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『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
5月6日(火)
渉はナギサに誓ってから日が過ぎた。
それから何も音沙汰なく、ゴールデンウィークも過ぎ去り、普通に学校に通っている。
ちょくちょく【ナイトメア】に入り、ナギサとペルソナを扱う訓練も行い、そんなに疲れることもなくなった。
それに加えて基礎体力も上げようと早朝走ったりすることも始めた。

そんな5月の6日。
学校に来るとあの玄治が休みだったのだ。
ある意味ここ最近で一番の驚きだった。
そんな中、放課後、沖唐先生の代わりに担任もなった間藤先生が渉を呼び出す。

間藤「瀬上、すまんがこれを轟の家に届けてくれないか?」

と間藤先生は6月の初めに行われる林間学校の参加届を渉に手渡した。

渉「俺がですか?」

間藤「ああ、すまんな。轟の家は特殊でな、家の人が夜にしかいないから連絡も難しい上に参加届の提出期限も近いんだ」

渉「先生が行けば…」

と渉が言葉を続けようとすると間藤先生が頭を下げてきた。

間藤「すまない、頼む」

とお願いしてきた。
何か分からず、だが玄治の家にも行ってみたいと思っていた渉は、これを承諾し、玄治の家に向かうことにした。




玄治の家は渉の家よりは少し学校に近い所にあった。
中央モールから学校に向かい、さらに少し過ぎたところにあるアパートの1階だった。
お世辞にも綺麗なものとは言えなかったが、渉はこういったアパートが嫌いではなかった。
渉は番号を交換したときに一緒に載っていた住所を検索し、アパートの番号を確認して、ボタン式のチャイムを鳴らそうとした瞬間だった。

突然アパートのドアが開き、見窄らしい作業服姿の男性が背中から倒れるように飛ばされる。
アパートの中には玄治がいた。
玄治は男を睨み付けると口にする。

玄治「次来たら殺すぞ」

それを聞くと男性は舌打ちをし、そそくさにその場から立ち去る。
そこで玄治は渉の姿を見かけて驚く。

渉「あ、あのさ、林間学校のこれ」

と参加届を見せると玄治は渉に中に入るように促した。渉はそれに従う。

玄治「母さん、友達の渉が来た」

と言うと、少し変に痩せている女性が現れ、こんにちは、と笑顔を見せる。
渉は玄治に言われるまま、座布団に座る。

玄関を開けてすぐがキッチン、右手にトイレと風呂。
ガラス戸を部屋の真ん中で挟んで和室とその奥の襖を挟んで玄治の部屋となっているアパートの部屋だった。

和室で渉が林間学校の参加届などを渡すと玄治は、ありがとう、と答えた。
そして玄治の母親がお茶を出してくれると静かな時間が流れる。
すると玄治が、もう隠せねえよな、と言うと先程の男について話し始める。

玄治「あいつ、俺の親父なんだよ。ちょっと前によ、酒に酔った勢いで未成年の女の子に猥褻な事してよ、警察に行かずに逃げ回ってやがんだよ」

渉「…え?」

玄治「そのせいでさ、母さんは今は小学校の給食センターで働いてるけど、昔働いてた市役所クビにされてよ、俺もレイプ魔の息子って言われてクズ扱いされたんだよ」

渉は間藤先生が近付かなかったり、4月に篠崎が噛み付いたりしたのはそれが原因か、と思う。

玄治「だから俺さ、あいつ、嫌いでよ。渉はこの前俺に自分の親の話してくれただろ?…だから話そうと思ってよ…」

玄治はそっぽを向きながらそう口にする。
渉はなんと言っていいか分からなかった為、そのままの事を口にした。

渉「話してくれてありがとう、俺に出来ることなんてほとんどないだろうけど、俺は玄治が悪い奴とかクズなんて思わないよ、だって俺の友達になってくれたからさ」

と思ったままの事を口にする。
すると玄治はその言葉を聞いて一筋涙を流した。
渉は慌ててしまうがすぐに玄治は涙を拭う。

玄治「ありがとよ、そんなこと言ってくれんの二人目だからさ」

渉「二人目?」

玄治「ああ、一人目はあの黒鐘だよ」

渉は、やっぱりレキは凄いな、とそう思った。


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あきゅろす。
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