『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
7月1日(火)
夏の暑さが見え隠れしてくる時期に突然持ち物検査が校門で行われていた。
渉は特に問題なくクリアしたが、玄治は髪色や服装の注意を受けていた。
散々注意されまくった玄治は渉に気付き、近付いてきて肩を叩いて挨拶をしてきた。
玄治「いや、ほぼ毎回注意されてんだけど今回はまずいな」
渉「もう親父さんと啀(いが)み合う必要ないし、戻せば?」
玄治「いや、この姿はもう俺のトレードマークだろ」
玄治が自信満々に渉に宣言していたがすぐに渉の後ろに隠れた。
玄治の視線の先には一人の女子生徒。
長い黒髪をサイドテールにしている。
表情は眼光鋭く、厳しさを感じ取る。
玄治「あいつは一際校則に厳しいんだよ、3年の風紀委員で名前は確か、相模原真弥(さがみはらまや)だったな」
彼女は比較的校則の緩い愛善高校でそこそこ厳しく風紀を注意する生徒だった。
無論、玄治も目を付けられていた。
玄治「渉、このまま俺を隠しながら教室行こうぜ…」
珍しく弱気な玄治の言葉に「分かったよ」と返して渉達は教室へと逃げ込んだ。
そんな中、昼食時に渉が久々の弁当を鞄から取り出した時だった。
寛太が渉の教室まで来たのだ。
そしてたった一言「風紀委員に追われている」だそうだ。
渉「え、どうして!?」
寛太「ああ、実はだな」
寛太曰く、どうやら結菜にジュースを奢られている所をカツアゲしていると勘違いされ、相模原真弥に注意され、追われているのだそうだ。
寛太は教卓の下に身を潜める。
渉のクラスメイト達はザワザワと騒いでいた。
少しして風紀委員の真弥が現れ、渉に聞いてくる。
真弥「ここに三年の小野山寛太が来なかったか?」
渉「え、えっとぉ…見てないですね」
渉がはぐらかしていると何も知らない玄治が教卓の下に隠れている寛太に声をかける。
玄治「あれ、寛太さん、何してんの?」
寛太「ちぃっ!」
渉「馬鹿!」
寛太はすぐさま走り出す。
真弥はそれを確認して捕まえようとすると曲がり角で風紀委員顧問の宇都宮先生が現れ、「程々にしなさい」と真弥を注意した。
真弥は「今回だけは見逃してやろう」と言って寛太を見逃した。
渉と玄治はその様を見届けていると、真弥と宇都宮先生の周りに黒い靄が漂っていることに気付いた。
渉「え?」
玄治「おいおい、マジかよ…」
誰が犯人かは分からないが、一際強い靄がかかっていたのは、顧問の先生の側にいた風紀委員長である東坂衛という3年男子生徒だった。
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