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HQ(other)
ふたりの関係性。(赤葦) メイさまへ


今日もパソコンと睨めっこしながら
プレゼン用の資料作成に勤しんでいる。

この会社に入社してからがむしゃらに
働いてきたお陰か周りや上司からも
一目置かれメインの仕事を任されるように
なってからどのくらい経つだろう。

しかしそれに比例してか仕事量も増え
今日も他から回ってきた仕事が数件ある為
残業は確実だと気落ちしていた時
私に声が掛かった。


「名前さん。
手が空いたんで手伝いますよ」

「ほんと!?赤葦助かる!!」

「晩飯おごってくださいね」

「うっ…仕方ない。手を打とう」

「別にイヤならいいんですよ?
今日も残業頑張ってください」

「ごめんなさい!赤葦お願いします!!
手伝ってください!!!」

「初めから素直になればいいものを」


呆れた目で見てくるこの男は赤葦 京治。

2コ下の後輩で入社してから私が付いて
指導したのだが覚えも早く何でも器用に
こなす為指導に苦労したことは無く
今では実質私たちがツートップで
この部署を引っ張っている。

最近では立場が逆転しこの後輩に
揶揄われている感が半端ないのだが
今の関係が本気で嫌なわけではなく
寧ろ楽しんでいる自分がいる。


昼食を摂る為切りのいい所で仕事を
終えると食堂へ足を運び手作りの
お弁当を広げ食べ始めた。

少しすると入り口が騒がしくなり
予想は出来たが徐に顔を上げると
やはり赤葦が食堂に来ている。

彼を一言で表すとクールなイケメン。

年の割に落ち着いた雰囲気と仕事も完璧に
こなせる彼は女性社員の注目の的となる
のは必然で実際に入社してからどれだけの
女性から告白を受けたのだろう。

しかし未だに彼女がいるという話しは
耳に入ってこない。

少しぼーっとしながら考え込んでいると
私の隣の椅子が引かれはっと我に返った。


「名前さん大丈夫ですか?
仕事のし過ぎで疲れが溜まってるん
じゃないです?ぼーっとしてましたけど…」

「あっ!全然大丈夫!!
ちょっと考えごとしてただけだから」

「それならいいんですけど。
あ。卵焼きくださいね」

「こらっ!どさくさに紛れて!!」


隣に座った赤葦が私を気遣って
くれるのは嬉しい反面
赤葦のことを考えていたと本人に言える
筈もなく慌てて誤魔化していると
私のおかずを盗られてしまった。


「だってこれ俺好みで美味いんですよ」


シレッと話す彼に溜め息しか出ず
諦めたように食事を再開させる。

私が先にいる時は当たり前のように横に
座り食事している彼なのだが
毎回女性社員からの鋭い視線が私に
刺さりものすごく気まずい。

因みに赤葦の今日の昼は鯖味噌定食で
後で腹いせに盗ってやろうと密かに目論む
私だったがいい機会だと思い気になっていた
事を思い切って聞いてみることにした。


「ねぇ赤葦。あんたそれだけモテて
彼女とかいないの?」

「何ですか急に。いませんよ
名前さんと一緒で」

「後半の余計な答えはいらないよね」

「事実でしょう?」

「私の事はほっといてくれるかな」


私の質問にいらない答えを付け加え多少
イラっとしたがそこは我慢することにする。


「で?何でそんな質問するんですか?」

「いや。前々から思ってたんだけどね。
偶に告られてるトコも見るし彼女いても
おかしくないのにそんな話し聞かないし」

「…じゃあ何で俺が彼女作らないんだと
思います?」


質問を質問で返され無意識に眉間に皺が
寄ってしまったがとりあえず彼の
質問の答えを考えてみる。


「ん〜…女性嫌いか…はっ!?
まさか男性の方が…」

「喧嘩売ってるなら買いますけど」

「…ウソです冗談です。ごめんなさい」


一瞬彼に黒いオーラが見え慌てて謝り
真面目に考えてみると。


「…じゃあ好きな人でもいる?」

「さぁどうですかね」


ふっと意味深に笑われ一瞬ドキっとしたが
この話は終わりだと食事を再開させた彼に
気のせいだと思い結局答えは聞けず
腑に落ちないまま私も再び箸を動かした。



昼からも仕事は増え定時になっても
終わる事なく結局残業をする羽目に。


「あーー終わったーーぁ」


時刻は午後7時過ぎ。

ようやく終わった仕事に伸びをしながら
自然と声が出ていたがもう他の社員は
帰っているので別に構わないだろう。


「ちょっと。もう少し色気のある声
出ないんですか?こっちも終わりましたよ」

「…あ。赤葦ありがとう!助かった!!」

「何ですか今の間は。俺がいる事
確実に忘れてましたよね?」

「いや…そんなことは…ははっ」


自分の仕事が終わった事に安堵し赤葦を
手伝わせていた事をすっかり忘れていた。

不機嫌な表情の赤葦が私の隣に座りこちら
を見つめてくるので冷や汗が止まらない。


「あっ!ほら!お腹も空いたしご飯
食べに行こ!!」

「ちょっと待って」


赤葦の機嫌を戻そうと約束していた
ご飯を食べに行こうと切り出したのだが
腕を掴まれ椅子に戻された。


「昼間の話しですけど…」

「え?」


真剣な顔で私を見つめてくる赤葦に
私も彼から目を離せなくなり身体が固まる。


「いますよ。好きな人」

「あ…え?」


急に昼間の話題を振られ頭が付いて行って
いない中彼はお構いなく話を続けている。


「その人は毎日一生懸命仕事している人で
年上だけど俺が唯一自然体で話しもできて
実は料理も上手でだけどどこか抜けていて
…目が離せない人なんです名前さん」

「えっ?えっ?待って?
…そんな人いるっけ…年上…?」


この会社の人なのか今赤葦が言った言葉を
思い返し当てはまる人物を考えていると
目の前から溜め息が漏れ視線を戻す。


「…赤葦?」

「…抜けているうえに鈍感ですよね。
今ので分かりませんか?」


呆れたように見てくる赤葦に
私にはさっぱり意味がわからない。


「だってそんな人この会社にいない…」

「いるでしょう。俺の目の前にひとりだけ」

「目の前って………っええっ///!?!?」


ようやく理解した。

理解はしたが思ってもみなかった事に
動揺を隠せず一気に顔を赤くすると
彼の顔をまともに見られず俯いてしまう。

近くの空気が動いたかと思うと
気付けば私は赤葦の腕の中に閉じ込められ
耳もとに彼の口唇が掠めている。


「好きです名前さん」

「っっ///!!!」

「俺があなたの彼氏になります。
因みに拒否は受け付けませんから」

「なっ///!?なにそれ!?!?」


赤葦の言葉に思わず顔を上げると予想以上
に顔が近くにあり驚愕に目を見開くと
視線が合いニヤリと妖艶な笑みを浮かべた
赤葦が勢いよく私の口唇を塞いだ。


「っん!?」


頭が痺れるような激しい口づけに私は
なす術なく翻弄され無意識に彼の
カッターシャツを掴んでいた。

口唇が離れたと同時に酸素を取り込む為
必死で呼吸を繰り返していると彼に
優しく頬を包まれ視線を合わせられる。


「付き合ってくれますよね?
早く答えないとまたキスします」

「わっわかった!!わかったから!!!
…あ…」


赤葦の軽い脅しに思わず了承の返事を
返すと今まで見た事がない優しい笑みを
向けられその瞬間完全に彼に堕ちた。


「これからもよろしくお願いします。
名前さん」

「……こちらこそ……」


甘い雰囲気を漂わせながら約束していた
晩ご飯を食べに二人して会社を出ると
赤葦が自然に私の手を取り絡めてくるので
恥ずかしながらも手に力を込めた。



オマケ



二人で居酒屋で食事しながら話していると。


「ねぇ。俺の分もお弁当作って?」

「ん?それは別に構わないけど…
会社の人に付き合ってるのバレるよ?」

「むしろオープンにしたい。
告られるのとか群がられるのは
いい加減迷惑なんだよね」

「………」


モテる男を手に入れた反動として
明日から女性陣からの風当たりが今まで
以上に強くなるのを覚悟した私だった。



end




あとがき


赤葦×年上OLということで
強気な赤葦を全面に出してみました。
少しでもご希望に添えられていればいいなと。
メイさまリクエスト
ありがとうございました☆




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