『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
5月7日(水)
翌日、渉は教室で玄治と会う。
当然だ。同じクラスで隣の席なのだ。
渉が挨拶をしても玄治は無視した。
阿莉愛にも挨拶をすると阿莉愛は普通に挨拶を返してくれたが玄治の態度を見てため息をついた。
その後授業中も無視され続けた。
だが渉は玄治がスマホでしきりに誰かと連絡を取っていたことは見ていて分かった。
午後の移動教室の時、玄治は筆箱を落とした。
渉が拾って手渡すと乱暴にそれを受け取る。
渉が一度顔を伏せてから顔をあげると玄治が膝をついて頭を抱えていた。
渉「玄治!?」
渉が玄治に駆け寄り声をかけると玄治は腕を振るい、渉を突き飛ばす。
渉「保健室行くぞ!」
玄治「うっせえ!俺に構うんじゃねえよ!」
渉は無理矢理にでも彼を連れていく。
その様子を見ていたのか、突然暦翔が現れ、渉と協力して彼を保健室に連れていった。
九条院先生は、もう慣れた、という風に謎の体調不良に対する処置を行う。
渉は玄治に声をかけるが彼は渉に何も言わない。
その時、暦翔が玄治に声をかけた。
暦翔「轟君、小学校の給食センターで何人もの人が倒れて父さんの病院に搬送されたそうだけど、何か知らないかい?」
玄治は暦翔のその言葉に反応する。
そして舌打ちをしたあとに独り言のように話し始めた。
玄治「母さん、朝から調子が悪かったんだ…だから無理するなって言ったんだが、行っちまってな…母さんの体から変な【黒い靄】が出てるのも見えちまうし、一体どうなってんだよ…」
と、渉と暦翔は【黒い靄】という点に反応する。
玄治「んでよ、母さんからメールが来て返信したりしてたんだけどよ、俺はどうすればいいか分からなかったんだ…そしたらついに母さんも病院に運ばれたって聞いてな」
暦翔「それも聞いた。でも体調が少し悪いだけでなく、体に疲労が溜まっていたみたいだし、今日は1日病室で安静にしてもらうけど」
玄治「けっ…偉そうに…」
渉は玄治に声をかけようと思うが上手く言葉が紡げなかった。
玄治は、寝る、と言って保健室のベッドで横になり、渉と暦翔は授業に向かう。
暦翔「渉、放課後、轟君のお母さんに会いに行ってみないかい?」
暦翔は恐らく【黒い靄】について聞きたいのだろうと思った。渉もそう思っていたのでそれを了承する。
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