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『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
6月9日(月)
渉は朝から気が滅入っていた。
何故なら玄治に「ナギサとのドキドキ同棲生活どうよ」とからかわれていたからだ。
阿莉愛も気になるのか、根掘り葉掘り聞いてきた。

実際、土日の間に渉は町を案内したり、祖父の畑の手伝いを一緒にしたりとナギサは全てが新鮮なのか何でもやった。
それに食事というものをしたことがあるのか疑わしいほど全ての食べ物に感動もしていたのだ。

流石に学校に通うことは難しかった為、家で渉の祖父母の手伝いをしているようだ。

玄治「で、どうなんだ?」

渉「別にどうもしないさ、やりたいことはさせてあげてるけどさ」

玄治「なんだ、ツマンネ」

阿莉愛「渉は玄治みたいにスケベじゃないから安心ね」

玄治「あぁ!?」

阿莉愛と玄治は仲直りしてもこの調子は変わらないようだ。
そして授業を終え、昼食の時間になると渉は昇降口から特殊学習棟の方へ行く途中の購買へとパンを買いに来た。
そこで林間学校で同じ班だった鈴木結菜がとある生徒に声をかけていて何かを断られていた。
すると一人の眼鏡をかけたスポーツ刈りの細身の男子生徒が現れ、何かを注意されていた。
ため息をつきながらトボトボと歩いていた結菜が渉に気付いた。
渉はコロッケパンとメロンパンとイチゴ牛乳を購入していたが、結菜の視線がイチゴ牛乳に注がれていた。
渉はカフェオレを追加購入し、結菜にイチゴ牛乳を手渡した。

結菜「え?いいんですか!?」

渉「そんな、物欲しそうに見られたら渡したくなるよ」

渉は少し笑いながら結菜に手渡した。二人は特殊学習棟から中庭に出てそこの長ベンチに座って昼食を摂る。
結菜がメロンパンを欲しがったので半分ちぎって渡した。
ついでに何をしていたのか結菜に聞いてみる。


結菜「えっとですね、ここ最近起きてる体調不良事件について調べてました。さっきは剣道部の人達に話を聞こうと思ったんですが、断られちゃいました。そして新聞部の眞壁部長に怒られちゃいました☆」

へへ、と砕けた笑いをする結菜に渉は林間学校の時とは違う印象を受けた。

結菜「あ、瀬上先輩」

渉「ん?なんだ?」

結菜「林間学校はすみませんでした!」

急に謝罪をされ、頭まで下げられたため、渉は驚く。そのまま結菜が続ける。

結菜「両親の話はご法度だって、魅奈ちんに怒られちゃいまして……すいません、あの時は少し調子に乗ってました!」

結菜がそうやって強く謝罪してきたので渉は「気にしてないよ」と答えた。

結菜「本当にすいませんでした…私、本当のことを人に伝えたくて、それに執着しちゃうんですよね…ごめんなさい」

結菜はなかなか謝る姿勢を崩さないので渉は簡単にだが、真実を探求する結菜に両親の話をしてみた。それを聞いた結菜は顔が青ざめていく。
結果、より謝る姿勢を強固にしてしまった。
今のは失敗だったな、と渉は反省する。

渉「俺はもう怒ってないし、気にしてないから大丈夫だぞ」

結菜「わ、分かりました」

ようやく理解してくれたようだ。
午後の授業の予鈴が鳴った。
そこで渉は結菜と別れ、それぞれの教室へと戻った。





放課後、結菜が諦めずに剣道部にインタビューをしに行く姿が見えた。渉は心の中で無理するなよ、と思いつつ、帰ろうとした時、後ろから悲鳴が聞こえる。
振り返ると結菜が倒れていたのだ。
慌てて渉は駆け寄り、状態を見ると黒い靄を視認する。

渉が保健室に結菜を連れていこうとするが、結菜はそれを振り払い、新聞部の部室の方へと行ってしまう。

結菜が心配だった渉は新聞部へとついていく。

文化部の部室棟で新聞部と書かれたプレートの部屋のドアを開けると、結菜が新聞部部長の眞壁に、早く帰れ、と注意を受けていた。

そんな中、渉は眞壁から黒い靄が出ていることに気付き、眞壁から「部外者も出ていけ」と追い出されてしまうが、玄治と阿莉愛にそのことを伝える。



家に到着し、祖父母の手伝いをしていたナギサにも相談し、【ナイトメア】に突入する。







四人が強い反応を示す方向へと走っていくとそこには、美術館があった。

玄治「うぇえ、俺、こういうとこ苦手…」

渉「美術の成績は普通だからなぁ」

阿莉愛「馬鹿言ってないで行くわよ」

入り口付近にいた警備員のようなシャドウは、玄治がベンケイで叩き潰し、中へと侵入する。

そこには愛善高校の生徒達の日常の写真が飾られており、近くの説明書きにはさまざまな秘密が書かれていた。

渉「これ、本当なのかな?」

渉が疑問に思っていると玄治が声をあげる。

そこには阿莉愛や玄治の写真があったが、説明書きの内容は全てデタラメ、噂の範疇の物だった。

玄治「親父と一緒に未成年に性的嫌がらせをする不良だぁ?…アホくせ」

阿莉愛「告白を断るフリをして男を漁るクソビッチ、ねぇ…馬鹿馬鹿しい」

冷静に言っているようだが確実にイラついている二人を宥めながら先に進むと、一際大きい展示室に眞壁のシャドウを見つける。


眞壁のシャドウは渉達を見つけると高らかに笑い始めた。
渉は、お前は何がしたいんだ、と問いかける。
すると、ひとしきり笑い終えてから答える。

「僕はみんなの秘密を伝えてあげたいんだ、みんな知りたがっているから」

しかし、玄治はすぐさま声を荒げて吠える。

玄治「俺や篠崎のことは、デタラメじゃねえか!」

と言うと眞壁のシャドウはまるで玄治の言うことは馬鹿げていると言いたげな表情で答えた。

「みんなが知りたいのはそんなつまらないものじゃない、僕らは君達に楽しいものを届けるのが仕事だよ」

と嘲笑う。しかし、そんな不気味に歪んで楽しそうにしている眞壁のシャドウに渉は冷静に言葉をぶつける。

渉「本当のことを伝えず、嘘を書いていたらみんな混乱する」

と、しかし、眞壁のシャドウはそんなこと耳も貸さないのか言い続ける。

「そうかな、君達は自分達が欲しいものだけ見るだろ。本当で真面目な文章なんて求めてないだろ?刺激が欲しいんだろ!」


眞壁のシャドウが合図を出すと警備員のようなシャドウが押し寄せてくる。
その混乱に乗じて眞壁のシャドウは姿を眩ましてしまう。

消えながら眞壁のシャドウは言う。

「君達は僕らの仕事を馬鹿にする、だから僕らも君達を馬鹿にする、公平だろ?」

と言い終えると姿を消した。

玄治「待ちやがれ!」

渉「くそっ!」

渉はシグムントを召喚し、眞壁のシャドウが消えた場所を切り裂くが虚空を虚しく、切り裂いた。

阿莉愛「ワルキューレ、射抜いて」

ワルキューレが弓を引き絞り、矢を同時に3本放つ。それは大きな一つの矢となり、警備員シャドウを何体も貫いた。

阿莉愛「逃げられた以上退くしかないわね」

ナギサ「離脱しましょう!」

渉「くっ!」

渉達は歯がゆい気持ちを抑えつつ、【ナイトメア】から離脱した。



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あきゅろす。
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