『ドラゴンクエスト ─運命に抗う者達─』 ページ:6 神木の中は、根っこが壁に絡みついていたり、少し道が下の方へと伸びているせいか岩肌が見えていた。 クロード「この辺りはあの異臭はしないみたいだな」 ミリア「ミドリ、神木から流れてくる湧き水が井戸に繋がってるのよね?」 ミドリ「はい……あ、うん…」 ミリア「慣れないなら大丈夫だから」 ミドリ「あ、はい…」 ミドリは自分の話し方をどうにか変えようと無理をしているせいか話が前に進まない。 クロード「その湧き水が出る場所は決まっているのか?」 ミドリ「ええ、一番奥になります」 ミリア「そこに行きましょう」 ミリアがそう言うと、ミドリが先頭に立って案内し始める。 しばらくすると、川のように水が流れているのが見えたがその水が紫色に濁っており、あの井戸から立ち込めた異臭が漂う。 ミリア「どうやら当たりね…」 クロード「あの奥みたいだな…」 クロードが指差した先からは一層臭いが強くなっていた。 今度はクロードが先頭に立ち、奥へと進むと、そこは一面が池のように水が貯まっている場所だった。 岩の足場から落ちないようにその池を覗き込むと、紫色にまだ完全に染まっていない箇所があった。 ミドリはその水に触れようとした時、ミリアがミドリの腕を引き、後方へと飛んだ。 瞬間、ミドリが先程までいた場所に巨大な蛾のような魔物が飛びかかってきていた。 ミドリ「あれは…」 ミリア「あのデカい虫は何!?」 クロード「あれは!」 クロードが指差したのは頭上。 そこには目の前にいる巨大な蛾のようなモンスターがもう一体おり、そいつが紫色の鱗粉を貯まっている池の中にばら撒いていた。 クロード「あいつら……鱗粉の毒で水を汚してるのか」 ミドリ「そんな…ここの水は神木もお飲みになられるんですよ、このままじゃ枯れてしまう!」 そう言ったミドリの後ろでミリアは剣を抜いた。 ミリア「魔物が悪さしてるんなら、やる事は一つでしょ!」 クロード「そうだな」 クロードも居合の構えを取る。 ミリアは剣を構えてその巨大な蛾のような魔物『ポイズンフライ』を睨みつける。 ミリア「はあっ!」 ミリアは地面に着地しているポイズンフライに素早く近付き、剣でその顔面を斬りつける。 ポイズンフライはそれを空中へと飛んでかわし、鱗粉をミリアに浴びせる。 ミリア「!?」 ミリアはその鱗粉を吸い込んでしまい、その場に膝をつく。 喉や胸が焼けるように熱くなり、痛みと熱で呼吸が荒くなる。 ミリア「ど、毒……が…」 鱗粉を浴びせたポイズンフライはそのまま口を大きく開き、その細かく鋭い牙でミリアに襲いかかる。 しかし、間に素早くクロードが入り、居合斬りの要領でそのポイズンフライを一刀両断する。 2体のうちの1体はそれで霧のように霧散した。 もう一体の鱗粉を池にばら撒いていたポイズンフライがクロードに気付き、鱗粉を浴びせようとする。 クロードは跳躍してかわし、ミリアを抱きかかえてさらに後方へと跳躍する。 ミリア「はぁ……ぐ…ぁ」 苦しそうにするミリアにミドリがそっと優しく抱くように手を肩に乗せて目を閉じる。 すると優しい緑色の光がミリアを包み込む。 ミリア「え……」 毒によって少し虚ろな目となっていたミリアがミドリを見る。 ミドリはその呪文を口にした。 ミドリ「キアリー」 するとみるみる内にミリアの体から毒が浄化され、気付けば熱や痛みが引いていた。 ミリア「今のは…?」 ミドリ「私、攻撃は得意ではないんですが、回復や補助の呪文は得意でして…」 ミドリは、回復呪文で傷を癒やす『ホイミ』や毒を浄化する『キアリー』、補助呪文で体の組織や装備の組織を強化し防御力を上げる『スカラ』や足の筋力を強化し、素早く動けるようになる『ピオラ』などに長けているようだ。 クロード「あと一体だな、いけるか?」 ミリア「うん、大丈夫だよ」 ミリアは剣を構えて剣に魔力を通す。 すると刃から炎が溢れ出す。 ミリア「次で決める、クロード、援護して」 クロード「任せろ」 クロードが走り出したのと同時にミリアは走り出す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |