『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
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それから待って1時間ほど経った。
19時頃、阿莉愛が出てきたのだ。
玄治が阿莉愛の前に躍り出ると、阿莉愛はため息を大きく吐き、玄治をかわす。
玄治「おう、篠崎、ここでバイトしてたんだな」
阿莉愛「邪魔よ、どきなさい」
玄治「なあなあ、ここの時給とか高いの?ねえ?」
阿莉愛「あなたね」
阿莉愛が玄治を睨み付けた瞬間だった。
渉と暦翔が玄治の頭を大きく振りかぶって叩いた。
玄治「っってえ!?」
渉「篠崎さん、ごめんよ!」
暦翔「僕からも謝る、玄治が待つって言って聞かなかったんだ」
阿莉愛「ふん」
阿莉愛は渉達からそっぽを向き、スマホで誰かと連絡をしていた。
阿莉愛「何か用があったの?」
暦翔「玄治が君をストーキングしててね」
玄治「えっ!?」
渉「俺達は玄治が君に何かしないように見張ってたんだ」
阿莉愛「サイテーね、あなた」
阿莉愛がゴミでも見るような目を玄治に向けた。
玄治はゴチャゴチャ言っていたが暦翔に、自業自得だ、と睨まれていた。
すると喫茶店の前で1台の車が止まった。
助手席の窓が開く。
そこには阿莉愛に良く似ているが体も小柄で短髪の可愛らしい女の子が乗っていた。
暦翔は渉に耳打ちする。
暦翔「あの女の子が、沙梨愛ちゃんだ」
渉「あの娘が…」
すると沙梨愛の横から男性が一人、阿莉愛に話しかける。
「おや?…阿莉愛、お友達かい?」
阿莉愛「この二人だけね」
と阿莉愛は渉と暦翔だけを指差す。
すると男性はニッコリと笑い、玄治にも挨拶をする。
辰巳「私は阿莉愛とこの沙梨愛の父親で篠崎辰巳と言うんだ、よろしくね」
渉「瀬上渉と言います」
玄治「俺は…んぐ!?」
暦翔「ご丁寧にありがとうございます」
暦翔は玄治の口を慌てて押さえる。
阿莉愛は後部座席に乗るとこう言った。
阿莉愛「私はね、私達を捨てて逃げた母親の代わりに頑張って働くお父さんの手助けがしたくてアルバイトをしているの、馬鹿にしたり邪魔をしに来たりは二度としないでもらえる?」
そう言うと窓を閉めてしまった。
辰巳「じゃあ、3人ともさようなら」
そう言うと助手席の窓も閉める。
沙梨愛が表情を変えず、小さく手を振るので渉も小さく手を振った。
玄治「てめえ!何しやがんだ!?」
玄治が暦翔の手を乱暴に振り払う。
暦翔「馬鹿は君だろう!封筒の件を知ってるのは僕らだけだ、沙梨愛ちゃんの前で自分を襲った奴の息子が自己紹介なんてしてみろ!パニックになるかもしれないだろ!」
玄治「うぐ…」
それを聞き、玄治は、すまん、と一言口にした。
渉達はバツが悪くなり、そのまま暗い雰囲気のまま、解散となった。
渉は指輪を付けずにそのまま寝た。
その日は別段夢も見ずに終わった。
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