[通常モード] [URL送信]

HQ(long)@
T-5 後日談


選手に復帰すると決めた数日後。

京治と電話をしていた時ふと思い出した
ように切り出した。


「私ね!髪切ろうと思って!」

「…え?切っちゃうの?もったいない」


私なりのけじめではないのだが
やると決めたからには形からでも覚悟を
見せたいと思い肩より下まである髪を
短くしようと決めた。


「練習してたら短い方が楽だし
気合い入れようと思って!」


意気込んで話す私に電話越しだが京治から
呆れたように溜め息が漏れている。


「名前らしいね。俺的には長いの
気に入ってたんだけど…まぁ短いのも
似合うから写メ楽しみにしてるよ。
だけど引退したらまた伸ばしてね」

「京治ロングの方が好きなの?
それじゃあ辞めたらまた伸ばそうかな。
でも短いのも楽しみにしてて!」


京治がロング派だと初めて知り一瞬切る
のを迷ったがまた伸ばす事を約束し
少し会話をしてから通話を絶った。


中学以来のショートヘアに期待と不安を
滲ませながら美容院へ行ける日を
カレンダーで確認し母親へ伝えに行った。






side赤葦



今日は練習が昼までらしく
名前から美容院へ行って来ますと
メールを受けどんな感じになったのか
練習中もその事が気になって仕方がない。


「何だあかーし!誰かからの連絡待ちか?」


練習後の部室で度々スマホを確認していた
俺を目敏く見つけた木兎さんが
気になったのか声を掛けてきた。


「…まぁ…はい」


木兎さんの方をチラリと見ると再びスマホ
へ視線を戻し適当な返事を返す。


「お前の事だからどうせ名前絡み
なんだろー?いいよなー彼女持ちは!」

「はぁ…僻まないでもらえますか?」


拗ねだした木兎さんに面倒だと思いながら
もこれ以上機嫌を損ねるともっと面倒くさい
事になるので相手をする事に決めたのだが
その瞬間スマホの着信音が短く鳴った。


「…あ…」

「……なんだ???」


名前から画像が送られており
切り終わってすぐに自分で撮ったのだろう
鏡台の前で照れながらピースをしている
ショートヘアの名前が写っていた。

中学の時以来のショートだったが
雰囲気が以前よりも大人っぽくなっていて
これはこれで良く似合っていた。

画像を見つめていると木兎さんが痺れ
を切らし俺の手元を覗き込んで来る。


「なにニヤけながら見てんだよ!?
…あれ!?名前髪切ったのか!?」

「勝手に覗かないで貰えますか?」


勝手にスマホを覗かれ不機嫌な声を出し
注意するも名前に意識が集中して
全く俺の話を聞いていない。


「短いのも似合う!!名前は
どんな格好しててもかわいいなー!!
あかーし!!頼むから俺に譲ってくれ!!」

「…木兎さん黙って貰えます?
次同じ事言ったら容赦しませんからね」

「……もう言いません…ごめんなさい…」


名前が欲しいと懇願してくる
木兎さんに冷めた目で吐き捨てるように
一掃すると素直に謝ってきたので
取り敢えず今回は見逃す事にした。

名前に手早く返事を返しスマホを
仕舞うと荷物を担ぎ部室を後にする。


「お疲れ様でした。お先です」

『お疲れっしたー』


早く帰って直接名前に伝えたい。
出来ることならその姿を生で見たいがそれは
次回に会う時の楽しみに取っておこう。


【かわいいよ。名前によく似合ってるね】




end





あとがき


高校生の運動部はやはりショートが
いいなと勝手に思いまして…
好みはそれぞれです(笑)

ここまで読んで頂き
ありがとうございました☆



[次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!