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群青
番外編 とある下士官の休日
0730
今日はいい天気だ。久しぶりに基地に帰ってきて、ゆっくり眠れた。
気持ちのいい青空に、刷毛で掃いたような薄雲が載っている。洗濯物を共用の洗濯機に放り込んで、その間に部屋を掃除した。

0845
片付けをして、掃除を終わらせた。
それからもう少し寝ようと思ったら携帯が鳴った。
「ワルキューレの騎行」は、アイツからの着信だ。
「コラ!誓!出てこい!いるのは分かってるんだ!」
どう見ても893です本当にありがとうございました。
佐久少尉に引っ張り出されて、基地周りを10km走った。
しかもその後にインターバルつき。
ギリギリの速度でぴったりくっついてくる。

走れども 走れども 楽にならざりし我が訓練 ぢっと空を見る

元インターハイ秋田県代表に絞られて、正直涙目。
どう足掻いても絶望。

1130
疲れきってなにもしたくない
売店でおにぎりとバナナを買って食べて、風呂に入って寝る。
1500
佐久が彦根さんと愛車のアコードワゴンで出掛けたのを見かけた。
やっとこの基地も安全地帯だ。
それにしてもスポーツサングラスを掛けてアコード転がす姿がやたら似合う。腹立たしい。
秋田出身はやたら顔が良くて嫉み。

1650
みほ中尉から電話がきた。
彦根さん、佐久、みほさんと飲みをやるそうだ。
今日も佐久が吊し上げにされる筈なので、参加する。

1750
和光基地の近くの和光駅前で待ち合わせる。
駅近くの「魚民」は同業者に必ず遭うのが悲しいです。
お前ら飲んでばっかりだよな。毎週いるよな、魚民に。
しまむらのチュニックにUNIQLOのカプリパンツの自分が魚民以外に行けるかは気にしない☆

1830
佐久、早くも上半身裸。
彦根さんもミホさんも酒には滅法強い。
ミホさんのデニムミニスカにニーハイ、タンクトップという出で立ちが眩しすぎてついガン見してしまった。
これが・・・女の戦闘服か・・・

1900
佐久がゾンビと化した。
相変わらず半裸なので店員さんガン見。
おもむろに起き上がったと思ったら、首を腕でホールドされて、茶碗で焼酎を飲まされた。
「この焼酎が飲めずにロシア軍に勝てるか!」ってアンタ。
お前がもう、死んでいる。

1930
茶碗焼酎が効いたのか、思いがけず目眩がしてきた。
眠くなったと思ったら、いつの間にか座敷に寝ていた。
後ろで寝てる佐久の息がっ・・・首筋にかかる・・・っ!背中までゾクゾクするっ・・・!
圧倒的・・・敗北・・・っ!!
2000
佐久が蘇生した。
酔いが浅いせいか、結構すぐ酔ってすぐ回復する。
みほさんと彦根さんが相変わらずのピッチで飲んでる。
あ、店のビールが切れた。
みほさんの肌がピンクでエロい。

私がいつまでも起きないので、佐久がさすがに焦ったのか、ウーロン茶を頼んでくれた。
と思ったらウーロンハイだった。

2030
悪ノリした彦根さんにウォッカをショットで飲まされた。
もう許してください。
佐久は調子に乗って無理矢理唇にショットグラスを押し付けてくる。
怒ったら「愛って言葉を知ってるか?愛だよ、愛。」と訳の分からないことを抜かした。
こいつ、私を道連れにするつもりだ。

2050
デザートのアイスが渇いた喉に美味い。
寝てる佐久の文まで横取りする。
佐久はお絞りを額に載せて、顔をゆでダコみたいにしている。
会計をしたあと、佐久にTシャツを着せて店の外に連れ出した。
「誓、生きてっかー」
こいつ、飲むとダメ少尉。
「愛だよ、愛」
黙れオッサン。

2120
タクシーでダメ少尉と彦根さんを士官居住区に送り届けた。
みほさんは梯子するそうだ。
彦根さんに支えられながら、ダメ少尉はヘラヘラしてタクシーを降りた。
「誓ちゃん、こいつに付き合ってくれてありがとな」
彦根さんが礼を言ってタクシー代を置いてった。
べつにいつものことだ。
最後に下士官居住区で降りる。
疲れたけど、今日も一日いい日だった。
戦闘のない日は、あっという間に過ぎてしまう。
「おやすみなさい」
士官居住区に向かって、呟いた。


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