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『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
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渉はダイブしながら夢を見ていた。
とてもとても高い塔が見える。
その塔の麓に阿莉愛の父親である篠崎辰巳の姿を見たのだ。

そしてダイブした所にナギサが立っていた。
ナギサはすぐさま渉に話しかけてくる。

ナギサ「渉さん、大変です。また自我を持ったシャドウの反応です」

渉「ああ、分かった!」

渉とナギサは二人でその場からも見える塔を目指すのだった。

二人が塔の麓までたどり着くと、篠崎辰巳と篠崎阿莉愛の両名がいたのだ。


渉「え!?篠崎さんまでいるのか!」

ナギサ「渉さん、シャドウ達に囲まれています」

二人はシャドウに囲まれていた。
馬のようなシャドウ、ビックリ箱のようなシャドウと様々だ。

渉「来い!シグムント!」

ナギサ「守って!ジャンヌダルク!」

二人はペルソナを召喚する。
ナギサは即座に二人の近くへと移動し、防御用のバリアを展開してシャドウを弾き飛ばす。
渉はシグムントを操作し、少し体の大きい馬のシャドウは剣で切り裂き、ビックリ箱のようなシャドウには炎の力を浴びせて灰にする。
そこで阿莉愛が渉の姿を視認する。

阿莉愛「瀬上君!?」

渉「ああ、色々と聞きたいかもしれないけど今は後にしてくれないかな、あとでちゃんと話すから」

渉はそう言うと辺りを見渡す。
シャドウの数は減ってきている。今のうちに離脱するべきか決めあぐねていると、塔の上の雲が晴れていく。
そこからペルソナとは比べ物にならないほどの大きさの妖精が現れた。

その肩にはなんと阿莉愛の妹の沙梨愛が乗っていたのだ。


阿莉愛「沙梨…愛?」

ナギサ「違います!あれはシャドウです!」

渉「え?沙梨愛ちゃんのシャドウ!?」

渉も驚愕していた。
花梨さんの話を聞いている限りではてっきり父親にシャドウがいるのではと思っていたが、沙梨愛だった。

阿莉愛「沙梨愛!あなたそこで何をしているの!?」

阿莉愛はその妖精の肩にいるのがシャドウだとは分からず、呼び掛ける。
だが沙梨愛のシャドウは阿莉愛を見つめると独り言のように口にし始めた。

「私は知ってるの、犯人を…私はそこの男に利用された…」


そういうと父親を指差した。。

「現実の私は知ってしまったの、お前が現実の私を利用して酷い目に遭わせたことを…でも戦えないから、もう…そうするほどの力が現実の私にはない、だから私が代わりに戦うの…たとえ現実の私を食い潰しても」

と語る。
阿莉愛は状況が分からず、父親が悪い奴なのかも分からず、混乱する。
渉はペルソナを召喚し、妖精に自身のペルソナが操る炎の力をぶつける。
しかし、妖精には聞いている様子がない。

渉「炎が効かないのか!?」

妖精が指を回す。
すると渉とシグムントの周りにかまいたちが発生し、二人を切り刻む。

渉「うあああああ!?」

ナギサ「渉さん!」

ナギサがすぐさま駆け寄り、ジャンヌダルクの癒しの力を使い始める。

阿莉愛は沙梨愛のシャドウにやめるように言うが彼女はやめない。
ナギサは阿莉愛に呼び掛ける。

ナギサ「あなた方だけでも逃げてください!」

しかし、阿莉愛は呆然としたまま、沙梨愛のシャドウに再度話しかける。

阿莉愛「沙梨愛、お父さんが悪いことしてたって本当なの?」

「本当だよ、お姉ちゃんもね、その内利用されちゃうんだよ…ママが助けてくれようとしてたのに…いつも追い返して…この役立たず!」

そう言い放つとナギサのペルソナを風で吹き飛ばす。
ナギサも地面に倒れ込む。

阿莉愛「ごめん、私、沙梨愛のこと、何も分かってなかった…私、何も知らなかったんだ…」

と泣き崩れてしまった。そのまま泣いてしまうかと思っていたがすぐに顔を上げる。

阿莉愛「沙梨愛、あなたのやること分かるわ…お父さんともちゃんと話をしないといけないけれど、でもあなただけには背負わせない!だって!私はあなたのお姉ちゃんだから!」


そこで阿莉愛は急に頭痛でうずくまる。
声が聞こえるのだ。

──我は汝、汝は我
───自身の心を固く結びし者よ
──我を解き放て

阿莉愛の目の前には扉。
見たこともない、だが何故かそれの使い方が分かる。
手には1枚のカード。
それの意味も数字も分からなかったがそこに書かれているものが【女教皇】であることは理解できた。
阿莉愛は鍵穴にカードをはめ込み、鍵穴を回す。
そして鍵の開いた扉をゆっくりと腕で押し開ける。

阿莉愛「ペルソナ」

扉は開いたまま上空へと霧散し、彼女の背後には弓と白いローブを纏ったペルソナが現れる。
そのペルソナは弓を引き絞ると一気に5つの矢を放った。

阿莉愛「貫いて…ワルキューレ!」

阿莉愛はペルソナ、【ワルキューレ】を操り、放った矢が雲間をすり抜け、妖精の上空へと高く上がったのち、それらが氷の雨となって降り注いだ。

妖精は体や羽根に穴を空けられながらも肩に乗っている沙梨愛のシャドウは守りつつ、塔の一番上へと閉じ籠ってしまった。

そして渉とナギサは傷付いた体を無理矢理起こして、阿莉愛と共にその場から離れる。
阿莉愛の父親はどこかへと行ってしまっていた。


阿莉愛は渉とナギサから説明を受ける。
沙梨愛のシャドウを倒し、本人の元へと還さないと現実の彼女と入れ替り、周りの人にも危害がおよぶ、と。

阿莉愛「そうなの、分かったわ…私もあの子を沙梨愛を守りたいから協力するわ」

阿莉愛はナギサから指輪を受け取り、渉達に協力することを誓った。

渉「これからよろしく、篠崎さん」

阿莉愛「あぁ…阿莉愛でいいわ、名字はなんだか好きじゃないの」

渉「そう?…じゃあ、よろしく、阿莉愛!俺のことも渉って呼んでくれていいよ」

阿莉愛「よろしくね、渉」

そして阿莉愛はナギサを見る。
ナギサも自己紹介をして笑顔を向ける。

阿莉愛「よろしくね、ナギサ」

ナギサ「はい、阿莉愛さん」

そして渉と阿莉愛はナギサにまた来ることを約束して【ナイトメア】から離脱した。



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