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HQ(long)@
学園祭に行ってきました。 U


side赤葦



運悪く木兎さんに見つかってしまった俺たちは仕方なく声のした方へ向かったが
そこはもっと面倒くさいことになっていた。


「ホントに名前いんじゃん。な?来て正解だったろ研磨」

「…都合いいこと言って…」


木兎さんが招待したであろう黒尾さんと孤爪が一緒にいて後のことを考えると頭が痛くなってきたのは気のせいではないだろう。


「木兎さんこんにちは。黒尾さんもお久しぶりです。研磨も久しぶり!」

「木葉達から来てるって聞いてよ〜!顔ぐらい見たいじゃねーか!!」

「またあの人達は余計なことを…」

「校内で堂々デートとは羨ましいなぁ赤葦。
しかも名前の私服姿ヤバくね?
ぜひ俺にも貸して貰いたいんだけど」

「名前は物じゃありません。そこらの軽い女と一緒にしないで下さい。
まぁ黒尾さんにはその程度のレベルがお似合いですけど」


名前を物扱いした黒尾さんにイラっとして先輩とか関係なく辛辣な言葉を浴びせた。勿論そんな事で動じる人ではないが。


「言ってくれるじゃねーか。あんま素を出し過ぎると名前に嫌われるぞ?」

「むしろ名前は昔から知ってますから問題ありません」

「お前ホントかわいくねーなぁ」

「かわいくなくて結構です」


俺たちが冷戦を繰り広げている頃、名前と研磨は笑顔で雑談していた。


「ここで会えると思わなかったよー!練習は?」

「今日は昼まで。…それでクロに無理矢理連れて来られた」

「そっか!お疲れ様。でも研磨が嫌々でも来てくれててよかった!!じゃないと会えなかったし奇跡だね!!」

「名前はオーバーだよ。…だけど来といてよかった」


俺たちの会話は聞こえていないのか
ほのぼのとした雰囲気を纏っている。


「なぁお前らこれからどっか行くの?」

「…とりあえず館内を回ってみようかと。…何ですか?」

「じゃあ俺らも一緒に回るわ!」

「はぁ!?」


木兎さんから聞かれ素直に今後の予定を話した俺はその後の言葉に耳を疑った。
どれだけ空気が読めないんだこの人は。


「嫌ですよ。何で付いてくるんですか」

「いーじゃん!偶にしか名前に会えないんだし少しぐらい!!」

「そうそう。独り占めは良くないよ〜?」

「黒尾さんは黙っててもらえますか?」


俺だって頻繁に名前に会えるわけではないから2人きりの時間はとても貴重だ。
木兎さんの言い分は分かるが邪魔されたくない。


「いいじゃない京治。少しの間だけでも一緒にまわったら」


言い合いしていた俺たちの間に名前が苦笑しながら割って入ってきた。
話の内容を聞いていたようで少しだけでもと俺に提案してきた。


「…はぁ。仕方ないですね。…少しの時間だけですからね」

「あかーしは名前の事になると余裕無くなるよな!」

「そのうち愛想尽かされるんじゃねぇの?」

「ホント怒りますよ2人とも」

苛立ちが頂点に達しだした時今までこっちの会話に入ってこなかった孤爪が口を開いた。


「…ごめん赤葦。クロが迷惑かけて」

「…あの2人が揃うと本当に面倒くさい」

「うん。…すごいわかる。だけど俺たちも名前と一緒にいたいのはホントだから…」

「……それを分かってるからこそ一緒したくないんだ…」


ため息をつきながら結局渋々了承すると一段と騒がしくなった為流石に雷を落とさせてもらった。


予定していた写真館やアトラクションのある部屋など興味を持った処に片っ端から入って行き
始めは文句を言ってた俺も
いつの間にかそれなりに楽しんでおり
何よりも名前が終始楽しそうに笑っていたからこれはこれで良しとしよう。

木兎さんが次はどこ行く?と黒尾さんや名前に問いかけていると
不意に俺の携帯が震え
画面を覗くと滅多に連絡が来ない白福さんからの着信だった。


「はい赤葦です」

《あっ!赤葦〜?そこに名前ちゃんいるの〜?》

「名前ですか?いますけどどうかしました?」


俺の口から名前の名前がでたところで周りの4人も俺に注目する。


「あかーしー誰と電話してんだー?」

「浮気相手とか?」

「クロ。いい加減にして」

《名前ちゃんに代わってもらってい〜い?》

「わかりました。名前。白福さんから」

「雪絵さん?」


黒尾さんに軽く睨みを効かせたあと疑問符を浮かべている名前に携帯を渡した。


「代わりました!雪絵さんお久しぶりですね!どうしましたか?」

《名前ちゃん元気だった〜?ちょっと頼みがあるの〜》

「何でしょう?私でよければ!」


横で話しをしている名前を眺めていると急に驚いた声を上げそれに俺も他3人も驚き名前を凝視してしまった。


「無理です!絶対無理ですから!!他の方を探して下さい!!」


慌てながら拒否している様子に何か頼みごとでもされたのだろうかと思案していると名前が俺に声を掛けた。


「京治お願い!雪絵さんの話し断って!!」

「何か頼まれたの?」

「いいから!お願いだから断って!」


なぜか困った顔をしている名前から強制的に携帯を返され通話中になっているのを確認してから再び電話に出た。


「すいません代わりました。何かあったんですか?」

《赤葦〜?それが今日ファッションショーのモデルしてくれる予定だった子が体調崩して帰っちゃったの〜。
だから名前ちゃんに代わって貰えないかと思って〜》


白福さんからの説明で名前がなぜ慌てていたのか納得した。
しかもモデルとして出られるのは学校内でアンケートを取り上位に入った男女5人だったはず。
因みに俺にも話しが来たが丁重に断らせていただいたのだが。


「けど名前本人はムリだって言ってますけど…」

《名前ちゃん以上に私の作った服を着こなせる子は他にいないの。
それに赤葦には悪い話しではないわよ〜?
また違う名前ちゃんの一面が見られるし〜それに。
私に協力してくれないなら赤葦の協力ももうしないわよ〜?》

「………」


おっとりした顔してとんでもない取り引きをして来たものだ。

俺がこの話を断ると名前に他の男をわざと近づけて俺にダメージを与えるように仕向けてくるだろう。
今でも大変なのにさすがにそれは避けたい。

それに名前のモデル姿を見てみたいと思う俺もいる。
心が決まったところで名前には申し訳ないのだが…


「…わかりました。今どこですか?」

「えっ!?京治!?!?」

《今家庭科室。赤葦たちは〜?》

「ちょうど真下の一階にいます。とりあえずここにいるんで」

《すぐ行くね〜》


通話が切れ疲労したのと同時にため息がでていた。そして横には不安そうな名前の顔が。


「…ごめん名前。今から白福さん来るって…」

「えーー!?!?どうして断ってくれなかったの!!!」


俺の言葉に困った顔で必死に訴えてくる名前に対して本当に申し訳ないと思うのだが背に腹は変えられない。


「おいおいあかーしー!!何かあったのかー???」

「俺たちにも説明してくれる〜?」

「…名前大丈夫?」


3人からも説明を求められ仕方なく口を開こうとした時タイミング良く白福さんが到着した。


「名前ちゃんごめんね〜!私を助けると思ってお願い〜!」

「雪絵さん!?ホントにムリですよ〜」

「ごめん名前。…だけど俺も見てみたいと思ったんだけど…
二度も無いことだし本当にだめ?」


名前が拒否しているにも関わらず
それでも俺のお願いに弱いのを分かって頼んでみる。

モデル姿の名前など二度と見れることはないのだから出来ることならこの目に焼きつけておきたい。


「う"〜…京治ズルい…。そんなこと言われたら断れないじゃない〜」

「ありがとう名前ちゃん〜!じゃあさっそく衣装合わせ行くわよ〜」

「えっ!?ちょっと雪絵さん!?!?
京治助けて〜〜!!!」

「…楽しみにしてるよ」

「裏切りものーー!!!」

「赤葦〜15時からだからよろしく〜〜」


引きずるように名前は先輩に連れて行かれ嵐が去って行ったようだった。
しかしもう一つ忘れていた。


「あかーしー!説明しろ!!」

「名前どこに行ったわけ?あれマネのコだよな?」

「………」


孤爪からの無言の視線が一番キツい。
とりあえず今の内容を3人に分かるよう簡単に…というか主に理解できない木兎さんの為に説明した。


「じゃあ名前が代わりにモデルとしてステージに出るわけか」

「…見たいかも…」

「だがら!どーゆーことなんだよ!?」

「「もう木兎(さん)黙ってろ(て下さい)」」


話しが伝わらなかった木兎さんは無視して
2人に話を続けることにした。


「15時から体育館で始まるのでまだ30分ぐらいは時間ありますけど
結構人が集まるみたいなんで早めには行った方がいいと思います」

「喉乾いたし何か飲んでから行こーぜ。
おい木兎!何ヘコんでんだ行くぞ!」

「…放っとく?」

「…取り敢えず連れて行こうか」


メンタルをやられた木兎さんを無理やり引きずりながら自販機経由で体育館へ向かう。

どんな名前が出てくるのか時間が近づくに連れ俺らしくなく心臓が高鳴っていく。


そんな期待を寄せながらファッションショーの開始時間となった。




end



あとがき


長々と続いてマス。
白福先輩は服飾専攻設定(笑)
次回私の脳内デザインがどれだけ文章に起こせるか不安です…。

ここまでご覧頂きありがとうございました。
次回も宜しければお付き合い下さい☆



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