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『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
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渉は辺りを見渡す。
するとナギサの姿を見つける。
そして昨日と同じ館へと走って向かった。

館の前には人影が。
近付いていくとそれはあのロングコートの男、シャドウ使いのサイスだった。

渉「サイス!」

サイス「【ナイトメア】は本当に何が起こるか分からない、本人とは関係のない人間まで来てしまうからな」

そう言い終えると同時に悲鳴が聞こえてきた。
サイスは背を向け、渉とナギサに言う。

サイス「行け、今日は別の用があるからな」

サイスはそう言うと、自身のシャドウを召喚し、その肩に乗ってどこかへ飛んでいってしまった。

渉とナギサは気になりつつも館へと入り、奥へと進んでいくと昨日、母親のシャドウと戦った広間の奥に、母親本人と父親がおり、母親のシャドウと共に人形達が取り囲んでいた。

そこで渉は目を見開く。
その輪の外ではあるが玄治が立っているのだ。

玄治は訳が分からず、母親のシャドウに問いかける。
母親のシャドウはニタリと不気味な笑みを浮かべて口にする。

「現実の私は玄治も父親も大事にしたいが現実のプレッシャーがそれらを押し潰し、父親も言うことを聞かない。だから私が…現実の私よりも強い力を持つ私が現実の私の代わりに全てを守ってあげる」

と語る。母親のシャドウはケタケタとまるで人形のごとく笑う。

シャドウが現実の世界に飛び出せばどうなるか分からない。

母親のシャドウは、玄治も捕まえようと人形を操る。
玄治は抵抗しようと一心不乱に手を振り回す。

そこに渉とナギサがペルソナを召喚して玄治と母親のシャドウの間に躍り出た。
玄治が何が起きているのか渉に問いかける。
玄治からすれば渉と見知らぬ少女が何かを召喚して操り、自分を助けたのだ、混乱するのも無理はなかった。

渉がどう答えるべきか悩んでいると、父親が叫ぶ。

「た、助けてくれ!」

と。
母親は俯いて黙ってしまっていた。

玄治「うっせえよ!てめえで何とかしやがれ、クソ野郎!」

渉はそうやって未だに父親に噛みついてキレている玄治を宥(なだ)めようとする。
そんな渉を見て、玄治は苛立ちから渉の頬を殴ってしまう。
しかし、渉は反撃せずに言葉を投げ掛ける。

渉「憎む気持ちも分かるけど、まず話をしてみないか」

と説得しようとするが、玄治は聞かない。

そんな中、母親のシャドウが渉とナギサに人形をけしかける。
二人は玄治を守りながら戦うが、母親のシャドウが苦戦する二人を無視して玄治の両親を連れていこうとする。
それを見て玄治は母親のシャドウに声をぶつける。

玄治「頼む!母さんだけでも助けてくれ!その横のクソ野郎は殺しても構わねえから!」

と、しかし、シャドウは本人を殺すことで現実に出られるので話など聞かない。

玄治は父親を殺せ、と叫び続けるが相手は聞かない。
そんな中で渉は玄治をいきなり殴り飛ばす。


それに対して更に怒りの増した玄治は渉を殴り返して馬乗りになった。

何度か玄治に殴られてから渉は胸に秘めていたことを口にする。


渉「俺は玄治が羨ましいよ、母親がいて、憎んでるけど父親がいて……やり直せる機会があるのが羨ましいよ」

と話す。

そこで玄治は、渉が両親を失っていることを思い出す。渉が羨ましいと言ったのは愛そうが憎もうが玄治には親がいるが渉にはもうその存在がいないから口にしたのだと。

玄治「渉…すまねえ…」


そして、玄治は渉の上から退き、母親のシャドウに向かって叫ぶ。

玄治「おいアンタ、俺の両親を返してもらおうか」

その玄治の問いに母親のシャドウはニタリと笑いながら問いかける。

「父親は殺してもいいんだろう?」

と嘲笑って口にする。
それを聞いて玄治は思い切り声を荒げる。

玄治「殺したいほど腹は立つよ、でも母さんはそれでも親父が大事でこんな変な場所まで作って大事にしたいって思ったんだろ…だったら、許しはしねえけど、殺させやしねえよ!母さんの為だ!」


とその時、玄治の頭の中に声が響く。

──我は汝、汝は我
───汝、力を解き放て

すると玄治の目の前に扉が現れた。

渉とナギサはそれを見てハッとする。

玄治は手にカードを手にしていた。
彼にはそれが何なのか分からなかったが、【戦車】のアルカナであることは理解できた。
玄治は鍵穴にカードをセットし、鍵を回す。
そして殴り飛ばすように扉を開く。

玄治「ペルソナ!」

扉が開き、上空に浮かびながら霧散した扉の代わりに法師風の見た目に巨大な棍を手にしたペルソナが出現する。

玄治「ぶっ飛ばせ!ベンケイ!」

玄治のペルソナ、ベンケイは母親のシャドウまで一気に距離を詰め、その巨大な棍を叩きつけたのだ。



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