『PERSONA ─INDEX ALTERNATIVE─』
ページ:9
渉「はぁ…はぁ……」
幾度シャルルマーニュを駆っただろうか。
怪物は未だに再生を繰り返して無傷の状態であった。
怪物がまた吠える。
シャルルマーニュは消えないが渉は膝をつく。
怪物が飛びかかってきた瞬間に、渉の目の前に複数のリングを腕に着けたシャドウが現れる。
シャドウ使いが現れたのだ。
シャドウ使いは、ペルソナ使いと怪物の間に立っていた。
玄治「こんなときに…」
結菜「ぴ、ピンチだよ!」
だがサイスはペルソナ使いには目もくれず、仲間に指示を出す。
サイス「アン、ここで分析を頼んだ。エア、その男を守れ。トーク、イン、オリオン、ディアナ、行くぞ」
サイスはエアとアンをペルソナ使い、もとい刑事の元に残して五人は怪物と戦い始める。
渉はその場に残っているアンに聞く。
渉「何のつもりだ?」
アン「不甲斐ないペルソナ使い達の代わりに私達が戦いましょう」
と口にする。
その後は渉達が何を言おうと見向きもしなかった。
渉はサイス達を眺める。
サイスは早々に怪物をサクリファイスで喰らい、勝利する。
どうやらシャドウ使いのシャドウは怪物の遠吠えが効かないようだった。
サイス「……」
トーク「ボスに偉そうに噛み付いてたわりには見てただけとはねー」
オリオン「ほっとけ、トーク」
サイス「!?…全員、構えろ!」
助けて安心しきっている面々の周りには似たような怪物が無数に現れる。
十数体なんてものじゃない、視界を埋め尽くすほどの怪物の群れ。
サイス「……しんが!」
渉(え?)
サイスが何かを言ったような気がしたが、渉は上手く聞き取れなかった。
サイス「ディアナ、伝達を頼む。アン、解析しろ!」
サイスは指示を渡すとサクリファイスを展開し、手近にいた怪物を喰らう。
オリオン、トーク、インもシャドウを召喚し、怪物を屠る。
そんな中、ディアナが渉達の元まで来て伝える。
ディアナ「今のうちに離脱してください」
渉「え?」
ディアナ「あなた達はこの状況に置いて役には立ちません、足手まといです。そこの方を連れて【ナイトメア】から出なさい」
そう告げるとディアナはジャンヌダルクを召喚し、サイスに加勢する。
渉「みんな、刑事さんを頼んだ」
渉は盛川刑事を寛太に任せると一人、シャルルマーニュを駆る。
サイス「!?……馬鹿か、お前は!あの人を連れて出ろ!」
渉「俺だってこのシャルルマーニュで……!」
仲間達が離脱しようとしたとき、怪物の一体が刑事を奪い去ったのだ。
当然の事だ、仲間達はペルソナを出せないのだ。
唯一出すことの出来る渉が離れれば手薄になるのは当たり前の事だった。
サイス「ちくしょう!」
サイスが助けようとするが無数の怪物にサクリファイスが押さえ込まれる。
サイス「全部喰らい尽くせ!」
サクリファイスは自分の体ごと怪物を喰らい尽くし、傷も癒さぬまま、刑事を助けようとするが、また無数の怪物に叩き落とされる。
そして努力虚しく…刑事は怪物に呑み込まれてしまう。
刑事を飲み込んだ瞬間だった。
大量にいた怪物は霧散してしまい、辺りには静けさだけが残る。
サイス「クッソオオォォオオ!!!」
そこで初めてサイスの悔しげな感情が表へと飛び出した。
仮面を着けていても分かるほどに落ち込んでいるサイスをシャドウ使い達が庇うようにして立ち、ディアナが口にする。
ディアナ「これが最後の警告です。もうペルソナ使いは関わらないで下さい」
渉「前にも言ったはずだ、関わっちゃいけない理由を話してくれるまでやめないってな」
そう答えるとサイスは何も言わず、その場から立ち去る。
渉はサイスを見てハッとした。
サイスの顔は仮面で分からない。
だが、彼の顔から雫が落ちたのだ。
あれは、サイスの涙だったのだろうか。
シャドウ使いが撤退したあと、渉達も【ナイトメア】を離脱した。
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