『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
5月22日(木)
翌日、阿莉愛の父親は捕まった。
そこからは時は急速に進んでいく。
まず、親権は母親に移り、阿莉愛は母親と暮らすことになった。
しかし、沙梨愛が行方不明な点は阿莉愛にとっても母親の花梨さんにとっても辛いことだった。
そして今までアルバイトをしていたが母親が楽しく学生生活をしなさい、とアルバイトをしてもいいが時間は減らしなさい、と伝えたのだ。
この町から去るのではないかと懸念していたが、阿莉愛は町からは消えない。
阿莉愛はシャドウ使い達に復讐するということで渉達に協力することとなったからだ。
だがそんな折、全員が指輪に触れているとナギサの声が頭に響いた。
ナギサ「皆さん、申し訳ありません、すぐに【ナイトメア】へ」
ナギサの切迫した雰囲気を感じ取った渉、玄治、阿莉愛の三人はすぐさま【ナイトメア】へとダイブした。
三人がナギサと合流した矢先にシャドウ使いのボス【サイス】がいた。
阿莉愛「あなた!!」
阿莉愛はすぐさま攻撃しようとペルソナを召喚しようとするが、以前現れた【トーク】と【イン】が止めに入り、【エア】と呼ばれる少女が空間を作り出し、ペルソナの召喚を制限する。
??「血の気の多い奴等だな、ペルソナ使いってのは」
サイス、トーク、イン、エア、アンの他にもう一人シャドウ使いと思われる青年が現れたのだ。
身長は6人の中で最も高く、声も低かった。
その場には6人のシャドウ使いが立っていた。
渉「サイス!」
サイス「【オリオン】挑発してやるな」
オリオン「ボスが言うなら仕方ないですね」
サイスはそのシャドウ使いをオリオンと呼んだ。
ナギサは渉に小さく耳打ちする。
ナギサ「戦いになってしまったらこちらが不利です」
渉「ああ、分かってる」
そうは言ったが、渉からはシャドウ使いに対して強い感情が溢れてきていた。
阿莉愛「沙梨愛を殺した理由は何!?」
阿莉愛はペルソナ召喚を制限されたことにより怒りを上手く放つ事が出来ず、より強くそう叫んだ。
サイスはゆっくりと答えた。
サイス「死んではいない、だが、しばらくは返せない」
そう答えた。
死んではいない。
その言葉に阿莉愛は少し穏やかな表情を浮かべた。
渉はさらに問う。
渉「なぜだ?」
問いただそうとするが、サイスはすぐさま答えた。
サイス「ペルソナ使いに話す理由はない、だが用が済めば返してやる」
阿莉愛「沙梨愛は心が傷付いてるのよ!何をする気!?」
阿莉愛の必死の叫びにサイスは答えず、自分の用件だけを口にする。
サイス「お前達が他人のシャドウをもう倒さないと誓い、二度とこの【ナイトメア】に来ないと誓うならすぐに返してやるよ」
と口にし、渉達が口を挟もうとしてもすぐさま割り込んで続ける。
サイス「俺達もシャドウを倒してるんだから、いいだろう?」
とまるで嘲笑うかのように聞こえた。
渉はナギサを見る。
ナギサはダメ、と口にしていた。
玄治も阿莉愛も渉もそれじゃダメだと思った。
渉にも上手く言い表せなかったが、ダメだ、と思ったのだ。
渉「いや、やめない!本当に同じなのか?」
と質問で返した。
サイス「同じだろう?」
とサイスは説き伏せるように暗示をかけるように口にした。
その時、ナギサが、全員に聞こえるくらいの大きな声を出した。
ナギサ「シャドウを本人に還さなかったら本人は意識を失ってしまいます!」
その声にどう反応するか渉はサイスをじっと見つめる。
仮面で表情は読めないが、そこでサイスは少し黙ってしまう。
渉はそれが答えだと思った。
渉「俺達はやめない!ペルソナ使いとしてシャドウ使いのお前らに任せておけない!」
と言い放った。
サイスは大きなため息をつき、シャドウ使い達に、撤退すると告げた。
撤退しながらサイスは小さく呟いた。
サイス「こうなるのは運命なのか…」
と。
渉達はナギサの方を振り返る。
渉「俺はシャドウ使いを放っておけない、ナギサと一緒にこれからも戦うよ」
玄治「俺は母さん助けられるならって思ったけど渉だけにやらせるなんて出来ねえよ」
阿莉愛「知ってしまった以上は続けるわ、それに沙梨愛も生きているなら助け出したいから」
ナギサ「皆さん…ありがとうございます」
そうして固く誓い合った四人だった。
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