金色の青年と水の少女-4 「たまの真面目に稽古に誘って来たと思ったら、これだもんなぁ……」 アルベルは左手を頭に置き「呆れた」とため息を吐いた。 「今日、道場にライラを誘ったのも、良いとこ見せたかったからじゃないのか?」 「……うっ、それは……」 長々と続いたアルベルの説教。『ライラに良いところを見せたかったんじゃないか?』と言うアルベルの言葉にトールは目を泳がせた。 「……図星だね、これは……」 アルベルの言葉に頷きながら、リリスがぽつりと呟いた。 二人が言い合って三分後。何だかんだでトールは稽古を再開――それも強制的に――した。 「――あ、待ってトール」 稽古に戻ろうとするトールをライラが引き止めた。 「どうした?」 トールが訊いた。すると彼女は彼の後頭部にそっと右手をあて、 「ヒーリング」 癒しの術をかけた。ライラの右手から柔らかな翡翠の光がポッと灯る。 「さすがライラ。ありがとな」 「いえいえ。それよりもトール、しっかり良いとこ見せてよね」 「はは、まかせろ」 二人はにっこりと微笑み合う。トールとライラを包む空気はまさに『二人だけの世界』と言った感じ。 「もういいか……?」 茶髪の青年が静かに口を挟んだ。二人の空気を裂くように、間に入った茶髪の青年――アルベルは額に右手をあて、 「いい加減にしてくれ」 とも言いたげな表情で短く溜め息を吐いた。 「おう! チャキチャキいくぞっ、アルベル」 「……あぁ」 やる気満々のトールに対し、アルベルは半ば脱力していた。彼の溜め息は耐えない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |