[携帯モード] [URL送信]

HQ(long)@
strategist 後編


ゲームの前半は相手ブロックに捕まったり
チーム内がバタバタしていたのもあって
伊達工にセットを取られていたものの
後半になるに連れて日向が上手く相手を
撹乱させブロックも少しずつ割れ出した。

影山が合宿から帰ってきて練習中もどこか
すっきりしない表情を浮かべていたのだが
この試合でチームメイトに思いのたけを
ぶつけたことで彼もひと皮剥けチームが
また一回り大きくなり強くなったと思う。


「日向がスパイクのタイミングを変えら
れるようになったことで攻撃の幅も広がる
から他のアタッカーが生きてくるよね」

「あとはトス回し次第ってことですか」

「それとアタッカーが決め切れるか
どうかってとこだな」


帰り支度の済んだ影山と菅山さんと私で
軽く今日のゲームの考察をしていた時
やっちゃんから呼ばれそちらへ向かうと
伊達工のマネさんが一緒だった。


「今日はありがとうございました。
全国頑張って下さい」

「ありがとうございます。
新チームになったらぜひまた
練習試合お願いしますね」

「おっお願いしますっ!!」


伊達工のマネをしている滑津さんは私と
同学年だがすごくしっかりしていて
ウチの選手もだが伊達工の個性的な選手
たちをサポートしていくにはこれぐらい
でないとやっていけないのかもしれない。

話しているうちにすぐに打ち解け仲良く
なるとガールズトークに華が咲く。


「じゃあ舞ちゃん今はフリーなんだ。
チーム内にいいなって思う人はいないの?」

「それがねぇ〜。みんなアクが強すぎて。
二口くんなんてあれだけ顔は良いのに口を
開いたら残念だし青根くんは無口だし…
名前ちゃんは?彼氏いる?」

「うん。…まぁ東京に居るんだけどね」

「えっ何それ!?じゃあ遠距離なんだ!
しかも東京なんてどういう経緯!?!?
仁花ちゃんはその人知ってる!?」


改めて自分から彼氏がいるっていうのは
すごく照れ臭いが私の話しを聞いて舞ちゃん
はテンションが上がっているようだ。


「はっはいっ!すごく紳士的で優しくて
かっこいい方ですよ!!ホントにお二人は
お似合いで羨ましい限りなんですっ!
もともと幼馴染なんでしたっけ!?」

「そうなのっ!?やだ私も見てみたい!!」


やっちゃんも舞ちゃんと同様にテンション
が上がっており京治のことを褒めてくれる
のは嬉しいのだがやはり恥ずかしい。


「…私のことはもう良いからっ///!!」

「顔赤くなってる!名前ちゃんかわいい!」

「ですよねっ!赤葦さんの話しをしてる時
の名前さんはほんと可愛らしいですっ!」

「2人ともからかわないでよっ///!!」


赤くなった顔を手で隠しながら2人に注意
するも楽しそうな顔で見つめてくるだけ。

恨めしい視線を向けていると唐突に聞き
覚えのある声が話しに入ってきた。


「なーに女の子たちで盛り上がってんの。
俺も混ぜてくんない?」

「「「二口くんっ(さんっ)!」」」


口角を上げどこか楽しそうな表情をした
二口くんがそこに居て私たちの視線が
一気にそこに集まる。


「何話してたわけー?」

「名前ちゃんの彼氏のことをね」

「もうっ!舞ちゃんっ///!!」


ニヤけた表情で私を見ながら二口くんに
話している舞ちゃんを慌てて止めるも
全く効果がない。


「確か赤葦って言った?」

「?どうして二口くんが知ってるの?」


二口くんの口から京治の名前が出てきて
驚きに思わず聞き返すとどこが嫌そうな
顔をしているのは私の気のせいだろうか。


「ゲーム前に名前ちゃんとこの1年
たちが言ってたからね。あの2人がやけに
懐いてる感じだったから覚えてた」

「合宿中一緒に練習したり話したりする
機会も多かったからかなぁ?確かに京治は
落ち着きもあるし下から慕われてるかも…」

「一緒にって…名前ちゃんの
彼氏さんってバレーしてるの?」

「うん。梟谷学園でね」

「えぇっ!?梟谷って聞いたことある!!
全国常連の強豪校じゃ…」


徐々に京治の話しに移り嬉々として質問
してくる舞ちゃんの勢いに押されながら
答えを返していると大地さんから集合が
掛かり慌ててそちらへと足を向ける。


「それじゃあ2人ともまたねっ!!」

「また一緒に話そうね!!」

「名前ちゃんっ後で連絡するから」

「はっ!?」


笑顔で私に手を振っている二口くんの
発言に弾かれたように驚き彼を見ている
舞ちゃんの姿に疑問を抱くも
足早にみんなのもとへ戻った。




この練習試合でチームの課題をクリアでき
春高に向けてまたひとつ弾みがついた。

春高本番はもうすぐだ。





オマケ



side二口



「…名前ちゃんの連絡先知ってたの?」

「まぁ。中学からの知り合いだし?」

「えっそうなんだ!?」


不審な顔をしながら聞いてくる滑津に
話しを少し盛りしれっと言い返す。

実際には俺が一方的に知っていただけ
だが言わなければ分からない事だし。


「それよりさぁ。梟谷学園って?」

「知らないの!?東京の強豪校で全国にも
よく名前を連ねてるしエースの人は月バリ
にも載ってたぐらいのスパイカーだよ!
ちなみにっ名前ちゃんと彼氏さんは
幼馴染なんだって」

「へぇ…そうなんだ。」


メガネの言っていた側に居られないとは
そういうことかとひとり納得した。



部活終了後に早速彼氏のことを調べ
てみると目を見張る情報が出てくる。

名前ちゃんの彼氏の名前は 赤葦 京治
梟谷学園の正セッターで俺と同じ2年。

全国でも5本の指に入るエースの木兎を
支える頭脳派セッターらしいのだが

ファンや学園の生徒らが立ち上げたで
あろう応援サイトなるものまで存在して
おりその中でも“赤葦”は飛び抜けて
人気があるようなのだ。

理由は一目瞭然でサイトには写真も掲載
されており彼は俗に言うイケメンで
外見だけだが無性に腹が立った。

例え顔が良くても名前ちゃんの
近くにいないことは事実なわけで俺には
好都合でありチャンスはありそうだ。

気持ちに余裕が出来たところで名前ちゃん
に今日の試合の話しをしようとスマホの
へと視線を向け画面に指を滑らせた。






end







あとがき


二口くんの捻くれ度合いが薄いっ。
次回はぜひ赤葦と絡ませてみたいです!


ここまでお付き合いいただき
ありがとうございました☆


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!