『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
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サーカステントは賑わっていた。
どうやらシャドウ達が騒いでいるようだ。
渉達が周りのシャドウ達を警戒していると結菜がステージを指差した。
そこには真弥がロープで吊られていたのだ。
彼女は状況が全く掴めておらず、声も出せずにいた。
さらにステージが明るく照らされていて客席側は全くと言って見えないことが彼女の恐怖心を駆り立てているようだ。
東坂衛のシャドウが現れた。
また逃げるのか、とも思っていたが今回は違っていた。
東坂衛のシャドウは自分をピエロへと変換させ、真弥を巨大なナイフで突き刺そうとする。
『さあ!ピエロによるナイフ刺しのショーでございます!』
とどこからかアナウンスが聞こえてくる。
しかしナイフのサイズはペルソナを串刺しにするほどの大きさ。真弥のみならず人間なんて簡単に潰してしまうほどの大きさだ。
渉「シグムント!」
渉はペルソナを召喚し、真弥を救出する。
真弥「なっ!?君は!」
渉「先輩、説明は後です!」
渉が逃げようとするとピエロがナイフを構える。
そのピエロの横顔をベオウルフが蹴り飛ばす。
玄治「寛太さん、あぶねえ!」
ベオウルフの体を謎のシャドウ使いが召喚した白衣の剣士が剣で切り裂く。
寛太「ぐっ!?」
寛太は痛みに耐えるがベオウルフが消えてしまう。
そして結菜の背後にフードを被ったあの男が現れ、ナイフを振り上げていた。
渉「結菜!」
結菜「ひっ!?」
すると、ナイフを振り上げていた謎のシャドウ使いの右手をサイスが後ろから掴んでいた。
謎のシャドウ使いは空いた左腕でひじ打ちをサイスに見舞うが、サイスはそれを右手で掴み、謎のシャドウ使いと背中合わせになり、右手で襟元を掴んで放り投げる。
サイス「その程度か?」
サイスは謎のシャドウ使いにそう口にする。
そして謎のシャドウ使いなど気にせずしゃがみこんでいた結菜の背中を撫でる。
サイス「早く行け」
結菜は阿莉愛とナギサの元まで走るがサイスは何もしてこなかった。
渉は先程のサイスの動きに覚えがあるような気がしたがよく思い出せなかった。
倒れていた謎のシャドウ使いが体を起こすと同時にフードがめくれ、中から宇都宮先生本人が現れた。
サイス「お前みたいな紛い物、シャドウ使いを名乗るに値しない」
彼が召喚していたシャドウは彼のシャドウだったのだ。
真弥「せ、先生…?」
真弥は宇都宮がナイフで女子生徒を、結菜を切りつけようとした様を見てしまったのだ。すると宇都宮は、汚い笑い声をひとしきり上げたあと答えた。
「僕は君達を操る座長なんだ。そして君達は演者、僕の描くように動いてくれなきゃ困る。風紀委員はそういう場所だ。学生達をコントロールするためのツールだ。だけど、みんな言うことを聞かない。だから僕はこいつと共により的確に演者を操りたいんだ」
と言い、自分のシャドウを指差し、また笑う。
「だから、相模原、お前も僕の言うことを聞いて生徒達をもっとコントロールしろ、いいなあ!?お前はどうやら風紀を乱すバカどもが嫌いみたいだからなぁ!?」
真弥はそれを聞いて渉から離れようとする。
渉「相模原先輩、危ないです」
真弥「大丈夫だよ」
真弥は宇都宮先生にツカツカと歩み寄る。
渉はいつでも助けられるようシグムントの操作と真弥の動きに集中する。
真弥「私はみんなが嫌いだとか誰かを操りたいなんて思わない、私はみんなにより良い生活を送って欲しくて風紀委員になっただけだ。でも私は自分のやりたいことばかりで他人を見ていなかった。だから、あなたとやっていることは似通っていたかもしれない。だけど、私は、それでも私は誰かのために自分の力を使いたい!そのための風紀委員だ!私自身だ!」
と言い放つ。
すると彼女の前に扉が現れた。
彼女の手には一枚のカード。
【正義】と記されたそのカードを鍵穴へはめ込み、鍵を開く。
「おい?何してんだ、相模原ぁ!?」
そして真弥は正拳突きを繰り出すように拳を突き出し、扉を開いた。
真弥「ペルソナ」
扉が開いたまま上空へと浮かぶように霧散する。
それと同タイミングで真弥の背後に槍を持ったきらびやかなドレスを着た女性のペルソナが現れる。
真弥「奴を裁け、ゼノビア!」
真弥のペルソナ、ゼノビアは槍を構え、宇都宮のシャドウである白衣の剣士を貫く。
「あああぁぁぁああ!?」
宇都宮はシャドウを不安定ながらに操り、逃げ出そうとする。
サイスがシャドウを召喚し、止めようとするが東坂衛のシャドウを盾にして宇都宮は逃げ去ってしまった。
東坂衛のシャドウはその場でうずくまり、許しを乞う。
「ごめんなさい、僕も僕自身もただ宇都宮の言いなりなだけなんだ……」
サイス「ちっ……なら喰う気はない」
「あ、ありがとう…」
東坂衛のシャドウはそうお礼を言って本人の元へと還っていった。
立ち去ろうとするサイスに渉が声をかけた。
サイス「なんだ?」
渉「ご、ごめんよ。宇都宮はシャドウ使いじゃないのに、お前らのせいにして…」
それを聞いたサイスは、立ち去りながらこう口にした。
サイス「お前はつくづく良い奴だな」
サイスが立ち去るのを見送ったあと、真弥が何がなんだか分からないと言った表情でみんなを見ていた。
渉「相模原先輩、また明日きちんとお話ししますから」
そう言って全員【ナイトメア】から帰還したのだった。
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