「セブルスー?」
ホグワーツのセブルスの私室へ顔を出すと、机に突っ伏して眠っているセブルスを発見した。
「まぁ…珍しい。お疲れなのね」
そっとブランケットをかけ、やりかけの採点を何時ものようにお手伝いし終わらせておいた。
「あと…少しだけ…」
何時もは先に寝てしまい、セブルスの寝顔など殆ど見たことがない為、これ幸いとばかりに凝視していると、漆黒の瞳が開いた。
「…いつから居たのかね?」
バツが悪かったのか、眉間に皺を寄せると、近寄っていたナマエにデコピンした。
「…痛いです…ッ」
勿論、セブルスも威力のコントロールはしている為、涙を流すほど痛くは無いのだが、毎回不意打ちな為ビックリするのだ。
「ここにあった採点の束は…?」
「それなら、終わらせてそちらの引き出しに」
「そうか」
採点の結果のみ記載されている名簿の評価書を渡し、サラッと目を通すとニヒルな笑みを浮かべた。
「なかなか厳しい採点ですな」
「日々のスネイプ教授の教えの賜物です」
満足気に評価書をしまい、起き上がるとソファーに座った。
「セブルス、ずっと聞きたいことがあったんですけど…」
「何だね?」
「デコピンってどうやってやるんですか?」
「…またされたいのかね?」
「セブルスにしてみてもいいですか?」
キラキラとした瞳で言われれば、断ることは出来なかった。
「ここにしたまえ」
手の甲を差し出すと、ナマエは右手を狐の形にした。
「んー?親指を離せばいいのかな?」
エイッと親指を離すと、ピシッとした音がした。
「い、痛かったですか!?」
「痛くはない」
「これで、私もセブルスのデコピン継承者ですね!」
「馬鹿なことばかり言わず、早く寝たらどうかね?」
呆れたセブルスに見送られ、自室に戻り、右手を見つめていた。
「セブルスの手にデコピンしたのなんて、私くらいだろうな…ふふっ」
今夜は良い夢が見れそうかも。