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HQ(long)@
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side赤葦



午前の試合を消化し昼休憩に入った。


「今から1時間後に開始だからそれに
合わせて身体動かしといて」

『はい』


体育館横の通路階段に腰を落ち着けると
弁当とファイル取り出し先に資料の確認
を行っていた。


「赤葦せんぱい。
お昼一緒してもいいですかぁ」

「俺まだやることあるから
みんなと食べてもらえるかな」


目線は資料に向けたままマネージャーの
誘いを断り意識を文章に集中していると
近くで昼食を摂っている烏野の選手達が
賑やかになったのでそちらを振り向く。

お目当の人物が来たようで俺も腰を上げ
賑わっている集団に向かって行った。


「名前さん!今日の俺絶好調なんで
見といて下さい!!」

「絶好調な割にレシーブがお粗末だな」

「なんだと影山ーー!!!」

「サーブも2本ぐらいミスしてたし…」

「ぐっ!?月島までっ!!」

「こら!日向ばっかり揶揄わないの!!
影山のサーブミスは何本!?
月島はレシーブミス無かったの!?」

「「うっ…」」


名前が後輩2人を黙らせた
ところで話しが切れた
ようなので声を掛けさせてもらった。


「何か母親みたいになってるけど…」

「あ!京治お疲れ様。
観に来られないって言ってたのに
来てくれたんだね」


母親のくだりはスルーされ今までの
怒りは一変して笑顔に変わった。


「監督が気を利かせてくれてね。
お昼は食べたの?」

「今から食べようと思って持って来た」

「じゃあ一緒に食べよ?食べながら
俺の集めた情報伝えるから」

「うん。よろしく!」


荷物を持って一緒に梟谷の選手達のもとへ
行くと一年や知らない顔もあった為
名前はみんなに挨拶した。


「初めまして。名字 名前です。
情報収集のお手伝いをさせてもらうので
よろしくお願いしますね。
自分のプレーの気になるところとか教えて
貰えれば注視するので気軽に伝えて下さい」


笑顔で話している名前に初めて顔を
見たものは未だしも知っている
ものでさえ釘付けにさせていて
これには溜め息を吐くしか無かった。


「名前さんお久しぶりです。
髪バッサリいきましたねーお似合いですよ」

「尾長君久しぶりだね!ありがとう。
気合い入れる為に切っちゃったの」

「選手に復帰したんですって?
大変じゃないですか?」

「ん〜忙しいけど楽しいかな。
毎日充実してるから」


以外と仲がいい尾長と話し始め終わりが
見えそうにないので名前を呼び寄せた。


「名前。早くご飯食べるよ」

「あっごめん!」


みんなと少し離れたところに二人で座り
弁当を広げると名前が俺の弁当
を覗き込み物欲しそうに見つめてくる。


「おばさんが作ったきんぴら食べたい…」

「いいよ?じゃあおかず交換してよ。
名前がそれ作ったんでしょ?」

「私が作ったのでいいの?
やった!おばさんの食べれるー!!」

「ホント母さんのごはん好きだよね。
俺は名前が作る方が好きだけど…」


おかずを交換し食べながら梟谷の選手の
情報を名前に伝え昼からのゲームに
備えて貰う。


「そう言えば名前の試合観てて
思ったんだけど切り込んでくるスパイクの
タイミングが合ってなかったね。
セッターと初めて合わせたの?」


名前のゲームを観ていてバック
アタックや平行のトスは流れの中でも
上手く嵌っていたのだが
この攻撃だけはどこかぎこちなく感じた。


「いろんな攻撃を試してみろって言われてた
から由莉奈とコンビ合わせてみたんだけど
どうもそれだけしっくりこなくて…
私の入りがおかしかったかな?」

「そんなことはないと思うけど…
食べたら俺と合わせてみる?」

「上げてくれるの!?やるやる!!」


俺から提案すると嬉しそうに意欲を見せた
彼女を見つめ無意識に笑みが漏れる。

今すぐにでもやりたいのか急いでごはんを
食べようとする名前に注意し
シュンとした表情がまた可愛くて
苦笑を浮かべた。





side尾長



昼飯を食い始めた時少し離れた赤葦さんの
もとへ1年マネージャーの筒井さんが
近寄っている。

(だからダメだって言ってるのに…)

以前も先輩達から注意されていたにも
関わらず赤葦さんに近づくなんて
迷惑もいいとこだろう。

化粧もバッチリで軽い男なら引っかかる
だろうが赤葦さんにはまず無理だし
おそらく嫌いなタイプだと思う。

呆気なくこっちに戻って来た彼女を冷めた
目で見ていると赤葦さんが烏野の方へ
向かって行った。


「赤葦せんぱいに断られちゃいましたぁ〜
愛野寂しいんでここに入れて下さ〜い」

「だからこっちに居なって言ったじゃん。
俺たちが慰めてあげるからさー」

「お前言い方やらしいわ」


何事もなかったように先輩達と楽しそうに
話す彼女に呆れてしまう。

赤葦さんがこちらに戻って来るのが見え
一緒に名前さんもいるようで
赤葦さんの表情がかなり穏やかなものに
変わっている。

髪を短く切った名前さんに声を
掛けると嬉しそうに笑い
やはりこの人の笑顔は可愛らしく
誰にも叶わないだろうと確信した。

周りも名前さんを見て
目が釘付けになっているぐらいだから。

俺が名前さんと話していると
嫉妬したのか赤葦さんが名前さんを
呼び自分のもとへ呼び寄せている姿を見て
思わず笑みが漏れた。

やはり名前さんでしか赤葦さんの
心を動かせることは出来ない。


「尾長せんぱい〜。あの人が赤葦先輩の
彼女さんですか〜?」

「見てわかるでしょ?
赤葦さんとお似合いの美人だよね」

「そうですかぁ?愛野の方が赤葦せんぱい
に合ってると思いますけどぉ〜」

「あり得ないから。それに赤葦さんが
名前さんしか無理だからね」

「…どういうことですかぁ?」

「そのままの意味」


よほど自分に自信があるのか自分の方が
赤葦さんに合っていると主張する彼女に
あり得ないときっぱり言い切ると
不機嫌な声で質問され本性が少し見えた。

全てに於いて妥協しない赤葦さんが
彼女選びを間違える筈が無く
現在では最高の相手を見つけ心まで
許しているのだから彼女なんて相手にすら
してもらえないだろう。

赤葦さんが誰よりも努力してチームのことを
考えているのが分かる為
少しでも負担を減らせるよう俺も声を掛け
てはいるが頼ってはくれない。

赤葦さんの安らぐ場所は名前さんであり
疲れを癒すのも全て名前さんでなければ
出来ないので俺はこれからも全力で二人を
支えサポートしていきたいと思っている。

それを妨げる人間は許さない。

赤葦さんは俺の憧れの人だから。




end

あとがき


まさかの尾長君視点(笑)
彼はあかーしさんを崇拝していてほしい。

ここまで読んで頂きありがとうございました。次回もご覧頂けたら幸せです☆



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あきゅろす。
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