捨てることなく、信頼してくれたのだ。

子孫達よ、私は私が最も追い求めたモノを手に入れた君達にかつての勇者が使った勇者の剣の素材の一つを贈呈しよう。
それを売れば大金となるだろう……これ以外何も残してやれなくて本当にすまなかった。
私は富や名声よりも……ずっと【仲間】が欲しかったのだ。手を取り合える、素晴らしい仲間がな。
この部屋に辿り着き、この手紙を手にした子孫よ、町に残した謎を共に解いた仲間を大切にな。
私が言えたことではないがね、はは

孤独の怪盗、ルーバフより』




と書かれていた。
フリルはゆっくりと宝箱を開くと、そこには水色に輝く鉱石が入っていた。

サヤ「これは、宝石?」

ミドリ「鉱石…みたいですね」

するとクルスがハッとして魔導書ではなく、錬金釜のレシピ本を取り出してページをめくり、こう言った。

クルス「これ……【オリハルコン】だ…」

ミリア「【オリハルコン】?」

レイナート「今ではもう鉱山で取れることのないと言われている伝説の鉱石……ですか?」

クルス「銅系の鉱石なんだけど、世界一硬いと言われてる鉱石だよ!……勇者の剣の素材の一つはオリハルコンか!」

クロード「世界一硬いって事は、これで剣を作れば」

クルス「ああ、絶対に折れない最強の剣が出来るよ!」

クルスの興奮具合から、ミリア達はこの【オリハルコン】がとんでもない素材であることを認識する。
フリルは、手紙を自分の懐にしまうと立ち上がり、ミリアに【オリハルコン】を差し出した。

フリル「あげる」

ミリア「え…でも…」

フリル「私は御先祖様の真に追い求めたモノを探したくて今までついてきたけど、もう手に入ったから」

ミリア「あ……えっと…」

フリル「追い求めたモノは【仲間】だから。その仲間の為にこの【オリハルコン】が役に立つならお金なんかにするよりミリアに渡して役立てて貰う方がずっといいわ」

フリルはそう言って笑顔をミリアに向ける。
ミリアはオリハルコンを受け取り、力強く頷いた。

ミリア「ありがとう、フリル」

フリル「よっし、それじゃ、鍛冶職人を探しに行きましょう、あたしの御先祖様が遺した【オリハルコン】で最強の剣を作ってもらわなきゃいけないしね♪」

フリルがそう言うとミリアだけでなく、誰もが答えて頷いた。
そして、ミリア達はラレリアへと向かう。


アジトから立ち去る時、フリルはふとアジトを振り返る。

フリル「ルーバフ様はやっぱり凄いね……【私】…あなたの子孫で良かったわ♪」

フリルはそう言い残すと、ミリア達の後を追いかけた。






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あきゅろす。
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