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『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
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一通りの話を終えたあと、灰山咲綾は顔色が悪くなる。
すぐに暦翔は彼女の体調を気遣い、ナースコールを鳴らそうとするが、咲綾は「大丈夫です」と口にする。

そんな中、ナギサは突然病室から飛び出してしまった。

渉「ナギサ!」

渉はすぐにナギサの後を追った。
彼女の背中を追っていき、たどり着いたのは黒鐘総合病院の屋上だった。
息を切らし、膝に手をついて、息を必死に整えているナギサの背中に向かって渉は声をかける。

渉「ナギサ、あのさ」

渉が言葉を紡ごうとした瞬間に、ナギサが先に語り始めてしまう。

ナギサ「私、馬鹿ですよね…記憶がないの当たり前ですよね…私、咲綾さんのシャドウで邪神の操り人形だったんですから」

渉「ナギ…」

ナギサ「私にも帰る家とかあるのかなって思ってたんですが、そんなもの在りもしなかったんですね…」

ナギサは渉の方を振り返る彼女の目には涙が溜まっていた。
知らされた真実がどれだけ重くとも受け入れる覚悟をしていた。だが、それがあまりにも悲痛なもので彼女は耐えられずにいる。
そんな彼女を見て渉はその心の赴くままに行動することに決めた。ここで言葉を並べて在り来たりな言葉を並べるのは簡単だ。だが、そんなものは今の彼女には苦痛でしかないからだ。

渉「ナギサ!」

ナギサ「渉さん!私…わたし…」

泣き崩れるナギサを抱き締めて渉は口にする。

渉「ナギサは灰山咲綾のシャドウかもしれない、操り人形だったかもしれない、だけど、俺はナギサに出会えて本当に良かった…ペルソナ使いになって一緒に戦えたことや一緒に過ごした日々は俺にとってとても大切な思い出だ。だから、ナギサ、君が何者であろうと俺は逃げないし、受け入れる。君を見捨てたりなんかしない!俺が…俺が!ナギサの帰る場所になるからさ!」

と───。
それを聞き、ナギサは渉に抱かれながら泣いた。
彼女が泣き止むまで渉はナギサを抱き締める。
渉に出来ることなんてちっぽけかもしれないが、これ以上の最善は彼には思い浮かばなかった。




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