HANDMADE LOVER 2013
捨て猫とワルツを
哲学者たちが唱えた提唱を黙って聞いていた。
理解できることなど何一つないのに
そこに答えがあるような気がしていた。
捨て猫を救う術があるのなら
稚拙な仮説だろう。
手を伸ばせば済むこと。
抱きしめた温もりを確かめて
鈍色の空が代わりに泣いてくれた。
凍えるその前に逃げ出そう
自由という言葉に縛られながら。
泥を払おう、この手が許されるのなら。
雨に濡れよう、隠したいものがあるから。
レコードの音が雨に分解されて
踊るには似合わないワルツになる。
愛しい音色に包まれたら
眠りというひと時に揺らされて。
あの虹を掴む術があるのなら
稚拙な仮説だろう。
「手を伸ばせば済むこと。」
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