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群青
番外編:部屋と蘇民祭と私


0730
「風邪引きました。寝ますんで。それじゃ」
「誓!?」
佐久が何か喚いてたけど電話を切った。
休みの朝イチで電話してきて何だ。
私は頭が痛いので寝る。

0750
さっきから着信が5件。
いい加減着メロのリンガーハットの「ウィー、アー、ザ・チャンポーン♪」が煩いので出た。クイーン熱唱。
「はい谷「バカ野郎!」
佐久が叫んでる。
「野郎じゃないですけど」
「いいからさっさと表へ出ろ」
お前はドナルドか。
「ダルい」と言ったらブチ切られた。
仕方ないからジャージで表に出る。

0810
佐久のアコードが寮の前で華麗にドリフトして止まった。
2回転スピンでタイヤ跡スゴいんだけど。
というか恥ずかしいんだけど。
寮の他の先輩が窓から顔を出して、「あらあら、誓の彼氏?取り乱しちゃって可愛いわね」と言ってきたので、「いいえ、ケフィアです」と答えた。

0830
ミニミニ大作戦も真っ青で、アコードが脇道をすり抜けていく。
「ごの!バガ娘が!」
佐久さん、秋田訛り出てますから。ご出身は白神山地でしたよね。
とにかく佐久は角膜内のセンサーを最大限にして歩行者を探知している。
寒いって言ったらヒーターマックスにしてる上に狼の毛皮着させられて暑いでござる。
知り合いのカナダ人からの貰い物らしい。
佐久はマタギの家系らしく、ネイティブのカナダ人と飲み屋で仲良くなったそうだ。
英語は地球語。
それにしても、私はもののけ姫では無いんだけど・・・
首のイタチのマフラーは外させてもらいます。

0850
着いた病院の看護師に「あんな危険な運転をして!」と佐久が怒られていた。
そりゃジャック・バウアーなみのハンドリングだったもんな。
というか私、ただの風邪ですから。寝れば治りますから。
医師に薬を処方してもらった。
「誓をよろしくお願いします」とか頭下げてる人は他人です。
というか、担いで帰ろうとしないで下さいホント。
「This is スパルタ!」じゃなくて。
いや、お医者さん止めてくださいよ。
「ハハハ、今日は嫁さん休ませてやれよ」じゃなくて。

0910
みほさんが佐久の借家の前で仁王立ちしてた。
駐車スペースにみほさんのブルーのインプレッサが停まってるのを見た瞬間、佐久の顔もブルー。
みほさん今日もいい服。
いつもより化粧薄いけど、綺麗。
「バカじゃないの!?誓の体調は私が管理してるんだから私に言いなさいよ!」
佐久を叱る。
寮にいる整備員のさくらちゃんから話が行ったんだろうな。
「誓も!いくら風邪でもぼーっとしてないで止めなさブフッ!」
狼の顔が頭に載っかってるのを見た瞬間、みほさんが吹き出した。

1000
とりあえず佐久のベッドで寝てたら、みほさんの声が聞こえてくる。
「それにしてもなんでアンタのうちに連れてくるのよ」
「寮は暖房が壊れてるんです」
あぁ、寒かったもんなー。佐久に話してたの忘れてた。
「処方された薬は?」
みほさんが与えていい薬かどうかチェックしているようだ。
ときどき和光基地から飛び立つ戦闘機の音で、声が掻き消される。
枕元のゲータレードを飲みながらぼーっと天井を見る。
佐久の布団の匂いがした。
さすがキング・オブ・スポーツドリンクのゲータレード、汗をかく体に優しい。

1030
佐久にお礼を言ったら、「べっ別にお前の為じゃ(略)」と言われた。
「風邪で休まれるとフリオペがいない」だそうです。
確かに。
普通に今日寝てれば治るんだけどね?
明日も休みだけどね?

1200
みほさんが帰った。
帰り際に「あんた達大人なんだから何があってもいいけど、ちゃんと後先は考えなさい」と言ってたのが聞こえた。ちょ
田舎の母さんを思い出すよ・・・
ご期待に添えず清い身体で申し訳ありません。

1230
ふと窓の外を見たら、近くのマンションの屋上にすんごいスコープみたいなのを設置してる黒服がいる。
・・・鳥海少佐か。

1300
寝てたらいきなり「うっ!」と声が聞こえた。
窓に蜘蛛の巣状の穴が・・・
そしていつの間にか側にいた佐久の髪の毛が一束はらはら散ってた。
少佐、大枚はたいたんだろうな、あのSAKOの狙撃ライフル。

1500
佐久が食品買いに出てった。
・・・と思ったら表で黒づくめに拉致されてた。
少佐に電話したら「あぁ、谷川も女性なんだから一応気を付けなさい。よく教えておくから」だそうです。
田舎のお父さんを思い出した。

1530
薬が効いてきたので寝る

1800
佐久がぐったりして帰ってきた。
具合は大分いいので食事を作る。元々そんなに酷くない。
ゴリゴリと鮭を一匹捌いて鍋しました。
漁師の娘なめんな。
山の幸〜海の幸〜せがれこの手が宝物〜!
A-so-let!

1930
酒入って佐久がパンイチで寝てる
しかもショッキングピンクのBVD
そこはカルバン・クラインであって欲しかった

2000
佐久の腹筋を枕に寝てたら少佐に連れ出された

2130
少佐の家に泊まることになった
鳥海少佐の奥さんすげぇ美人
その奥さんに「あなた、あまり油断しちゃダメよ。あの主人でさえ男は獣が当てはまるのよホホホ」と言われた。
ついでに色々と聞いたら、奥さんは実家から絶縁同然で結婚したらしい、ワオ!
少佐と佐久は男同士の話とやらで飲んでる。
「未必の故意というのがあってだな?」
たまに会話が聞こえる。少佐は何故か日本刀持ってたなー。
明日はプリキュアなので早く寝よう。


(※秋田好きでやりました)

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あきゅろす。
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