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HQ(long)@
4



第3セットが始まった。


相手からのサーブを絵莉奈がしっかりと
セッターまで返しセンターのまどかが速攻
を仕掛けたのだがスパイクは上げられた。

しかし相手のセッターも走らされ何とか
追いつくと苦し紛れにライトへトスを
持っていき私とまどかがきっちりブロック
を締めスパイクをシャットアウトした。


「まどかナイスブロック!!」


3セット目にも関わらず私の跳躍力は
全く落ちる事がなく寧ろまだまだ
跳べると思える程身体が軽い。

しかも今日の試合に限ってはいつもの
試合の倍ぐらいスパイクを打っているし
レシーブも範囲を広げているので疲れない
筈は無いのだけどそれを全く感じない。

それほど集中出来ているのだと思い
由莉奈から上がってきたトスに思い切り
踏み込みスパイクを打ち切った。







「1点集中ー!!」

「凛子さんナイッサー!!」


24-17で烏野のゲームポイント。

サーブに凛子ちゃんが下がり私が前衛に
上がってくると由莉奈が私に声を掛けた。


「名前先輩。
最後は必ず先輩が決めて下さい」


もう私にしかトスを上げないと宣言され
驚いたものの彼女の意志をしっかり
受け止め強い眼差しを向け返事を返す。


「もちろんそのつもりだよ」

「頼みました」


笛が鳴り凛子ちゃんがサーブを打つが
きっちりとセッターに返ってくる。


「まどかレフト」

「はいっ」


セッターはレフトに上げると読みまどかに
指示を出すと自分もレシーブポジション
まで下がり相手からの攻撃に備えた。


「由莉奈!!」

「はいっ!」


予想通りレフトへトスが上がり早めに
ブロック対応していたおかげでストレート
コースに2枚しっかりと着いていた。

スパイカーはクロスに打つしかなく
コースに入っていた私がレシーブすると
素早く助走を取れる位置まで下がる。


「名前先輩っ!!」

『決めろーー!!』


由莉奈から丁寧なトスが上がりそれに
合わせ助走しながら周りの声が私の背中
を押してくれ今日一番の跳躍を見せた。

ストレートコースがボール一個分
空いており思い切り腕を振り抜くと
ボールはラインぎりぎりに決まった。


ピピーーーッ!!!





ゲームセットの笛が鳴り一気に歓声が
巻き起こるとみんなが一斉に私に抱き着き
その瞬間にようやく勝ったことを実感した。


「やったーーー!!全国ーーー!!!」

「せんぱーーいっ!!
もうホントヤバいっ!!!」

「名前よく頑張ったね!!」

「うわーんっ!うれしいーーっ!!」

「みんなのおかげだよ!
ありがとぉ!!」


みんなが涙を流しながら喜んでいる様子を
見て頑張った甲斐があったと私も満面の
笑みを浮かべ一緒に喜んだ。



一旦整列し相手チームと礼をすると男バレ
の選手たちもコートまで降りて来ていて
喜びをそのままにベンチにいるみんなの
もとへ駆け寄ろうとした時。


カクンッ

「っあ!?」

『!?名前(先輩)!?!?』


緊張の糸が切れたのか足に力が入らず
床に手を着き座りこんでしまった。


「名前大丈夫!?」

「先輩どこかケガしましたかっ!?」

「…ちょっと退いてもらえます?」


私を心配して寄ってきたチームの人たちを
割って駆け寄って来たのは影山で
その周りには男バレのみんなの顔も見えた。


「…頑張り過ぎたみたい」

「笑ってる場合ですか…。立てれます?」

「今はムリかな」

「失礼しますね」

「えっ!?影山っちょっと!?!?」

『きゃーーっ///』

『あぁっ!?影山ずりぃ!!!』


いきなり影山にお姫様抱っこをされ慌てた
私は思わず影山にしがみ付きその様子を
見ていた女性陣からは黄色い声が
男性陣からは何故か奇声が発せられている。

周りの声などお構いなくベンチまでゆっく
り歩いている影山はどこか嬉しそうで。

「名前先輩…今まで見てきた中で
一番格好良かったです。
約束守ってくれてありがとうございました」

「…みんなが私に力をくれたから
これだけ頑張れたんだよ…」

「ホントにお疲れ様でした」

「ん。」


この試合で一番力が出せたのも今まで
みんなが私を支えてくれたから。


今私は最高に幸せだ。





オマケ



私が影山にベンチへ運ばれた後のはなし。


男子は。


「俺が名前さんを運び
たかったのに影山ずりぃぞ!!!」

「お前みたいな身体で名前先輩を
運べるわけないだろぉがボケェ!」

「今の撮っといたから全国大会で
赤葦さんに怒られればいいよ…」

「なっ!?仕方ねーだろ今のは!!!」

「まぁケガもしてないみたいだし
とりあえずよかったよ」

「よっしゃーっ!!男女揃って
全国乗り込むぜーー!!!」

「俺も燃えて来たぜノヤっさん!!!」


日向と月島に文句を言われる影山と
私のケガの心配をしてくれた 力くん。
そしてもう既に全国モードに突入の
無駄に暑苦しい 夕と龍くん。



一方女子は。


「すごいねっ!あの影山って子
軽々とお姫様抱っこしてたよっ!?」

「かっこいいねぇ〜!」

「やだ名前先輩ズルいっ!私も影山
先輩にお姫様抱っこしてもらいたいっ!!」

「まどかは大っきいからムリじゃない?」

「私は月島さんにしてもらいたいなぁ〜」

「………」


影山の思わぬ行動に感心している
望と凛子ちゃん。

中学の時から密かに影山のファンだった
まどかが羨ましそうにしているところを
バッサリと切り捨てる由莉奈と
月島に想いを抱いている絵莉奈。

そしてそれを呆れた眼差しで
見つめていた私であった。



end



あとがき


男女揃って全国決まりました!
そして影山が今回おいしいところを
持っていってます(笑)

さぁ東京はどうなることやら。

次回もご覧下さいませ☆



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あきゅろす。
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