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HQ(other)
夏のだいごみ。(passag〜シリーズ・赤葦) みきさまへ




真夏の体育館で今日も大量の汗をかき
ながらバレーをしている選手たち。

合宿も中盤に差し掛かり選手たちの気分
転換も兼ねて練習は午前で終了し午後から
はみんなで海に行くことになった。




今日も大勢の人たちで賑わう
人気の海水浴場。


『みんなお待たせ〜』

『!?!?っっ〜〜///!!!』


着替え終わった各校のマネたちが既に
更衣済みの選手たちに声を掛けると
一様に驚きの表情を見せ顔を反らせたり
赤くなったりと反応は様々だ。


「きっ潔子さんの生おみ脚…///」

「まさか一生のうちに拝めるとは…///」

「俺…もう死んでもいい…///」


淡い黄色のロングパーカーを羽織っている
潔子さんは今日生脚を披露しておりしかも
胸元から少し覗く白と黒のボーダービキニ
が 夕と龍くんと虎くんの目には刺激が強す
ぎてしゃがみこんで鼻血を出している始末。

他のマネさんたちも各々に合った水着を
着ておりスタイルの良さを際立たせる
ビキニ率がかなり高い。

ちなみに私は白地にネイビーの大きな花柄
をあしらったタンキニとショートパンツ姿
で中にはお揃い柄のビキニを着用。


「マネたちのレベルの高さよ…///」

「周りのヤツらもチラチラこっち
見てるしな。何か俺ら優越感?」

「あの姿拝めただけでまた明日から
練習頑張れるわ…///」


選手数名が鼻の下を伸ばしてこっちを見て
いたようで先輩マネさんたちから厳しく
注意を受けているのを苦笑しながら眺めて
いると一際大きな声が聞こえてきた。


「ヘイヘーイ!!やっぱ海の醍醐味は
女子の水着姿だよな〜!!!」

「あーマジ目の保養になるわ」

「…ホントあなたたち残念ですよね」


早速海に入って来たのか水が滴る髪をかき
上げながら相変わらずのハイテンションで
近寄ってきた木兎さんと同じく身体を濡ら
しニヤけた表情の黒尾さん。

それに反して2人に軽蔑の眼差しを向けて
ため息を吐きながら後ろから着いてくる
京治はTシャツを着たままで一切濡れた箇所
もなく海には入っていないようだった。


「名前。その水着似合ってるね。
自分で選んだの?」

「…そんなに見ないで恥ずかしいから…///。
潔子さんとやっちゃんと一緒に買いに
行ったんだけどね…」

「でもそれ以上肌は出さないでよ。
他の男たちに見せたくないから」

「…もぅ…///」


近づいてきた京治に水着姿を褒められ
思いの外照れてしまい顔を逸らしたのだが
そんな私の様子に京治は笑みを浮かべる
とさり気なく片手を取ってくれる。


「一緒に泳ぎに行こうか」

「あっ。ちょっとま…」

「待って赤葦ぃ〜。少しだけ名前ちゃん
を私たちに貸してもらえる〜?」

「?」


京治と一緒に泳ぎたいのは山々なのだが
今から大事な用事がある為雪絵さんが私の
代わりに京治を引き止めると京治は疑問の
表情を浮かべている。


「さっき話しててせっかくの機会だから
私たちでやっちゃんの恋を応援しようと
思って。だからちょっとだけ名前ちゃん
とイチャイチャするの我慢して!」

「ちょっ!?かおりさんっ///!!」


ここに来るまでにやっちゃんには内緒で
計画していたことを梟マネさん2人が京治
に説明し京治も理解したようだ。


「ああ。そういうことなら…
じゃあ俺この辺に居るから終わったら
探してくれる?」

「あれ?みんなと泳がないの?」

「…たまには木兎さんから解放されて
ゆっくりしたいよ。それに泳ぐなら
名前と一緒に泳ぎたいからね」

「っ///」


木兎さんへの不満を軽く口にしたあと
さらっと嬉しい言葉をくれる京治に思わず
顔を紅く染めると周りのマネさんたちから
は冷やかしが入ったが京治にはどこ吹く風。

取り敢えず京治から離れ私と潔子さんは
やっちゃんを連れて会話しながら海辺を
歩きつつ目的の人物を探していた。


「あっ!!いたっ!!
おーい日向ーー!!!」


犬岡くんやリエーフくんたちと海で泳いで
いた日向を見つけると直様声を掛け日向も
私たちのもとに素早く駆け寄って来る。


「どうかしましたかっ!?」

「日向に頼みがあるんだけど!
やっちゃんが泳げないみたいで日向に
泳ぎ方を教えてもらいたいの」

「うえぇっっ///!?!?」

「チームで1番仲が良いのは日向だから
仁花ちゃんを任せたいんだけど」


私の発言に隣のやっちゃんは驚きを隠せず
顔も一瞬のうちに真っ赤に染まり畳み掛け
るように潔子さんも日向にお願いする。


「いやいやっ!?日向もみんなと遊びたい
だろうしそんな迷惑掛けれない…」

「えっ?俺で良ければ全然平気だよ?
せっかく海に来たのに泳げないなんて谷地
さんが楽しめないし一緒に練習しようよ!」

「つっ〜〜///!!!」


純粋なのか天然なのか遠慮するやっちゃん
はお構いなくあっさり了解してくれた日向
に私と潔子さんは内心ガッツポーズをしその
流れで半ば強引にやっちゃんを押し付けた。


「ありがとう日向っ!
やっちゃん頑張ってね!!」

「日向。仁花ちゃんをよろしく」

「わかりましたっ!!」

「えっ!?えぇ〜〜///!?!?」


日向は動揺しているやっちゃんを気にする
ことなく腕を掴むといつもの如くマイペース
に話しを進めながら海へと向かって行った。

日向がやっちゃんの気持ちに気づくとは思
わないが少しずつでも進展してくれればいいと潔子さんと2人して密かに願っている。

梟マネさん2人に報告を済ませ潔子さんは
おかしな行動をしている夕たちを指導しに
行った為私は京治の所へ向かうことにした。


「………」


遠目から京治を視界に捉えたのだが彼の
周りには数名の女性が群がっている。

当の京治は完全に無視を決め込んでいて
眉間にはシワが寄りかなり苛立っている
のは明白なのだが何よりも
私があの様子を見て全く面白くない。

早く京治を助けに行こうとした瞬間
私の前を2人の男性が道を塞いだ。


「ねぇ君ひとり?俺たちと遊ばない?」

「かわいいねー。高校生かな」


大学生ぐらいなのかニヤニヤしながら
私の身体を上から下まで眺めてくる
ので嫌悪感を覚え相手を睨みつける。


「ひとりじゃないですしあなた達と遊ぶ
気は全くないのでそこどいて下さい」

「今いないじゃん。少しでいいからさ」

「そんな怖い顔しないで。
かわいい顔が台無しだから」


拒否してもしつこく言い寄ってくる2人に
我慢も限界になりその場から逃げようと
したが咄嗟に腕を掴まれる。


「逃げることないじゃん。」

「さぁ一緒に行こっか」

「やだっ!!離して!!」


強い力で掴まれている為いくら抵抗して
も外れず恐怖感から思わず目をギュッと
瞑った瞬間。


「俺の彼女に触らないでくれる?」

「っ…!?!?」


馴染みのある声が聞こえると同時に男性の
手が離れゆっくり目を開ければ目の前には
京治がいて男の腕を掴みながら2人を
睨みつけている。


「京治っ!」

「人のモノに手を出してタダで済むと
思ってないよね?」

「「ひっ!?!?」」


何時もより何倍も低い声で相手を威嚇して
いる京治に恐れをなしたのか年上にも関わ
らず2人は慌ててその場から立ち去った。


「気付くのが遅れてごめん。
何もされてない?」


優しく私を抱き締めながら心配そうに
顔を覗き込んでくる京治を見ると安心
して自分から彼の胸元に頭を埋める。


「大丈夫だよ。ありがとう気づいてくれて」

「名前が無事でよかった。
1人になるとこうなるんだから次からは
絶対ひとりにならないようにね?」

「…ん。わかった」


京治の心音を聴いていると気持ちが落ち
着き先程までの嫌なことも払拭される。


「さぁ。俺らも遊びに行こうか」

「うんっ!!」


京治に優しく手を握られ2人揃って
ゆっくりと歩き出した。


今2人で浜辺を歩いているのだが私は京治
の方を向くことが出来ずにいてそんな
私の様子に彼が気付かない筈もなく。


「名前。どうかした?」

「えっ!?なっ何でもないよ!?」

「……」


京治から顔を逸らしたまま顔を赤くして
動揺している私に京治からの視線が痛い。


「…名前…こっち向いて?」

「………///」

「名前」

「っ〜〜〜///!!!」


耳もとで名前を呼ばれ身体がビクリと跳
ねるのと同時に思わず京治の方を向いて
しまいニヤリと妖艶な笑みを浮かべ
ながら私を見つめている。


「何でこっち見てくれないわけ?」

「っ…///…だって…」

「ん?」

「っ〜〜京治ズルいっ///!!
分かってて言ってるでしょう!?!?」


選手たちの上半身裸姿なんて見慣れて
いるのだが京治の裸姿となると別の
話しで改めて間近で見る引き締まった
身体に程よくついた筋肉。

何より男の色気が半端じゃなくて視界に
入れるとドキドキしてしまいまともに
見ることが出来ない。


「俺の裸見て赤くなるなんて何考え
てたの?名前はエッチだね」

「ちがっ…///!?」

「じゃあ期待に応えて泳ぐ前に
少し運動しとこうか」

「ひゃっ!?もぅ京治のいじわるっ///!!」


耳たぶを軽く舐められて驚きに耳を押さえ
ながら慌てて距離をとると赤い顔で京治を
キッと睨みつけるも効果は全くなく
楽しそうに笑っている。


「ごめんごめん。名前があんまり
可愛い反応するからついね」

「…そんな顔されたら怒れないじゃない///」


この京治の笑顔は私だけに向けられる
もので私も自然と笑みが浮かんでくる。

その後2人で海に入って戯れていると木兎
さんや黒尾さんたちがやって来て京治を
からかっているうちに何故かビーチバレー
をしようという事になった。

これだけの面子が集まると試合が白熱する
のは当然で折角練習が休みになったのに
結局みんなでバレーをしており
よくこれだけのバレー好きが集まった
ものだとひとり苦笑していた。


「名字!!交代しろ!!」

「おっけー!」


かく言う私もその一人で。


「名前。調子乗ってる木兎さんを
こてんぱんに叩き潰すよ」

「…京治どれだけストレス溜まってるの。
まぁでも絶対負けない!!」

「当然」


2人なら京治と海で泳ぐのも楽しいけど
みんなが集まればやっぱりバレーを
している時がいちばん楽しかったりする。


「あかーしズリぃぞっ!!
俺ばっか集中攻撃すんなよっ!!!」

「何言ってるんです。それを全部上げて
こそのエースでしょう?」

「限度があるだろうが!!名前も
あかーしに協力すんなっ!!!」

「だって木兎さん。これは勝負ですよ?
私は勝つ為のスパイク打ってるので」

「た"ー!!お前ら覚えてろよーー!!!」


かくして京治の宣言通り木兎さん
潰しは無事成功したのだったが
今度はバレー抜きで京治と2人っきりの
海を満喫したいと密かに思った私だった。


end



あとがき


みきさまリクエストありがとうございま
した。passage〜シリーズで海か川シチュ
で他校プラスということで甘よりも
ほのぼの要素が強くなってしまいましたが
如何でしたでしょうか。
木兎さんが特に出張ってます(笑)
宜しければ感想等お待ちしてますね。

少しでもご希望に添えられていれば幸い
です。それでは失礼します。




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あきゅろす。
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